第6話「魂魚遊戯」
「よっ!」
水面から飛び上がった金魚が、孤を描くようにして、薄作りの和紙を突き破った。
「今のタイミングバッチシだったと思うんだけど……」
手に持ったすくい枠に、思わず疑惑の目を向ける。
「君ね、金魚すくいで道具にケチをつけるのは、そりゃ野暮ってもんだよ」
浴衣を着たSが、腕組しながら俺を見下ろして言った。
「そうそう、このイケメン兄ちゃんの言う通りだよあんちゃん、自分の腕を道具のせいにしちゃいけねえな~」
手拭いを額に巻いた店主はそう言うと、ニヤついた顔をこちらに向けてきた。
思わずそのハゲ頭を叩きたい衝動に駆られるも、ここはぐっと我慢する。
俺とSは、地元鎌倉にある商店街の夏祭りに来ていた。
Sは、俺が爺さんから任された古書店で、一緒に同居している同い年の大学生だ。
世間一般的な若人と違い、キャンパスライフを謳歌するわけでもなく、余った時間のほとんどを、自室でひたすらオカルト関係の本を読み漁るという、何とも変わった日々を送っている。
そんなSを、俺は夕飯の塩鮭を焼きながら軽く誘ってみたところ、
「いいよ、夕飯すませたら行こうか」
と意外な返答を貰った。
「でもまさか、こうやってSが一緒に来てくれるとは思ってもみなかったよ」
立ち上がり言うと、Sは軽く笑みを零したかと思うと、少し寂しそうな目で夜店の灯りに目を細めた。
「どうしたS?」
「ん?あ、いや……ちょっと昔の事を思い出してね……」
「昔?」
「小さい頃にちょっとね」
「小さい頃?何かあったの??」
「しつこいな君も、ほら、射的でもやろう、負けたら一杯おごるでどうだい?」
そう言ってSは俺に背を向けると、射的の屋台前の人だかりへ交じっていった。
Sにしては珍しい反応だ。俺はしばし呆気に取られつつも、
「ちょっと、待ってよS!?」
立ち上がると、店主がニヤついた顔で手をヒラヒラさせてきたので、俺はフンと鼻を鳴らして、直ぐにSの後を追いかけた。
結局、その後も何度かSに問いかけたが、話をはぐらかされるばかりで、俺は射的、輪投げ、ヨーヨー釣りで全敗し、しこたまビールをおごるはめになった。
やがて遊び疲れた俺達は、街路樹にあるベンチに腰掛け、三本目のビールのプルタブを開けた。
すると、
「何年ぶりかな、夏祭りの屋台なんかで遊んだのは。しかし君は本当に弱いな?射的であんなに見事に外す奴なんて初めて見たよ」
Sはそう言ってビールをあおった。
「ほっとけ……何年って、そんなに来てなかったのか?」
「ん?ああ、昔はよく祖母と一緒に……」
そこまで言いかけて、Sの口が止まった。
缶から口を離しSの方に振り返る。
Sの背後、参道に並ぶ小さな石灯籠に、火が灯っている。揺らめく炎に照らされたSの横顔が、どこか悲しく、そしてどことなく険しくも見えた。
「何かあったのか?」
尋ねるも、Sは何も答えず、祭りの様子をじっと眺めている。
つられて、俺も祭りの景色に目を細めた。
笛の音が夜空に響き、打ち鳴らされる太鼓の音が聞こえる。
いつもは夜に飲み込まれている街が、この日だけは闇に逆らい、いつまでも明かりに照らされ、人々の笑い声に包まれている。
ふいに、木々の間を通った電灯の導線が、柳の葉と共に風に揺らいだ。つられる様に、灯篭の火が激しく踊った時だった。
「昔……よく祖母と夏祭りに行ったんだ」
Sはそう言うと、重い口をゆっくり開き、ぽつりぽつりと、話し始めた。
