第9話
「ステラ、お疲れ様。隣国のトップはケチな感じのやつだったな」
執務室に入った途端、労われた。いつもならいやになるはずなのにアロンにはいやな気がしない。
「そうだな。でもお前のおかげでまたうまく話がまとまった。ありがとう、アロン」
今日は疲れた。隣国のトップはケチな奴で、俺一人だったら交渉しきれていなかっただろう。今の時代、あの国からどれだけ技術をもらえるかは我が国の成功にかかっている。アロンがいてくれて助かった。
「いいえ。それにしても、紙本好きの屑どもから例の法律について何の抗議もないのは驚いたな」
「確かにな。でもそれならそれでいい」
紙本製造禁止法。批判が大きいと思って今の今まで温めていた自分のやりたかった復讐方法。こんなに批判が少ないなら、もっと早く禁止させればよかった。
「こんなことなら早く成立させればよかったとか思ってないよな、ステラ」
「は? そんなわけないだろ」
心の中読まれたかと思った。
「なら、いいけどな。お前早く寝ろよ。」
「分かった、そうする」
明日は建国記念日。国のトップとして観衆の前に立たなきゃならない。アロンの言う通り早く寝よう。
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