3 俺の幼馴染

「はぁー。」

退屈な授業を6時間も受けたせいで、身体が痛い。

思わず心からの溜息が出てしまった。




若林台高等学校の良いところは、通学路だと思う。

緑が綺麗な小道に、車通りの少ない道路。

小さな公園なんかあったりして雰囲気がある。

通学路を通るだけでこの疲れも半分くらいにはなるのだ。


「自然って癒されるよな…」

「なにがっ?」

「!伽奈」

「んん?伽奈だよっ」


ボーイッシュな短髪。しかし、それがまた可愛く思えるような可愛らしい顔立ち。

何も知らないような純粋な瞳。

鼻筋の通った小さい鼻。

ぽってりした唇。

白くてもちもちそうな、肌。

「どうしたの?」

「うわぁ!!!」

顔を覗き込まれて、思わず後ろに飛ぶ。

…またやってしまった、伽奈を褒め称える悪い癖だ。


「だって可愛いんだもんなぁ…」

「!ありがとう!」

うーん。可愛い。

俺はこんなに素直に喜んでくれる子を前にしてクールではいられない。


「伽奈、今日は出掛けていいのか?」

「うんっ!早めに帰って来ればいいみたい」

「そうか…どこに行くんだ?」

「お花屋さん!お部屋の花瓶に新しいお花がほしいんだー」

「おう、俺も行こうか?」

「来てくれるの?嬉しいな」


こうやって素直に喜んでもらえるとこちらとしても嬉しい限りだ。



「……不潔」


「?何か今聞こえたような」

「聞こえたー?」

「何でもないよ、さぁ行こうか」

「うんっ!」


俺はこれから訪れる現実が見えていなかった…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

無邪気なお嬢様と幼馴染なんて。 四ノ宮 唯架 @piyu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