以下、Sの語り。
子供の頃、僕はある事情で祖父の家に預けられていた。
祖父の躾は厳しく、習い事以外では、あまり外出も許してくれないような人だったんだ。
そんな僕を見かねてか、祖母はよく、祖父に黙って僕を外に連れ出してくれたんだ。
その中でも、僕は夏祭りが大好きだった。
白熱灯をぶらさげた屋台から聴こえる威勢のいい呼び声、普段見慣れぬ食べ物の美味しそうな匂い。
珍しい玩具に目を光らせ、大人も子供も関係なく一緒になって遊べる遊戯。
子供の頃の僕にとっては、まさに夜の遊園地みたいな所だった。
そんな中でも僕が特に気に入ってたのが金魚すくいだ。
最初こそ下手ではあったけど、この遊びは性に合っていたのか、やっていくうちに、僕の腕は大人顔負けなぐらいに上達していった。
そんなある日の事、祖母はお花のお弟子さん達との会食に呼ばれたからと言って、祖父に嘘をつき、僕を夏祭りに連れ出してくれた。
会場についた僕は他の屋台には目もくれず、真っ先に金魚すくいの屋台へと向かった。
「金魚すくいだよ!おっ坊主、やってみるか!?」
威勢のいい店主にそう呼びかけられ、逸る気持ちを押さえつつ後ろを振り返ると、着物姿の祖母が柔和な笑みで、コクリと頷いて見せてくれた。
祖母は店主の側に寄ると、財布から小銭を取り出しお金を手渡そうとした。
その時だ、
「バーンッ!!」
物凄い音と共に、祖母の背後から眩い閃光が射した。
花火だ。
目が眩みそうな光に手で顔を覆う、すぐに立ち返り辺りを見渡した。
「あれ?お婆……ちゃん?」
さっきまでいたはずの祖母がいない。
それだけじゃない、屋台の店主もいない。
すぐ真後ろにあった屋台も消えていた。
「どこ?お婆ちゃん!?」
再度辺りを見渡すと、道の先に提灯の群れが見て取れた。
そこで初めて、自分が祭りの会場からだいぶ離れていた事に気がつき、僕は急いで会場の方へと向かった。
「お婆ちゃん、どこ?」
焦る気持ちに急かされつつ、僕は辺りを見渡しながら、立ち並ぶ屋台の間を駆け抜けた。
その時違和感を感じた、何かおかしい。
が、違和感の正体はすぐに分かった。
行き交う人々皆全てが、動物など何かしらのお面をつけていたのだ。
お面をつけていない自分だけが、子供ながらに居心地が悪く、その場から逃げ出したい衝動に駆られたが、祖母を見つけないと、という気持ちが先行してか、僕は足を止める事なく祭り会場を走った。
やがて会場の中央部に差し掛かった時だ、
「坊主、そこの坊主」
野太くやんわりと呼びかける声に、僕の足は止まった。
息を整えながら周りを見回すと、見慣れた屋台が目に止まった。
布が被せられた畳一畳分の、長方形の桶が置かれている。
中からは「ちゃぷちゃぷ」と、水の音がする。
金魚すくいだ。
その桶の向こう側に、木作りの小さな椅子に腰掛ける、達磨のような大柄の、鬼の面を被った男がいた。
「そうだそうだ、坊主、お前の事だ、ハハハ……」
くぐもった野太い声が、鬼の面の隙間から漏れ出るように響いた。
「僕の事?」
人差し指で自分を指し示しながら聞き返すと、鬼の面は大きく頷き、右手を上げ、こっちに来いと手招きをする。
丸太のような太い腕に、鋭く尖った爪。
くぐもった笑いを零す度に、鬼の面から何とも言えない臭気が、こちらまで漂って来る。
思わず顔をしかめ身動ぎする僕に、鬼の面は言った。
「お婆ちゃんを、探してるんだろ?」
「えっ?」
何で祖母の事を?
