無邪気なお嬢様と幼馴染なんて。

四ノ宮 唯架

1 煩い奴だな


俺の名前は、三条 結城。《さんじょう ゆうき》

若林台高等学校に通う高校2年生だ。

うちの高校は部活に入っている人が5割、入っていない人が5割。

俺は後者の5割の方で、飲食店でアルバイトをしている。

まぁ、中には掛け持ちでアルバイトをしつつ超ハードな部活に入ってる奴もいるが…どこからそのエネルギーを生み出すのか毎日疑問だ。



…そんな噂をすれば、駆け寄ってくる奴がいる。

「ゆーきっ!」

「…吉見」


この女は吉見 美津。《よしみ みつ》

黒髪に三つ編みでいかにも文藝部といったなりをしているが、こいつがさっき言ったクラブハードアルバイターだ。

見かけと中身があまりにも一致せず、ギャップ萌えなんてあったもんじゃない。


「ゆーき、どしたの?体調悪いの?」

「別に。朝から元気な奴だと思っただけだよ…昨日もバイトだったんだろ。」

「そーだけど?」

「よく疲れないよな…」

「まぁ、別にね!だいじょーぶだから!」

「そうか。まぁ、ほどほどにしとけよ」

「はぁー?ほどほどなんてや・だ!限界を目指したい」

「一体何を目指してるんだよ…」


こいつは、ハンバーガー屋と本屋、バイキングのアルバイトを掛け持ちしている上に陸上部という休みなど一日も無い部活に所属しているのだ。


「誰かのー、お嫁さん?」

「多忙な嫁さんだな…」

「えっ、やだ。ゆーきはお断りだよ?!」

「うるせーな!知ってるわ!俺もだよ!」

「きゃっ、ゆーきこわぁい。」


チッ…こいつと話してると調子狂うな…


いつも通り俺は教室を目指した。

煩い吉見と一緒に行かなきゃいけないのは、同じクラスだからだ。

そう自分に言い聞かせた。

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