7ー2.少女との出逢い
三十日に一度、大都市カルーラにおいて『チケット争奪! ウルトラクイズ』なる催し物がある。
カルーラの地元民は「ツキイチの催し」と呼び、毎度お祭り騒ぎになっていた。
二日後にツキイチの催しがあると言うのに道中足を挫き立ち往生。カルーラまで飲まず食わずで歩いたとしても三日はかかる。
歩き損ではあるが今から村へと引き返そうかと算段を立てていると。
遠くに人影が見えた。見る見るうちに大きくなる人影は少女だった。
何処か異様な雰囲気のある子で、街道に居るという事は何処かへ向かう途中なのだろうが、荷物が一切ないのだ。飲み水や食料は欠かせないはずなのに。
もしかして、山賊に荷物を全て盗られたとか? でも、だったら身体無傷というのはおかしい。
「あの、カルーラに行きたいんだけど、この道で合ってるのかな?」
少女が訊ねてくる。
一瞬何を言っているのか判らなかった。
ああ、なるほどと、手を叩く。
この人、こっちの人じゃないんだ。
カルーラって聞き取れたからそこに行きたいってことだよね。
「カルーラ、ワタシモイク。イッショクル?」
おお! と歓喜の声を上げ、わたしの手を取りブンブンと振った。
こんなに喜んでもらえると逆に不安になる。
わたしの言葉が変な伝わり方をしてとんでもない事を言ってしまったのではないかと不安になってしまう。
カルーラに一緒に行く。その様に伝えたはずだ。
深く考えるのはやめよう。
嬉しそうな少女は、未だにわたしの手を握って振り回していた。
肩が外れそうだ。
苦痛に顔が歪む。
「あっ、ごめん」と手を放した少女は、わたしの肩を擦りながら「じゃあ行こうか」と手を引いて走り出した。
…………
……
…
二人でカルーラに向かう道中、二日後に、ツキイチの催しがある事を話すと「急がないと!」と言ってわたしを抱え上げ駆け出した。
力持ちだなぁと、感心しているとツキイチの催しを前日に控えた忙しいカルーラに到着したのだった。
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※最近のクイズ番組ブームはすごいですね。
次から次へと新番組が立ち上がり、司会が変わっただけな気がするのは私だけだろうか?
次話へ続く。
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