第12話 嫌悪(パート3)

 メールの内容はこうだ。


 件名:至急、書面回答を


 株式会社ランプノート

 真田様


 お世話になってます。

 鹿原村の明智です。


 さて、今回システムを担当することになり、改めて貴社の作られたシステムを拝見しましたが、正直目眩がしました。

 本当にすごいシステムですね。


 よくこれで納品できたなどと言えるものだと、逆に感心しております。


 バグは多いし、とても今どきとは思えないUI。完成していない部分もかなりの量が散見される。

 ちょっと動かしているとすぐに動作が重くなって、正直こんなもん使うくらいなら手書きで仕事したほうが数百倍早いです。


 これまでの担当者がシステムに明るくなかったというのをいいことに、足元を見ていたわけですよね。残念ながら、私は貴社と同じシステム開発会社出身です。いや、貴社などと同じというのは相当に抵抗がありますが・・・、ともかく私が担当になった以上、このあたりの不正、問題は一切看過致しかねます。


 すべての問題が片付くまでの間、貴社への保守料金のお支払は凍結いたします。

 また、これまでにこちらからお支払いした保守料金についても、返金要請をいたします。



 取り急ぎ、下記点について貴社からのオフィシャルな文書を早急に送ってください。


 ・不良箇所の修正スケジュール

 ・未実装機能の納品スケジュール


 以上




 メールを読み終わった真田は、あまりの衝撃にしばらくの間、ただ呆然としていた。

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