でんきのしくみ
禎波ハヅキ(KZE)
第1話
「充電〜」
彼女はそう言って僕の背中にひっついてくることが度々あった。彼女のよくわからない行動は珍しくないので僕はいつもスルーしてたけど、ある日ふと訊いてみた。
「充電したら何が嬉しいの?」
「私の中に電気が貯まってパチパチするの」
そんな答えが返ってきた。だから僕はこう返した。
「充電っていうのは、電気を貯めるわけじゃないんだよ。化学的に発電できる状態に電池を戻すだけ」
さあ、この話で彼女は困ったはずだ。どういう返事が来るだろう?
「充電すると発電できるようになるの?」
「そう」
「じゃあ大好き大好き大好き」
「どうしたの急に?」
「発電したの」
こうきたか。僕は彼女とこうした素っ頓狂な会話をするのが好きだ。微妙に繋がらない会話が面白い。
「君とココが繋がったから発電できたんだよ?」
彼女は、そう付け加えて僕の胸に手を置いた。
「電気の仕組み、最初から全部わかって言ってたの?」
「何のこと?」
問いかける僕に、彼女は微笑みを返す。きっと僕は彼女に感電している。
でんきのしくみ 禎波ハヅキ(KZE) @kze
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