驚いた僕に、鬼の面は話を続けた。
「坊主の捜し物、手伝ってやるよ。だからほら、こっちへおいで、ひひひ……」
何でこいつが祖母の事を知っているのか?普通に考えればおかしな話だ。けれどその時の僕は藁にもすがる思いで、この話に飛びつくしかなかった。
見も知らない場所で子供がたった1人、しかも周りはお面を被った怪しい人々、すぐにでも逃げ出したいこの状況の中、僕の心を支えてくれていたのは、あの祖母の笑顔だけだったからだ。
祖母に会いたい、その一心だった僕は、意を決して鬼の面の側へと向かった。
「よく来たよく来た、いっちょ遊んでいかないか?」
鬼の面はそう言うと、腰にぶら下げた布袋から、すくい枠を一つ取り出した。
「えっ?ぼ、僕お金持ってないし……それに、お婆ちゃんを探して」
「ははは、お金なんていらねえ、それに、これで遊んでればお婆ちゃんもすぐ見つかるぞ……」
「お婆ちゃんが?」
「ああ、本当だとも」
何をしても良いから、早くこの状況から抜け出したい、そんな気持ちが僕の返事を後押しした。
「じゃ、じゃあ……」
どうやって?とは聞けなかった。こんな広い祭り会場で、僕が頼れるのは大人だけだったからだ。
いや、本当は怖かっただけなのかもしれない。
見も知らぬ場所で祖母とはぐれ、孤独と不安に押し潰されそうだった。
そんな憔悴しきった心が、早く休まりたいと、楽な方へ揺れ動いたのだろう。
この人に任せよう。
そう思い、僕は鬼の面からすくい枠を受け取った。
「よしよし、じゃあ始めよう」
鬼の面はそう言ってから、桶に掛けられた布を捲って見せた。
「えっ……?」
僕は目の前の光景に、言葉を失ってしまった。
桶の中、優雅に泳ぐ色とりどりの金魚達……はいなかった。
変わりに水の中にいたのは、目のない口だけをパクパクさせた、大小の半透明な魚達。
骨までうっすらと透けて見える。こんなの図鑑でもテレビでも観た事がない。
「これ……何?」
やっとの思いで振り絞った言葉に、鬼の面は、
「金魚すくいさ、坊主も一度くらいやった事あるだろ?あれと同じだよ」
と、さも当たり前のように言った。
見た事もない魚。
大きさは確かに金魚に近いかもしれないが、見た目の気持ち悪さにはかなりの抵抗があった。
「いいからやってみな、なっ?」
鬼の面は少し語気を荒げて言った。
思わず肩をビクリとさせ、僕は言われるがまま、すくい枠とお椀を構え、水面を狙い打った。
「パシャンッ!」
と、水を弾く軽快な音と共に、得体の知れない魚がお椀の中でのたうつ。
ぬめる様な鱗が、提灯の明かりに鈍く反射していた。
すると、鬼の面が何か小さく呟く様に言った。
余りに小さい声で聞き取れない。
僕は気を取り直し、すくい枠をまた構えると狙いをつけ、再び水面を弾いた。
すくい枠からお椀の中に、二匹目の魚が飛び込んだ。
またもや鬼の面がぶつぶつと呟く。
「ニ……」
二匹?どうやら数を数えているようだ。
得体の知れない魚ではあるが、その本質は金魚とは大差なく、僕は三匹、五匹、八匹、十匹と、その数の分だけ、水の入ったお椀を増やしていった。
夢中になり、更にその数を増やしていく。
二十、二十、そして三十に差し掛かった時だった。
遂に残り二匹となった桶の魚を見て、僕は手に持っていたすくい枠を見定めた。
すくえても残り一回が限界だ。
残り二匹の魚、一方は大きく、もう一方は小さい。
僕の判断としては、二匹同時にすくい取るつもりだった。
ゴクリ、と息を呑む。
