カラクリ発表

 対戦1週間前の事から話し始めた。


「まず、整備メカニック科の親友に連絡を取って、熊谷の情報を集めるところから始めたんだ。すぐに熊谷がKTM社の跡取りだってことがわかって、KTM社の武装や、装備品、センサー類の中から1週間で実装可能なものを調べている時に、開発中のサーモセンサーが実用化間近という情報でときたんだ!」


(みんな結構、感心して聞いてくれてるなぁ。)


「で、その対策と、前もってバックパックに武装を収納しておくことは、ルール的に問題ないかを佐伯教官に確認して、火鈴の得意武器の内蔵を整備メカニック科に依頼しただけだよ。」


「火鈴?なんで暁さんを名前で呼び捨てなのよ!」


(そこ!?)


 凄い勢いで紗夜ちゃんは、質問してきた。


「えーっと、正式に同乗者パートナーってことで、流れで名前で呼ぶことになったんだよ。」


「流れでって?じゃあ、アタシも名前で呼ぶことにするね!」


(紗夜ちゃんなら、全然いいけど!)


「わかったよ、紗夜ちゃん!」


「ちゃん付けちゃダメ!」


 僕と紗夜ちゃんの会話に火鈴が割り込んできた。


「智晴って呼べるのは、ウチだけよ!正式な同乗者パートナーなんだから!」


「アタシは智晴様の小さい頃からの幼馴染なんだからね!」


「……様って何よ!?」


(やばい!)


 ナイスなタイミングで熊谷が会話に入ってきた。


「2人とも綾野の取り合いに、熱くなっているところ悪いが、話を進めさせてもらうぞ。」


「別に熱くなってなんかないわよ!ねぇー!」


 火鈴と紗夜ちゃんは顔を見合せて答えた。2人とも少し顔を赤くして、恥ずかしそうにしている。熊谷は、そのまま質問を続けた。


「問題はそこじゃのーて、わいのサーモセンサーにどう対処したかじゃ?始めは機能しとった。けど、終盤は全く機能しとらんかった。その後、調べてみても、故障じゃなかった。一体どうなっとるんや?」


「そう!それよ!最初、ウチの透明化インビジブルは見破られていたけど、途中からは見破られなくなったわ。どうやったの?そもそもサーモセンサーって何なのよ?」


 なぜか、火鈴も便乗してきた。まぁ、無理もないよな。1から説明していくか。


「そもそもサーモセンサーってのは、対象の熱量を感知して画面にモニター化する装置のことさ。いくら、機体が透明になっても熱量が無くなるわけじゃないからね。だから、動きが見破られたのさ。」


 火鈴は頷きながら、真剣に話を聞いている。ちょっと今までにない光景だな。説明を続ける。


「そこで、サーモキャンセラーを使ったのさ。立ち上げるのに、1分近くかかっちゃったけどね。」


「サーモキャンセラーだと!?噂には聞いとったが、存在しとったとは!そんなもん、どこから入手したんや?」


「まだまだ試作機の段階だけどね。入手先は……、勘弁してほしい。実践データを取る名目で借りてきた物だから。」


(借りるの苦労したなぁ。)


 僕と熊谷以外はみんな、ポカーンと口を開けている。何を言ってるんだか、わかっていないようだ。しかし、熊谷の追求は続くのであった。

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