2 注目される人間

教室に向かっている途中、クラスの中心人物

三日月 志摩みかづき しまに会った。

よく手入れされているのだろう。相変わらず綺麗な長髪だ。

歩き方はいつ見ても凛としていて、

毎度この堂々っぷりには思わず見惚れてしまう。

ただ、別に好意を持っている訳ではないので胸がときめくなどという事はない。


「しまちゃんだー!」

大親友のような顔をしてアルバイターが話しかける。

「おはよ。」

「おはよーっ!」


テンションが4段階くらい違うが…


「しまちゃん、待ってぇ」

情けない声が廊下に響く。


八坂 みつる《やさか みつる》。

ふわふわの髪の毛は胸まである。

おっとりしていて、三日月とは対照的だ。


「置いていかないでよぉ」

「…遅いのがいけないんでしょ」

「そんな事言わないで、ね?ね?」

「いいから一緒に行きたいなら自分でついてきなさい。」


相変わらずツンケンしてるな…

毎日見てる光景だが。


「…」

うわっ。目があった。

目力が鋭いせいで、俺は激しく動揺した。


「…」

そして何も言わずに目をそらされた…

まぁ、いいんだが…



キーンコーンカーンコーン。

予鈴が鳴り響く、いつも通りの廊下。

今日も俺は、退屈な日々を生きていく_

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