第26話「激闘!今こそ合体の時!」
そのコクピットの中で、
今、自分が守りたい少女がいる。
世界を背負ったその
「ヒデ、君……」
「助けに来たぜ、真心! お前は世界とみんなを守れ! そんなお前を、俺が、守るっ! お前の中でだけは、俺がヒーローだ!」
涙目で
持ち上がった座席の下から、もう一つの操縦席が現れた。
もともとタラスグラールは、
丁度真心の脚の間に座る形で、英友は現れた座席へと腰掛けた。
「わかる……わかるぞ、マシンダー! やっぱりマシンダーロボと同じだ」
「ヒデ君、タラスグラールのダメージが」
「おう! 何か奥の手があんだろ! アーリャを助けて、あの
肩越しに振り向けば、スカートの中身が丸見えだ。
そしてコクピットのハッチが閉じると、ひび割れたモニターに映像が投影される。右手に握ったアーリャ・コルネチカを突き出すようにして、偽テラセイヴァー……ロボセイヴァーが近付いてきた。
迷わず英友は、タラスグラールにファイティングポーズを取らせた。
タラスグラールは全高17.5m、スケール
対して、テラセイヴァーと同質量のロボセイヴァーは、スケール
「真心! 使える武装はあるかっ!」
「ん、えと……今すぐ、なら、一つ、だけ」
「よし、まずはアーリャを取り返すぜ!」
このままでは彼女は、圧死してしまうだろう。
すぐに後の真心が、すっと深呼吸して……タラスグラールそのものへと変わる。
「さあ、行くわよ
『ヘィア! ククク……それだけ壊れてもまだ! 動くのかあ? 新しい属性に目覚めそうだぜえ! ヘッシャッシャッシャッシャ!』
操縦は今、英友が
そして、その全てを真心が後でサポートしてくれた。
すぐに武装のコントロールがセレクトされ、照準マーカーがモニターに浮かぶ。
迷わず英友は、タラスグラールを押し出すと同時にトリガーを引き絞った。
どんな武器が出るかも聞かずに。
そして、真心の絶叫が
「奥の手、いくわよっ! ブルンバスッ、ミサアアアアアアアイルッ!」
思わず英友は「へ?」と目を点にする。
自分が放った攻撃、それはブルンバスミサイル……
そして、火を吹き左右の
いわゆる『おっぱいミサイル』だ。
近距離で放たれたそれは、白煙の尾を引きロボセイヴァーへと命中した。
「なっ、何だ真心! 今のは、何だっ!」
「ブルンバスミサイル!
「なんてもんをつけるんだ、よぉ!」
だが、効果的だったのも事実だ。
意表をついた武器に、ロボセイヴァーは
即座に英友は、強く前へとタラスグラールを押し出す。
オイルを撒き散らしながら、確かな足取りで
「アーリャを、返せええええっ!」
「ヘハァ!? くっ、しまった! まな
英友はタラスグラールをジャンプさせる。
タラスグラールの細い
コクピットに真っ赤な警告が走る中で、真心が即座にダメージコントロールを行う。彼女は光学キーボードを叩きながら、必死でタラスグラールの機能を維持しようとしていた。
腕への直接打撃で、ロボセイヴァーがアーリャを落とす。
すかさず地面へと滑り込んで、英友は繊細な操作でそれを受け止めた。
「無事か、アーリャッ!」
『その声、ヒデね? ……も、もぉ! 遅いんだから! ペチャンコになるとこだったわ! しかも……アイツ、アタシのことまな板って言ったのよ!』
「すまん、アーリャ! あと、まな板は酷いよな……ほんのり
『……ヒデ、ブッ殺すわよ? ブン殴ってやるから……さっさとアレを片付けて、戻ってきて! 真心先輩と一緒に!』
アーリャを地面へそっと降ろして、走っていく背中を見送る。
そして、再び英友はタラスグラールをロボセイヴァーへと
今の一撃は、こっちのダメージの方が大きい。
ロボセイヴァーは
『ヘシャィ!
すかさず真心が叫び返す。
「今の私は、この身がどうなろうと戦うっ! さあ、かかってきなさい!」
『言うじゃねえか……そのズタボロな状況で、ヘハァ! じゃあ……楽しませてもらうぜえ!』
踏みつけるように繰り出される、蹴り。
それを回避すれば、タラスグラールが先程より何倍も重く感じた。
動く度にぐらつき、振動の中で
損傷が激しく、自分が動くことで発生するパワーが自分を壊していった。
だが、
自分の背に今、守りたい女の子がいるのだ。
「真心っ! 他に何かねえのか!
その言葉に答えたのは、小さなウィンドウとなって浮かぶ巫琴だった。
真心には厳しいが、巫琴もまた戦っていた。
ヒーローと一緒に地球圏を、世界を守るため……多くの人間が今この瞬間も、戦っているのだ。
『ヒデちゃん、真心! こうなったら……合体しなさい、あなた達!』
「がっ、合体? え、いや、ちょ……おばさん! おっ、俺と真心はまだ」
「了解っ、学園長! ……見せてあげるわ、ロボセイヴァー! 私の真の力を!」
「おい馬鹿、真心っ! なりきるのもいいけど、お、俺は!」
「いくわよっ!
叫ぶと同時に、真心が苦しげに
彼女が前屈みに、胸を抑えて震える。
その背では、まるで生き物のように
そして、タラスグラールにかつてない力が
英友の目にも、表示される数値が全て回復し、通常時を上回っていくのがわかった。
「真心、これは……」
「ヒデ、君……ん、ああっ! はぁ、はぁ……クッ! ぁ……が、合体、しよ? 私と、一緒に……合体」
「……わかった。それで奴に勝てるんだな?」
「うん……グッ! あああっ! は、早く……お願い、ヒデ、君」
「鉄魂合体……このレバーか!」
かつてない高出力で、タラスグラールがふわりと浮かび上がった。
そして、英友は合体レバーを全力で下ろす。
ロボセイヴァーも
そして、三方向から支援メカが飛んでくる。
『ヘァウ!? な、何が……手前ぇ、やらせねえってんだよ! ――!?』
すかさずロボセイヴァーが襲い来る。
だが、合体の
『ジョア! させねえ! 子供達の未来、そいつを世界ごとタラスグラールが守るってんならあ! 俺が、その合体を守るっ!』
ロボセイヴァーは恐らく、
当たり前のように合体を邪魔しようとするロボセイヴァーが、追い
「いくわよっ! ドッキング・フォーメーション!」
「おっしゃあ、合体! ……大丈夫か、真心?」
「私は平気っ! たとえこの身が裂けて、血に
真心は顔が真っ赤だった。
そして、三機の支援メカが複雑な変形をしながらバラバラに分離する。そして、あっという間にタラスグラールを包んで鋼鉄の巨神へと
――降臨、正しく戦の女神アテナの化身にも似たその姿。
二倍近い巨体になって、最後にタラスグラールは手にするリボンを放る。
それは
冷却ガスを白く煙らせ、荘厳なるトリコロールの女神像が誕生した。
巨大ロボットへと合体した姿を見て、ロボセイヴァーが悲鳴をあげる。
『きっ、聞いてないぞお! こっ、これは……なんだっ、お前はっ!』
英友は迷わず、システムがオールグリーンになるのを確認して叫ぶ。
「これは……こいつはっ! 俺の、俺のぉ!
そう、英友の恋人……自分が彼氏であるために、真心を彼女として守りたい。二人の願いが結晶と化した最強の姿がそこにはあった。
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