次の瞬間、軽く息を吐くのに合わせ、すくい枠を水面ギリギリに滑らせながら、二匹が重なった瞬間を狙った。
「バシャッ!」という水の跳ねる音と共に、二匹が水面から飛び上がる。
小さい方が先に飛び上がり、大きい方がそれを追いかけるようにして、お椀に吸い込まれるように見えた、が、わずかにお椀に届かない。
しかし次の瞬間、信じられない光景が目に飛び込んだ。
大きい魚が下から突き出すようにして、小さい魚を押し上げたのだ。
小さい魚はお椀へ吸い込まれるようにして入り、大きな魚はそのまま桶の中へボチャン、と音を立てながら落ちてしまった。
「やっ……」
「わはははははははっ!」
僕の声を掻き消すかのような大きな声が、鬼の面から漏れた。
すると、その声に呼応するかのように、太鼓や笛の音色までが、心をかき乱すような不安な旋律を奏で始める。
「いやあ人間ってのは面白いな、くくく」
子供のようにはしゃぎ膝を手で打ち付ける鬼の面に、僕は聞いた。
「人間が……面白い……?」
「ああそうだ。昔からたまにこんな奴がいたんだよ、自分の命を顧みない馬鹿な人間がな、まあいい、喜べ坊主、お婆ちゃん、見つかったぞ」
「えっ?本当に?どこ?どこなの?」
鬼の面が何を言いたいのかは分からなかった、けれど僕の頭の中は、お婆ちゃんが見つかったという言葉でいっぱいだった。
すると、鬼の面は僕の問いには何も答えず、桶の中を泳ぐ大きな魚を指で器用にちょんっと摘み上げた。
そして自らのお面を顎の部分から持ち上げると、人とは思えないような大きな口を開けこう言った。
「俺の胃袋の中だ」
鬼の面は摘み上げた魚を口の中に放り込むと、ボリボリ……ムシャムシャ……と、不快な租借音を立てながら食べてしまった。
余りの光景に愕然とする僕は、震える声で訊ねた。
「な、何を言ってるの?お、お婆ちゃんは?お婆ちゃんはどこ!?」
「おいおい、三十人も助けておいてよく言うぜ、だがまあ、お前の婆ちゃんの魂は、中々に肥えてて旨かったぜ、ヒヒ」
三十?その数字は、先ほど僕がとった魚の数だ。
なぜそれが、三十人なんだ?三十匹ではなく?お婆ちゃん……?旨かった……?何が?魚が?
それとも……お婆ちゃんが?
気がつくと、僕はその場で絶叫していた。
僕の声に引き寄せられるようにして、会場にいた人達が僕を囲うようにして集まりだした。
そして皆、お面を口元までずらすと、泣き叫ぶ僕を嘲笑うかのようにして笑い出した。
鬼の面のように大きな口の者もいれば、耳元まで裂けた口、犬歯のような牙をむき出しにした口など様々な者がいた。
彼らが人間なのかどうかなんて、もはやその時の僕にはどうでも良かった。
祭囃子の音色が気持ち悪かった。
不快で、おぞましくて、眩暈がした。
意識が遠のく感じがした。
瞬きを数回したのち、瞼が急激に重たくなった。
倒れそうになった瞬間、耳元であの野太い声がした。
「また遊びにおいで、坊や……ヒヒ」
視界が、闇に閉ざされた。
「気がつくと、僕は病院のベッドの上にいた。意識を取り戻した僕に気がついた看護婦が、持っていた衣類を放り投げ、先生、と大きな声を上げながら部屋を出て行った。やがて看護婦に連れられ部屋に入ってきた医者から、後に事の顛末を聞く事となった。あの祭りの晩、僕と祖母がいた金魚すくいの屋台近くで、ガスボンベの引火爆発事故があった。死傷者三十一名、そのうちの死者一名は、まだ幼かった僕を庇い亡くなった祖母だ。あの時、祖母が僕を庇ってくれなかったら、おそらく僕も亡くなっていたと、医者に聞かされた」
