第170話:一万出すなら

「そうですねェ……」

 何しろ、この時代のレートが解からない。


 円ダテなら、それほど大した額ではないがドル立ての場合、おいそれと手が出せない。


「さっきの倍でも…… 10倍でも構いませんよ」

 だがボクもここで引くわけにはいかない。


「ケッケ~、10倍ね~…😏✨」業者は、狡猾な笑みを浮かべた。

「ま、兄ちゃん… 一万出すなら、売ってやってもいいぜェ~…😏✨」


「一万……?」ボクは一旦、躊躇した。

 一万円なら財布の金で何とかなるかもしれない……

 だが…… ドルだと、100万円近くなる。

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