1ー4.街を案内してもらう
『カルーラ』に到着して最初に出逢ったのはエルフ族の少女だった。
「きれいだ……」
「ありがとうございます。」
言われなれているのだろう。思わず零れた本心に顔を赤らめる俺とは対称的で、感情の揺らぎの一切感じられない少女。
「あ、あのー。ここがどういう街か聞いてもいいかな? チートの巣窟ってなに?」
「わかりました。ご説明させていただきますね。歩きながらでも構いませんか?」
俺が頷くのを確認すると、きびすを返して爛々と輝く街へと歩き始めた。
…………
……
…
「この街は異世界転生を果たした方々が初めに立ち寄る近代都市となっております。
元々この地は荒野だったそうです。それを先人たちが集落から街とし、そして今ではこの世界有数の都市にまで成長した、というわけです。
この世界の文明レベルは中世程度なのですが、魔法や魔術を用いて独自の文化発展を遂げています。
この『カルーラ』は見た通り、こちらの世界ではなくアナタのおられた世界の技術で発展しています。
転生してこられた方々にとってこの街は第二の故郷のようなものです。実際にこの街には転生してこられた方々が多く住んでいます」
流暢な日本語に感心していると、
「どうかなさいましたか?」
首を傾げる仕草がいちいち可愛い。
「日本語お上手ですね。こっちの人、言葉通じないからどうしようかと」
ああ、と何かに思い至ったように手を叩くと、「私も日本人ですよ」と笑う。
ああ、可愛いなぁ―って違うッ! 日本人? どこからどう見ても違うだろ!?
言葉の真意をはかり損ねていると付け足すように、「神様にエルフにしてもらいました」と耳をピクピクと動かして見せる。
「エぇええッ!?」
そんなのありか!? いや、でも神様だから何でもありっちゃありだよな。
でもエルフって言えばゲームやラノベなんかでは強大な魔力を誇り、寿命は不老長寿なんて設定なんかもあるくらい長生きだよな。
種族変更なんて思いつきもしなかった。
まあ、下の下の三流高校の中でも成績悪かったからな。バカには思いつかない発想だ。
学校の勉強なんてこの世界じゃ役に立たない。ゲームはそれなりにやっていた。ラノベなんかもそれなりに読んでいた。ゲームやラノベの知識が役に立つ。まさに俺のための世界だ(言い過ぎかな?)。
「あ、着きました」
エルフの少女が歩みを止める。
「アナタにはこちらでこの世界について学んでいただきます」
少女が示す先には今まで散々通ってきたアレが建っていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
※アレってなんでしょうね。まあ、分かるかな。ちなみに筆者はアレ、嫌いでした。
次話へ続きます。
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