先生、入部届けです。

6ー1.部活見学に行こう

 クレア・ブレハスと名乗った女が担任となった。

 夢の中(幻術)で魔法を乱発して生徒を血祭りにあげていた女である。

 俺を含めたクラス全員が被害者である。

 異世界初心者にはかなり過激ハードなトラウマを植え付けられた。


 あんな壮絶な死に方考えたことも無ければ自分の身に降りかかるなど想像だにしていなかった。

 担任となったクレアは好き勝手に授業を展開。

 ついて行けない。しかし、それを口にすることははばかられた。


 以前一人の勇者(俺)が、授業内容に異議を申し立てた。結果として、現代で言うところの「廊下に立ってなさい!」に代わって執行された「ちょっと表にあるダンジョンに潜ってきなさい!」という名の罰を受け死にかけた。


 それ以来、クラスで担任に逆らう――反旗を翻そうなどという不届き者は誰一人として現れていない。


 まさに恐怖政治である。

 最初に出逢ったエルフの少女(先生)の方がまだマシだ。


 生徒を痛めつけるようなことはしなかった……そんな事もなかったか……拘束された上に猿轡まで咥えさせられたことを思い出した。屈辱的だった。


 異世界の教師には碌な奴がいないようだ。

 そんなフラストレーションの溜まる現状を打開したくとも、その方法が判らない俺たち(異世界初心者)は耐え忍んでいた。


 そんな日々が続いて十数日が経った頃。ようやく周りに気を配る余裕が生まれた。そして目に留まったは俺の――俺たちの学校生活を変えることになる。


 …………

 ……

 …


 学校掲示板に貼ってあった部活勧誘のチラシを一枚握りしめて先生(担任以外)を訪ねて職員室に向かった。


「失礼します」


 広い室内に人影は一つしかなかった。


「あら、アカギ君。どうしたの? クレア先生に用事?」


「いや、あの人に用はないです」


「あら? 初めて逢った時はもっとフランクな感じだったでしょ?」


「いや、先生、ばけ……何でもない。敬ってるだけです。ところで」


 チラシを広げて見せる。


「部活ってどこでやってるんですか? これなんか入ってみたいんですけど」


「ん? どれどれ……ああ、【勇者部】ね。強くなれそうだよねぇ」


 暫くチラシを眺めて思案するも机の上にチラシを置くと、引き出しから少し大きめのサイズの別のチラシを手渡される。


「他にも部活はいろいろあるから見学してみたら?」 


 先生は頑なに【勇者部】を勧めなかった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

※部活ってTHE青春ですよね。部活動って同好会とか含めたら多種多様、ネタの宝庫ですよね。何故もっと早く着手しなかった!?


次話に続きます。

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