第21話「激闘!蒼雷の覇者」
巨大な翼が
巨大な青いドラゴンは、絶叫を張り上げ首を
その口に、バチバチと白い
「チィ、雷撃……サンダードラゴンか!
真っ先に動き出したのは、ルーシアだ。剣を引き絞り、下段に構えて
だが、
「浅いか!
「ドラゴンのブレスですよ!? ええい、防いでみせられるかどうか……」
ロアンの呪文が、光のルーンを中空に走らせる。
その間も、ザッシュは背にリータを庇って銃を構えていた。
だが、
そして、一撃必殺のフォトン・ブラスターでは
撃って外せば、次のチャージが終わる前にザッシュ達は
「ザッシュ、わたくしと走ってくださいな! ロアンの周囲に結界が張られますの!」
「わ、わかった! こっちへ!」
リータの手を引き、ザッシュは走る。
チラリと見たが、シオンは瀕死のドルクをヒョイと片手で抱えて逃げている。
「姫様! ザッシュも! 僕から離れないでください……結界を二重にします!」
ロアンの声が響いた、その直後だった。
顔を突き出し口を開いたドラゴンから、
一瞬、ザッシュは真っ白に塗り潰される視界から全てを見失う。
強力な雷撃が周囲を突き抜け、結界で守られているにもかかわらず全身が
そして、ようやく周囲が見え出すと……そこに、信じられない光景が広がっていた。
無敵を誇ったルーシアの剣が、根本からポッキリと折れていた。
「ルーシアさん!」
「まずい……ミスリル製の
どうやらルーシアは、稲妻のブレスを回避しつつ一撃を
だが、彼女の腕に
対して、ドラゴンは小さな切り傷を一つ増やしたが、ますます
転げるように回避しながら、ルーシアは折れた剣を捨てる。
「スランプで
「ちょ、ちょっとぉ! ルーシアさんっ! 何でそんなに嬉しそうなんですか!」
「血が
ルーシアは本当にエルフなのだろうか? あのピンと長い耳は、飾りか? まるで
同感だとザッシュも思ったが、すぐ側でリータが叫ぶ。
「ルーシア、ロアン、そしてザッシュも! 個々に戦っていては勝てません……皆の力を合わせるのです。わたくしが脚を使って、ドラゴンの注意を引きますの!」
「ひっ、姫様!? それは……ザッシュ、お
「心配無用ですわ、ルーシア! ザッシュ、
言うが早いか、ロアンとザッシュの影からリータが飛び出した。
薄着の軽装が今は、腰回りの布がなくてインナーが丸出しである。だが、彼女はしなる
見ている方の寿命が縮む、それは
一度ステップを踏み間違えれば、その瞬間にドラゴンの爪と牙が彼女を
この場にいるだけでも恐ろしいだろうに、リータは懸命に戦っていた。
「ロアン! ドラゴンがリータを狙っている、今のうちに!」
「わかってる! ええい、王家に知れたらどうなることか……姫様、援護します!」
既にもう、ロアンにも大きな魔法を連発する余裕がない。
小出しにマジックミサイルを撃ち出すが、その
ドラゴンの魔法耐性は非常に高く、物理攻撃にも無敵を誇る。
そう、龍こそがこの世界で、神に最も近い
「よーく狙って……当たれよっ!」
踊るリータの
その背に向かって、ザッシュは片膝を突いて狙いを定めた。両手で握った銃のシリンダーが回転し、いつもの電子音が選択された攻撃を歌う。
『SELECT PRESET!!
心なしか普段より強力な光が、真っ直ぐドラゴンを
だが……その翼を片方消し飛ばし、背の甲殻を
大ダメージ、だが死んではいない。
一発で仕留め損ねたことで、より危険な時間が忍び寄ってきた。
「ザッシュ、この馬鹿者っ!
「す、すみませんっ、ルーシアさん! でも、あの傷なら……こいつで、どうだっ!」
先程シオンから貰った、円筒状の小さなパーツを銃へと押し込む。それは、中央のシリンダーへとぴったり収まった。やはり、この銃の部品だ。
これでフォトン・ブラスターとアイシクル・ショットの他に、もう一つ……何か、新しい攻撃方法が備わった筈だ。それが何かはわからないが、有効打となることを今は祈って走る。
「リータ、下がって!」
走りながら構えて、近付く巨大なドラゴンへと、撃つ。
しかし、ザッシュの想像だにせぬ効果が
『BULLET CHECK!! 4……SELECT PRESET!!
「へっ? え……えええええええっ!?」
ザッシュは絶叫した。
銃口から飛び出したのは、弾丸ではなく、刃。
そして、銃自体が真っ直ぐ変形してゆく。
その頃にはもう、リータからザッシュへと振り返ったドラゴンが、目の前に迫っていた。
銃は突然、光の刃を
「う、うう……あ、っと……わかった! こうなりゃ
止まるどころか、さらなる加速を念じて自分を弾丸へと変える。
突進するザッシュの背後で、降ってきた爪が大地を
だが、剣へと変わった銃を両手で握って、そのまま身を浴びせるように突き立てる。
――絶叫のドラゴン。
やすやすと天然の装甲を突き破って、ザッシュの剣は吹き上がる鮮血を蒸発させる。赤い
横へと
あっという間に光の刃が、ドラゴンの腹部を横一文字に切り裂いた。
『5、4、3、2、1……TIME LIMIT!!』
「どっ、どうだ!」
確か、銃はいつもの平坦な声で180秒を数えていたと思う。
だが、光が消えて元の形に戻る銃を握ったまま、その場にザッシュは崩れ落ちた。激しい疲労が脱力感を呼んで、身動きできずへたり込む。
荒い息に肩を上下させていると、背後から誰かに抱き着かれた。
「やりましたわ、ザッシュ! 凄いですの……まるで魔法! その埒外遺物は、剣にもなるのですね。驚きますたわ……ドラゴンをやっつけてしまいましたの!」
「あ、ああ……リータ、怪我は、ない?」
「怪我……ザッシュ、わたくしは平気です! ザッシュが皆と、守ってくれましたもの。でも……こ、怖かったですわ。とても、怖かったですの」
首に抱きつくリータは、震えていた。
その手を握って笑いかけてやるしか、ザッシュにはできない。
だが、
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