1ー完.運はあった方がいい
「先生~。連れてきました」
「ご苦労様です。吉井さん……」
連れてきた? 拘束して連行してきたの間違いだろ。どんなポジティブ解釈だよッ!
手足を縛られ、猿轡にて口をふさがれた状態ではツッコミを入れることすらままならない。
「連れてきたって……そこでフガフガ呻いてるけど」
「ちょっと反抗的な眼をしていたのでつい、教育的指導です!」
「つい、じゃないでしょ! ここが異世界じゃなかったらマスコミに叩かれて教育委員会に呼び出しを食らって、どこぞの片田舎の役所かなんかに飛ばされて書類整理で一生を終えるんだ……異世界最高」
「前々から思ってたんですけど、先生こっち来る前何かありました?」
「うん。まあね。聞く?」
「結構です」
夫婦漫才のような絶妙なテンポで二人の会話は続く。
俺のこと忘れてない? 一人取り残された俺は暇潰しに二人のステータスを覗き見た。
◆ユリ ♀
種族 :エルフ
ジョブ:魔法使い
レベル:99
HP :49700/49700
MP :測定不能
攻撃力:99400
防御力:68700
敏捷性:57000
運命力:29990
アビリティ:魔力貯蔵・魔力吸収・魔力強奪
スキル:マジックマスター・叡智の結晶
化け物。
◆リョウスケ ♂
種族 :人間
ジョブ:教師
レベル:99
HP :100/100
MP :10
攻撃力:100
防御力:100
敏捷性:100
運命力:99999
アビリティ:言語理解・教育者
スキル:教育的指導
化け物?
ステータスの偏りがヒドイ。
運任せな感じで運命力以外は俺より低い。パッと見、優男って印象だ。
なのにエルフの化け物よりも偉そうだった。
「ああ、そう言えば」
男が床に寝転んだ俺へと視線を向けながら、
「君は学生だろ。高校生?」と尋ねる。
喋れないので首を縦に振る。
「そうかそうか。じゃあ、やっぱり学校には通わなくちゃな」
そう言うと視線を合わせるように屈む。
「この世界の言葉が理解できないと困るだろ? 一緒に楽しく学ぼうじゃないか」
爛々とした眼に恐怖を覚える。
この人、勉強が楽しいとか言う口の人だ。
その後、このについての説明を永遠とも思える間聞かされた挙句、目の前の男は俺に告げた。
「赤城誠君。ようこそ異世界教室へ」
運命力:0
チートな俺は現代同様、この異世界でも学生生活を送らなくてはならないらしい。
運命力って大切だったんだな。神様への願い事の選択間違ったかな? 今更ながら最初の選択を後悔していた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
※筆者のリアルが充実しないのは運命力が低いからなのか!?
運命力、どのくらいあるんだろう……(T_T)
次話から2-1となり、話がガラッと変わります。点と点を繋ぐと線になる的な感じで書いて行きます。
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