そこまでSは話すと、持っていたビールの空き缶を、大量の空き缶が入っていたゴミ箱に投げ入れた。
「夢か幻か……けれどあれ以来、どうも金魚すくいは苦手でね」
そう言ってSは小さく笑って見せた。
だが、どことなくその顔は寂しそうで……。
「な、なあS?」
「ん?何だい?」
「ま、また来よう、来年も、夏祭り……」
「えっ?あんな話聞いた後で、君はそれを言うのかい?」
Sが肩をすくめて見せた。
「行きたいんだ、Sと、ま、また来年も……」
「君ね、それは恋人に言うものだよ普通は」
「えっ?あ!ああ、そ、そうか……」
「ぷっ……あははは、本当に君って奴は……まあいいさ、気が向いたら……ね」
Sの顔に、少し明かりが戻った気がした。
僕らはその後、家で呑みなおそうという事になり、近くの酒屋に寄り、歩きながら帰る事にした。
鋭く夜空に響き渡っていた笛の音も、地響きのような太鼓の音も、やがて小さくなり、微かな風の音に掻き消されるほどになった時だった。
不意に、Sの足が止まった。
つられて俺も足を止める。
「どうし……祭り?」
Sに聞こうとした矢先、僕の目の前に異様な光景が広がっている事に気がついた。
そう、祭りだ。
いつもの帰り道、何度も通った事がある脇道の一角に、色取り取りの提灯の明かりと、屋台が立ち並んでいた。
しかし、こんな所で祭りがあるなんて話は聞いた事がない。
だが、実際に目の前に広がっている光景は、さっきまで僕らがいたあの夏祭りの景色と同じだ。
いや、違った。
明らかに……明確に違うものが……。
綿菓子を持ってはしゃぎ回る子供達、それを見守る大人達、屋台で忙しそうにしている店主、その皆が、様々なお面を被っていたのだ。
「こ、これって……」
はやる鼓動を抑えつつ、俺はSに聞こうとした。
だがSは何も答えようとしない。そればかりか、尋常じゃない程の汗を額に浮かべていた。
顔色も、暗がりだというのに、青ざめているのがハッキリと分かる。
「おや、兄さん方々。どうだい、いっちょ遊んでいくかい?」
突然、暗がりの一角から野太い声が響いた。
声の方に視線を向けると、そこにはがっしりととした体躯のいい、達磨のような男が立っていた。
他の人達と同じように、お面を被っている。
鬼の面だ。
これは、Sが話していた……。
俺は怖くなり、Sの腕を掴んだ。
が、Sは俺の腕を乱暴に振りほどくと、鬼の面の元へと歩み寄っていく。
「S!?」
そう叫んだ時だった
──コーンッ!!
甲高い獣の声が、背後にある鎌倉山から鳴り響いたのだ。
同時に、Sの歩みが止まった。
「き、狐?」
確かに今、狐のような獣の声がした。しかし今はそれどころじゃない。
「S!行っちゃダメだS!」
再びSの腕を掴んだ、今度は振りほどかれないように、両手でしっかりと。
「痛いよA……」
Sはそう言うと、踵を返し鬼の面に背を向け、祭り会場から遠ざかるように歩き始めた。
俺は少し安堵し、Sからそっと両手を離した。
その時だった。
俺に聞こえるか聞こえないか、本当に小さな声で、鬼の面がぼそりと呟く声がした。
そしてそれはこう言っていた。
「また遊びにおいで、坊や……ヒヒ」
祭囃子が遠ざかっていく。
冷たい夜気に洗われた夜風が、喧騒を掻き消し、鎌倉の町に静寂を運ぶ。
どくどくと、脈打つ僕らの鼓動だけが、いつまでも響いていた……。
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