クリスマスのお散歩

可愛い息子との出会いを話すわね。

あれはクリスマスっていう行事があるときのお散歩だったわね。

なんでクリスマスかっていうとうちではクリスマスの時はケーキを食べるの。

私は人間の食べ物が好きじゃないの。だって刺激が多いでしょ?肌に悪し。

でも女子なんでスイーツが大好きなの。

特におかあさんが大好きなモンブラン、あれには目がないのよ。

いつもにいちゃんからケーキをもらった後でお母さんにおねだりしてもらうの。

その日の夕方のお散歩だったわね。


私の近くに大きな公園があるの。いつもそこまで歩くのが私の日課。でも夏は暑いからお散歩はしないの。

その日はあったかかったけどいつものように弟のお嫁さんが買ってくれた服を着てお散歩に出かけたわ。なんでもにいちゃんが仕事から帰ってくるのが遅かったから夕方になってしまったの。

私ってにいちゃんに「お散歩行くよ」って言われても最初は拒否するのよ。

でもにいちゃんに首輪してもらうと嬉しくってどんどん走っていくの。

恥ずかしいけど私太ってきちゃって病院の先生に「ダイエットしなさい」っていわれたらしいの、だからにいちゃんは張り切って朝夕散歩させてるわ。

お友達の犬に会えるからお散歩は好きよ。

でもその日は遅くなっちゃったから公園には犬は誰もいなくって。。。


にいちゃんと公園を一周してるときだったわ。なんかにおいがするの。

私たち犬って鼻がいいじゃない。人間の千倍鼻がいいっていわれてるわ。

いつもお散歩のコースは決まってるけど私は気まぐれだからお散歩の主導権は私にあるの。にいちゃんはだだのボディーガードよ。


私はリードを引っ張ってにおいの元に走ったわ。

匂いはベンチの上の紙袋からしたの。だからにいちゃんに「わんわん」って教えてあげたの。

私たち犬って人間の言葉はわかるのよ。ただ私たちがしゃべれないだけなの。

にいちゃんも私がそんなことするのが珍しいから紙袋を取り上げたわ。

「にゃー」とか細い声が聞こえたの。

一匹の生まれたての子猫が袋の中に入ってたの。

「まったくなんで人間って勝手なんだ」ってにいちゃんが怒ってたわ。

にいちゃんは紙袋に入れられた子猫を服の中に入れると「よしよし」って言いながらうちに帰ったわ。

ほんとにうちのにいちゃんって悪い人じゃないのよね。

ただ子育てしたことがないしましてや猫の赤ちゃんどうしていいかわからなかったの。

仕方ないので毛布で包みペットショップで買ってきた猫用ミルクをあっためて飲ませてみたの。でも全然ダメ。ほんと男って子育てには役に立たないわね。

私はケーキを食べて気分もよかったから毛布に包まれた子猫の元に行ったの。

あんまり可哀想だったからぺろぺろとなめてあげたわ。

そうしたら不思議なものね。母乳が出てきたの。

私には子供がいなかったけど急に母性が出てきたみたい。

そしたら子猫がおっぱいのにおいをかいで寄ってきたわ。

そして私のおっぱいを飲んだの。

その時からその子猫は私の子供になったわ。


「モコ??お前おっぱいが出るの?なんだミルク買わなきゃよかった」ってにいちゃんは言ってたわ。

その可愛い息子がポワロ、にいちゃんのすきな名探偵の名前らしいわ。


その日から私の子育てがはじまったの、でも同時にちょっとした事件が起こったのよ。

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