6ー3.帰宅部って何するの?

 出たよ。とんでも設定。帰宅部なんて部活にする意味ないだろ? って言うか、部室なくていいだろ! ツッコミどころ満載だった。


「さあ、入りましょう!」


 なんでこんなに積極的なんだ!? もはや奇行。


「失礼しま~す」

「あっ、オイ!」


 止める間もなく帰宅部への扉は開かれた。


 …………

 ……

 …


「おやおや? 今日は新入部員がよく引っかかる――よく訪ねていらっしゃる」


 オイ! 今、なんかとてつもなく不穏な事言わなかったか?

 慌てて隣の同級生の顔を見る。


 ……。


「それで【帰宅部】って何する部活なんですか?」


 スルー!? なんか普通に流してるけど俺には無理。

 どうしよう。さっきの【新聞部】よりヤバイ気がする。これはきっと気のせいなんかじゃない。


「そうだなぁ。魔王討伐とか?」


【帰宅部】の領分じゃないだろッ!?


「そうかもね」


 ハッ!? しまった。心の声がダダもれだったようだ。


「でも、魔王って言っても、アイツらも部活だからさ」


 部活で魔王?

 俺の疑問をよそに帰宅部員が説明する。


「4つ隣の部室が魔王軍こと通称【魔王部】だよ。その向かい側にあるのが【勇者部】ね」


 夢も何もないなこの世界。勇者と魔王がお向かい同士って何だよッ! ご近所さんかッ!?

 そんな事には一切、興味が無いらしい惡野は、同じ質問を繰り返す。


「結局、【帰宅部】の活動内容は?」

「うーん。自由。やりたいことが出来る。完全な放任主義。基本的に個人活動かな」

「そうですか。わかりました」


 一気に【帰宅部】への関心を失った惡野は、足早に退室しようとする。

 袖を掴まれ、引っ張られながら退室する。


「大変だね~」


 ニヤニヤと癪に障る笑みを向けてくる先輩への嫌悪感故に【帰宅部】と言う選択肢は捨て去った。


「次は、どこに行こうか?」


【勇者部】と食い気味に答えた。

 なぜなら最も異世界らしく、最も赤城誠のチートぶりが活かされるであろう部活だったから。

 しかし、俺はこの時失念していた。

 身体強化の代償と言うべきか、によって全くと言っていいほど能力が振り当てられていないステータス項目があったことに……。


 運命力:0


 この数値の意味するところが判っていなかったわけではなかったにも拘らず、運命力:0の俺は決断してしまったのだ。


【勇者部】に入部すると。





 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

※部活は早く決めないと入ってから地獄ですよね~(実体験)



次話へ続く。

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