訓練後のハプニング!?

「待って!綾野……くん。」


「だから、昨日から徹夜で……!?暁さん!!」


(暁さんが、くん付けって!)


 なぜか、いつもとは違う感じだ。女の子っぽくて、可愛い。少し頬を赤くして、もじもじしている。何の用なんだろう。1週間フラれ続けたトラウマがある。たいした用事じゃないだろうな。対戦の時、結構才能センス使わせちゃったけど、大丈夫かな?


「どうしたの?それより体の方は大丈夫?」


「だっ、大丈夫よ!それより……、さっきは助かったわ。ありがとう。礼だけは言っておくわ。」


(ありがとうだって!?)


 徹夜した甲斐あったな。まさか、暁さんから感謝されるなんて意外だ。


「いやいや、僕は何も。暁さんのおかげだよ。」


「何を言うの!貴様のおかげじゃない。ウチは指示に従っただけ。謙遜し過ぎよ。少し腹が立ってきたわ!」


 いつもの暁さんに戻ったみたいだ。呼び方も貴様に戻ったし。これ以上、怒らせないためにも……。


「どういたしまして。」


「それでいいのよ!それより、って何をしたの?」


「それは……。」


(どこから説明したら……。長くなりそうだなぁ。いつになったら寝れるんだろう。)


 少し気が遠くなった。説明を始めようとすると、暁さんが気を使ってくれた。


「昨日、徹夜だったんでしょ。明日にするわ。」


(マジか!助かる!)


「ありがとう!またね!」


 満面の笑みになってしまった。少し恥ずかしい。なぜ、徹夜って知ってたんだろう?熊谷との会話でも聞いていたのかな。僕はそのまま暁さんと別れ、寮へ帰りシャワーと着替えを済ませ、深い眠りについた。


 *


 気がつくと、窓から朝日が射し込んでいた。


(久々によく寝たなぁ。んっ!?)


 目覚まし時計を見ると、7時半を過ぎている。寝坊だ。急いで支度して教室へ向かった。教室に入るとほぼ全員が席についている。


(なんとか間に合ったか。)


 いつもの元気のいい挨拶が聞こえてくる。


「おはよう、智晴くん!昨日、凄かったね!」


「おはよう、紗夜ちゃん!ありがとう!」


 さすがに紗夜ちゃんに言われると、素直に嬉しい。にしても、いつもより積極的でテンションが高いなぁ。早々に話を切り上げ、自分の席に着こうとすると、普段は存在しない小声の挨拶が耳に入る。


「おっ、おはよう。」


(今、おはようって言ったよな!?)


「おっ!?おはよう、暁さん!」


 僕は不思議そうな顔で答えてしまったらしく、ちょっと不機嫌な顔になったが、いつもと感じが違うなぁ。いつもなら、……視線が痛いくらいだが、今日は目を合わせてくれない。どうしたんだ?


 ホームルームのチャイムが鳴り、佐伯教官が教室に入ってきた。


「諸君、おはよう。今日も全員、揃ってあるようだな。本題に入る前に、先週の取り決めについてだが……。」


(すっかり忘れてた!)


 何事もなければ、僕の同乗者パートナーが暁さんから紗夜ちゃんにチェンジするって話か。まぁ、暁さんの態度も相変わらずだし、仕方ないな。


「……暁、同乗者パートナーを入れ替えるということでいいな?では、綾野、天上院と……。」


 次の瞬間、暁さんから予想外の言葉が発っせられた。




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