予想外の答え

「待って下さい!今のままで……いいです!」


(何!?)


 暁さんの口から予想外の答えが返ってきた。どこに心境の変化があったんだ?


「そうか。では、入れ替えの話は白紙に戻す。これ以降の変更は受け付けないからな。」


「わかりました。」


 そう答えると暁さんは着席し、教官は紗夜ちゃんに話しを振った。


「ということで、天上院。すまないが白紙になった。残念か?」


「残念。……じゃないですよー!」


 少し頬を膨らませながら答えた。教官は少しからかっているみたいだ。そして本題に戻り話を続けた。


「えー、本題に戻る。来月、クラス対抗の模擬試験を実施する。3対3のチーム戦で、各クラス5チームに別れて対戦し、勝敗を決する。先に3勝先取したからといって、その後の対戦が無くなるわけではない。あくまで試験だからな。今回は対戦相手の情報は無し、あらゆる場面に想定して準備をしてほしい。」


(今度はチーム戦か。)


 教室内が少しざわつく。まだ教官の話が続いている。


「その前に、昨日の訓練で自分達の課題が見えたことだろう。そこで、強化合宿を行おうと思う。場所は学園が所有する無人島で、来週1週間トレーニングと課題の克服に務めてもらう。以上。」


 そして、ホームルームが終わり、教室内が賑やかになった。僕は何気なく暁さんに話しかけてみる。


「来週から合宿みたいだね。それに来月はチーム戦って……。」


「なぜ、聞かないの?入れ替えを辞めた理由。それにウチ、智晴にひどい事も沢山言ったし、……。」


「気にしてないよ。それに僕を認めくれたってことでしょ!嬉しいことだよ!」


「智晴は前向きなやつだな。」


(さっきから名前で呼ばれてるなぁ!)


「そういえば、僕のこと名前で……。」


「昨日、ウチのこと火鈴って……名前で呼んだ。だから、ウチも名前で呼ぶことにしたんだ!これから同乗者パートナーとして、よろしく頼むわ!とっ、智晴!」


「ああ、よろしく頼む!かっ、火鈴!」


 僕がそう答えると、頬を赤くしてとても嬉しそうな笑顔で返してくれた。あまりの可愛さに一瞬、ドキッとしてしまった!今までとのギャップのせいなのか、それとも……。


 胸の高鳴りが治まらないまま、1限目の講義が始まる。

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