5ー完.デジャヴ!? 恋の予感です
地面が眼の前に迫る。
あ、死ぬんだな……ってやっぱり怖い。
あぁぁぁぁああ!? 走馬灯のように記憶が流れてくる。
手を伸ばす。
まるで生に執着するように、必死に生をその手に掴もうとする。伸ばした手が何かに触れた。
柔らかい……
――パチン
――べちやっ
…………
……
…
ハッ、ここは!?
シュッ――バッチーン
風を切る音の直後、眉間で何かが炸裂した。
「痛ぁぁああッ!?」
眉間を擦ると指先に白い粉が付着していた。自分を中心とした半径数十センチに、炸裂した何かの残骸が散らばっていた。
色とりどりの残骸は教室の至る所――教室の床一面を彩っていた。
「おはよう」
「おはようございます先生」
「良く寝てたなぁ……ナメてんのか?」
すごく怒っていらっしゃる。
「まあ、みっちり指導してやるからいいけど――なッ」
手首のスナップを使って投げられたチョークが髪を掠める。
――バチーン
「いだぁッ!」
後ろの席で炸裂したチョークの粉が舞った。
その後も見事なチョーク投げを披露する先生は、全員の額でチョークを炸裂させていた。
全員が悪夢から覚めたところで、「じゃあ、鬼ごっこするか」と邪悪な笑みを浮かべた先生は、拒否反応を示す生徒に再びチョークをぶつけた。
生徒に拒否権などなかった。
言われるがまま先生の後をついて歩く。異世界においても学校の廊下は走ってはならないようだ。
部活の勧誘や学校新聞と現代で見たことのある物ばかりで変わり映えしない。
現代から転生した人間が作った学校なのだから当然と言えば当然である。
強制的(もはや脅迫)に参加することとなった鬼ごっこで、これから起こるであろう惨状はつい先ほどまで限りなく現実に近い幻術で知っている。感覚としては身を以て味わったというレベルだ。
次第に気分は塞いでいく。
気分がふさぐにつれ視線は自然と下へ下へと向く。
歩幅も狭くなり、歩く速度が落ちる。
足も上がらなくなって――
自分の足に躓いた。
ダメ押しに後ろを歩く人間にも押された。転倒することは免れない。
それでも反射的に手は何かを掴もうと空を掻いた。
何かに触れた。
柔らかい……
――パチン
前を歩いていた惡野華が、両手で胸を隠して頬を赤く染めていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
※筆者は実際にチョーク投げを見たことがあります。怖かったなぁ。居眠りしてたらバチーンって音がして、急に顔上げたら寝てたのバレるから、ゆっくり顔上げてたら周りもみんな同じことしてました。今でも鮮明に思い出せます。チョーク第二射はみんなで震えながら見てました。
第一射で起きなかった奴も凄いですけどねwww
そんな実体験をもとに書きました。
次回はもう少し学生らしいことをさせるつもりです。
ではまた次話お楽しみに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます