宣戦布告!
新学期初日が終了し、教室内では席を立って帰ろうとする者、雑談を始める者、作戦・方針を話し合うペアが存在している。ちなみに僕の隣人は前者である。僕は気まずい雰囲気を修復するため、話し掛けることを決意した。
(僕のせいじゃないんだけどな。)
「あのー、この後なんだけど、対戦の傾向と対策を……。」
言い切る前に返事が返ってきた。
「ウチ、トレーニングで忙しいから、1人でやって。それに対戦は、ウチが機体を消す、貴様が引き金をひく、これで終わり。対策は必要ないわ。」
(僕も対戦相手も眼中にない感じか。)
「ですよね。はははっ。」
また、作り笑顔で対応してしまった。何やら前の席の方から大声が聞こえる。まさか……。面倒なことになりそうだ。
「わいらは、眼中に無しかい!さすがSランク様やな!もし、わいらが勝ったら、どないしてくれるんや!?」
資料によると対戦相手の
「何でもしてあげるわ。万に一つもないでしょうけど。」
「皆、聞こえとったな!証人がいっぱいおるで!約束忘れんといてな!」
(熊谷は、一体何をしたいんだ?)
暁さんは、熊谷の言葉にも動じずに教室を出ていってしまった。熊谷は満足そうだ。なぜか怪しげな笑みを浮かべている。
(何か、気になる。調べてみるか。)
熊谷の後ろにポッツリと1人の女子が立っている。おそらく熊谷の
(1人になってしまったなぁ。熊谷・谷口ペアについて調べてみるか。)
とりあえず高等1年からの親友の
「もしもし、達也、久しぶり!案の定、
「おう、久しぶり智晴!もちろん
「偶然だよ。カップルじゃない、
*
新学期2日目、講義終了後、再び暁さんに声を掛けた。
「この後なんだけど……。」
「昨日も言ったけど、ミーティングなんて必要ないわ。暇なら機体のことは任せたわよ。詳しいんでしょ。ウチはトレーニングで忙しいから。さよなら。」
(へいへい。機体の整備頑張りまーす。)
昨日よりひどい答えが返ってきた。それでも僕、作り笑顔で……。
「ですよね。はははっ。」
と返してしまった。こうして僕は1週間フラれ続け、実戦訓練当日を迎えたのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます