184話『懐かしい過去』セリ編

ちょっとした問題もあったみたいだがなんとか夏祭りも終わり、数日和彦が休み取れるってコトだった

和彦と一緒にいられるなんて嬉しいから楽しみだ

その前に、レイとフェイに会っておくかな

そして今夜は契約に身体貸してあげて……

なんて考えながらレイの部屋に行くと、見覚えのない分厚い写真集が……テーブルの上に……

えっこれ…俺?なんでこんなものが…盗撮!?

「セリの非公式写真集だってカーニバルから100万で譲って貰ったんだ」

「だよね!?非公式だよね!?俺、身に覚えない写真ばっかだもん!?

えっなんて…?100万!?」

「安すぎるだろ」

「ぼったくられてんぞ!?カニバの奴…どっから入手したか知らねぇけど、レイだからってふっかけたな

叱ってやらないと、悪い子だ」

レイの膝に乗って非公式写真集の中身を確認すると、やっぱりどれも盗撮だな…

でもどれも綺麗に良く撮れてて腕前はプロだ

「非公式なコトに怒るかと思った」

「ん?いやまぁ盗撮は嫌だが、セレンの発売禁止レベルのエロ同人誌のおもちゃにされてるのに比べたら可愛いもんだなって」

非公式写真集はそういう際どいのはなく、純粋にファンとして愛を感じるもん

全部カッコ良くか、綺麗か、可愛く撮れてる

俺も自分でほしいくらいだ、公式にしようかな

「女神セレンのせいでセリが寛容になってる…」

そんな話をしているとソファの後ろから顔を出す噂の女…

「呼びました~?」

「うわっ!?セレン!?いつからそこに!?」

驚きと一緒にレイの膝から離れる

「いけませんわセリ様!!そのままそのまま」

とセレンはぐいぐい俺を引っ張ってレイの膝に無理矢理座らせた

「セリ様がレイ様の部屋に入る時に後ろからこそっとお邪魔しましたわ」

怖い女だよ…セレンって身長倍くらいあるから屈んでも俺の後ろじゃ隠れきれねぇだろ…

「お2人が最近ご無沙汰だとお聞きしまして!!」

事情があんだよ…ほっとけ

「セレン渾身の新作同人誌を献上致しますわ」

セレンは押し付けるように見て見てと圧が凄い

「お2人のラブラブ具合が不足しており、セレンも寂しいですわ…

でもこの同人誌に全ての妄想を注ぎ込み…レイ様とセリ様のイチャイチャを…!!」

見たくねぇな~……

と冷たい目をセレンに向けつつ、同人誌のページをめくる

「1ページ目からエロ展開!?」

「エロをもっと…セレンにお2人のエロをもっと!!

和彦様とセリ様でも、香月様とセリ様でも、フェイ様とセリ様でも、良いんですが…!!

やはりセレンの推しカップリングはレイ様とセリ様ですもの!!そこがほしいのですわ!!」

ってか、なんでコイツは俺達のそういうの把握してるんだよ…怖いんだけどいつも

あっそう…と聞き流しながらページをめくっていく

セレンの絵もだんだん上手くなってきてるな…なんか…凄い…引き込まれると言うか…

変な気分になる…エロすぎないか

って、セレンの思惑通りになりそうでなんかムカつく…

「……もう帰れ」

「はっ!ではでは、セレンはこれにて」

いつものセレンなら追い出されそうになるとだだをこねるのに、今回は素直に出て行った

同人誌は置いたまま…これも持って帰れや

セレンがいなくなると静かになって……

えっ…どうしよう、レイと2人っきり緊張してきた

変な気分になってるし……

そう思っていたのは俺だけじゃなくて、レイは俺をソファに押し倒してキスしてくれる

やば…そんな…レイ…今キスされたら……我慢できなくなって、もっとほしくなるのに

「……セリ…困ったな…我慢していたのに」

昼間なのに…こんな気分になるなんて

セレンの奴……でも、そうなったのは自分だ

「我慢しなくていいよ、俺も我慢できないもん

…今は……俺を、レイの好きにして」

返事の代わりにレイがキスで俺の口を塞ぐ

熱い舌が入ってきて…その刺激が全身を巡る

レイの手が服の中に、肌を撫でられて…

こんなにレイと触れ合うのは本当に久しぶりかも、契約に代わるコトが多かったし

この前も思ったけど、レイとこうしてここから先も…契約が羨ましいよ

「貴重な時間を独り占めしないでもらえます?」

レイと俺の2人っきりの部屋でフェイの声が聞こえたと思ったら、冷たい水をぶっかけられた

「なっ、何!?何が起きたんだよ!?」

ビックリしてレイと一緒に身体を起こす

目に入ったのは不機嫌な顔をしたフェイが空のコップを持っている

お、おいおい…そのコップの水をレイと俺にかけて邪魔したんかオマエ…

「フェイ…」

レイもレイで邪魔されてフェイを睨み返す

「レイも邪魔をするんでしょう?それなら私も邪魔します

明日からセリ様は和彦様とお出かけと聞いておりますから、その前に会いたかったので

レイにばかり時間を取られては困ります」

フェイはレイと反対側の俺の隣に座ると、俺の腰に手をやりそのままレイから奪うように自分の方へ引き寄せた

「珍しく素直じゃん、俺に会いたいなんて」

「もう私の気持ちは知られていますし…

セリ様まで水で濡らすつもりはなかったんですよ」

そう言ってフェイは少し濡れた俺の髪を撫でる

「風邪を引いたら…和彦様とのお出かけは中止ですね」

根に持ってるな~…和彦への嫌がらせか?

「俺はこれくらいじゃ風邪引かねぇよ」

「そうですか?それなら数日会えない前に…」

フェイの顔が近付いてキスされるかと思った寸前で後ろからレイの手が伸びて俺の口を塞ぎもう片方を腰に手を回してそのままフェイから奪い返すように引き寄せた

「……レイ…自分だけズルいですよ」

「今度はお前がオレからセリを奪ってみたらどうだ?」

レイはこの前負けたみたいになったのが嫌だったのか!?

待て待て、またあんなコトになるのは俺は嫌だぞ!?

「そんな簡単な事で」

俺は口を塞ぐレイの手を離して2人にストップをかける

「勝手なコト言うな!この前みたいなコトまた怒るぞ?」

たまに暴走するが、2人ともなんやかんや俺の話を聞く姿勢を見せては一旦大人しくなる

まだ火がつく前に止められた感じか?火がついたら俺も止められねぇもんな

「フェイ、俺は後でオマエにも会いに行くつもりだった

レイの邪魔しなくてもオマエとの時間もちゃんと考えていたよ」

「………私は…セリ様の恋人ではありません

私のための時間だなんて…

私は友人のレイからセリ様を寝取りたいだけです」

歪んでるな~…受け入れよう

でも、今はダメだ

「2人同時に相手する気分じゃねぇの」

かと言って、2人を前にどっちかを選ぶってのも難しい

ちょっと困ったな…って無意識に顔に出てしまっていたのか、レイが気付いてくれた

「……フェイの事は気に入らないが、オレは後で構わない

香月さんと和彦さんの事も理解してるつもりだし、そこにフェイが入ったくらいで何も変わりはしない

オレはセリの全てを愛して理解して受け入れてるんだ」

レイ……

そんな包容力のあるレイが素敵で大好き

ちょっと前のすぐメンヘラスイッチが入って暴れてたレイはどこへやら

大人になったんだな…嬉しいけど、メンヘラスイッチがなくなったワケじゃないから気を付けないとまた大変なコトになるかもしれない

「レイ……大好き……」

俺より年下なのに、大人の対応ができるレイを惚れ直しているとフェイがムッとしたコトに俺は気付かなかった

「何余裕ぶっているんですか?遠慮してくれてありがたいですが、そればかりだとレイの分のセリ様との時間も私に奪われるかもしれないのに」

「……セリはそんな不平等な事はしない」

「私が無理矢理監禁するかもしれないですね」

オマエはレイより年上なんだからもっと大人になれよ!?煽るな!!

この前の夏祭りはオマエの方が大人ぶってたろ!?

仲良くしろとは言わないが、ってかコイツら友人同士で俺が絡まなかったら結構仲良くて信頼し合ってるハズなんだがな

「自分は殺されないと勘違いしていないか?やりすぎると殺すぞ

いくら友人のお前でもセリをオレから奪うと言うなら殺す」

「それそれ、レイはそうでなくては

私はその殺す気で来るレイの方が好きです

返り討ちにして泣かせてあげますから」

ピリついていた空気がより一層濃くなって息苦しくなる

殺意がぶつかり合ってる…恐い

でも止められるのはやっぱり俺だけか…

「俺がいるコトでオマエ達が仲違いするなら…」

離れるコトも仕方ないのかなってたまに思うけど、俺がそれを決めるコトは絶対にできなかった

「セリがオレから離れると言うなら殺してやり直す」

そうだったな!?実際そうなって殺されかけたし

「セリ様が私から離れられるわけないでしょう?どんな場所に逃げ隠れしても私は必ず見つけ出して引きずり出しますからね

その後は離れようなんて考えられないくらいの酷い目にあわせてあげます」

うん……知ってた

実は俺がみんなを受け入れてるんじゃなくて、俺は香月と和彦と目の前のレイとフェイの4人から逃げられないってだけなんだ

なんやかんやあって4人のコトが好きだから上手くいってるようなもん

もし俺が嫌いになっても絶対に4人からは逃げられない

俺の気持ちなんて関係ない奴らしかいなかった

まともな奴なんていない

それでも、みんなのコトが好きなんだから、俺もちゃんとおかしい

「わかった…わかったから落ち着け

それじゃあ、レイはまた後で」

フェイと一緒に部屋を出る前にレイの耳元へと唇を寄せる

「さっきの続き…楽しみにしてるね」

囁いて、そのままレイの耳にキスして離れる

笑ってレイの顔を見ると、レイは顔を真っ赤にして固まっていた

これはもう見えてないな…本当にレイは俺のコト死ぬほど好きなんだから、それがまた嬉しいんだけどさ

フェイと一緒にレイの部屋から出ると、たまたまカニバがオミノを連れてやってきた

そろそろ帰るみたいだ

「セリちゃん、僕帰るから」

「あっカニバ、ちょっと待て

オマエこれから怒られるんだが、心当たりないか?」

そう聞くとカニバはわかりやすく目を逸らした

「………何のコト?僕は良い子だぞ」

「オミノ、カニバの財布にいくら入ってる?」

「そうですねぇ…130万ほど、いつの間にこんな大金が!?カーニバル様、50万はタキヤ様からお小遣い貰ってましたな!?

色々と使ったのに何で増えてんですか!?」

50万お小遣い貰いすぎじゃ…カニバ子供だぞ、そんな大金与えたらダメだろ

「勝手に増えたんだもん!!」

「そんなワケあるか!?こらカニバ!なんでウソつく?レイから巻き上げたコト知ってるんだぞ」

「ちっアイツ、ゲロったのかよ

僕は悪くないだろ、何が悪い?」

開き直り!?

「騙して百万で売りつけただろ、そんな百万もするものをオマエが買えるワケがないだろ」

小遣い50万だし、いや渡しすぎだろタキヤの奴

「騙した?セリちゃんはわかってねぇな

あの写真集は百万の価値がある(レイにとって)

百万の価値を百万で売って何が悪いんだよ!?

本人だって安すぎるって言ってたんだぞ

200円もしないカードが、プレミアムがついて数千万するコトもあるのに何が違うって言うんだ!?」

「ぐっ……い、言い返せねぇ……」

子供だと思っていたのに、カニバの方が一枚上手だ

これじゃらちがあかねぇ

俺から見ると、タダか定価で手に入れたものを騙して売った

カニバから見ると、タダか定価で手に入れたものを価値として売った

これは平行線になる

「でもカニバ…最初にオマエはウソついただろ?

それは俺に怒られると思ったから、悪くないなら何でウソついたんだ?怒られると思った?」

「それは……」

「オマエは儲けようと思ってやったんだろ?

レイから百万出すって言うのと、オマエから百万で売るって言うのとじゃ違う

それはわかるか?」

「……うん…レイから言うから価値があって、僕から言うのは……騙してた」

「俺はオマエが人を騙したりするような子になってほしくないぞ」

「ごめんなさい…セリちゃん

騙す時は悪い奴の時だけにするよ…騙し討ちは時に必要だと思うもん」

カニバは怒られて少し落ち込む

俺はそんなカニバを抱き締めた

嫌いで怒ってるんじゃない、オマエのコト大好きだから悪い子になってほしくないから

「レイに謝ってお金返してから帰るよ

セリちゃんまたね、バイバイ」

「うん良い子だ、また遊びに来いよ

俺はいつでもオマエを待ってるから」

カニバの頭を撫でてやると、とても嬉しそうに笑った

まだ子供だから仕方ないよな

俺に笑顔で手を振ってカニバはオミノと一緒にレイに会いに行った

「待たせたな、フェイ」

隣でずっと俺とカニバの話を待ってくれていたフェイを見上げる

「いえ」

先に歩き出すフェイに追い付いて隣を歩く時に辺りを見渡して人がいないコトを確認する

誰もいないとわかったら、俺はフェイの手を握った

「なんですか急に!?」

「ダメだった?」

驚いて顔を真っ赤にするフェイに、笑って聞く

「駄目です…こんな恋人みたいな事……」

「ダメなら手を離せばいいのに」

ダメと言いながらもフェイは俺の手をしっかり握り返す

素直じゃないんだから……ふふ、可愛いとこもあるんだな

「その余裕そうな顔ムカつきます…」

「俺のコト好きなくせに」

「好きじゃありません」

「そうなんだ…じゃあレイのとこに帰ろうかな

明日から暫く会えなくなるけど、俺のコト好きじゃないなら平気だもんな」

少し寂しげに悲しく、そっとフェイから手を離す

するとフェイは俺を壁へと追いやり後ろの壁に手をつく

「……セリ様の事は好きじゃありませんが、レイの所には帰しません…」

フェイの顔が近付いて目を閉じると唇が重なる

いつもなら血が出るくらい強く噛まれたりするのに、今日は優しめのキスだった

言ってるコトとやってるコトが変だぞ

でも、素直じゃないのがフェイだからいいか

言葉じゃなくて行動で好きを伝えてくれるから

「セリ様……」

一度唇が離れて、フェイはもう一度と言うタイミングでパッと身体が離れたからどうしたんだろ?って思っていると

鬼神が俺達を見つけてフェイの名前を呼んだ

誰か来る気配を感じたから離れたのか

ちょっと残念

「見つけたフェイ先輩!和彦様がお呼びのようです」

鬼神はフェイの前までやってくると用件を伝え、俺に会釈する

そういや千年以上生きてる鬼神って21歳の人間のフェイを先輩って呼んでたな、おもろ

「和彦様が?わかりました

セリ様、私の部屋で待っていてください

すぐ戻るつもりですが、1時間経っても戻らなければレイに譲ります…会ってやってください

私は数日後セリ様が帰ってからその分の時間を頂きます」

「わかった、いってらっしゃいフェイ」

フェイと鬼神の2人に手を振りながら見送ってから俺はフェイの部屋に向かった

ちゃんと俺との時間がほしいって素直に言えるじゃん

たまに素直に言える時もあるのに、たまに照れ隠しで反対のコト言うんだから

まぁ俺も少し前まではフェイのコト死ぬほど嫌いだったのに、まさか好きになるなんてな

……俺って、どっかおかしいんじゃ……

フェイの部屋の途中で後ろから天使に呼び止められる

「セリくん」

「ん?天使か、どうした?」

「あのね…ちょっとついて来てほしくて」

「いいけど、どこに行くんだ?」

天使は俺の手を掴んで引っ張る

引かれるまま俺はついていくが…

うーん天使のコトは信用しているが、なんだかちょっと様子が変じゃないか?

いつもの無邪気な笑顔がない…どうしたんだ

それに俺が1人になるのを待っていたかのようなタイミングだ

連れられるまま街へ出て、さらに人気のない街外れまでやってきた

「こんな所に連れて来て…ん…あれ、なんか……急に眠く…」

契約が表に出て来る時はふっと意識が途切れる感覚だが、これは違う…なんだか、凄く眠くなって…

立っていられない…地面に膝がついて、それでも眠気が襲ってきてそのまま倒れ込む

「……セリくんは間違えちゃっただけなんだよね……大丈夫、俺が正してあげるから

俺が結夢ちゃんのコト助けてあげるんだ」

天使が何か言ってるようだったが、俺は深い眠りにつくコトになった



どのくらい眠っていたかはわからないが、目が覚めると真っ暗な空間にいた

「ん、ん……なんだ…ここ…?」

なんだか、狭いような…そして懐かしくもある

真っ暗で狭い空間…俺は知っている

手を伸ばすと木の板のような感触がする

これって…まさか!?

少し重いその木の板をどかすと、広がる光景は俺がこの世界にはじめて来た時のまま

棺桶がズラリと並ぶ廃墟のような場所

ここって…やっぱり、はじまりの場所じゃないか!?

なんで俺はこんな所に……

もしかして……過去に戻ってる?

その可能性が過った俺はバッと後ろを振り向く

本当に過去に戻っているなら、この世界ではじめて会ったのはレイだ

俺の後ろの棺桶にいて声をかけられた……

「いない…?」

だけど、俺の後ろには誰もいなかった

それじゃあ…ここは過去じゃ…

「お目覚めでござるか、絶望的貧乳女」

………えっ?この声……って

声の方に視線をやると、見覚えのある懐かしい首巻きに忍者の格好をしたふくよかな体型の男の姿が……

「あっ…お、オマエ……!?」

まさか……まさか……ロック…なのか?

この場所でレイと一緒に出会った男

ロック……はローズと一緒に死んだのに、どうしてここに?

ここは……やっぱり過去の世界なのか?

「初対面に対してお前とは失礼なおなごでござるな」

「ちょっと待てや!感動の再会で聞き逃したが、誰が絶望的貧乳女だ!懐かしいなおい!!

オマエの方が先に失礼なコト言ってんじゃん!!ってか、俺は男だ!!」

「拙者はロリ巨乳派、10歳くらいで老婆

どう見てもお主は15歳くらいではないか」

ちょうど10歳のマールミがロックの中でロリなのか老婆なのか気になる

「俺は23歳だし男だって言ってんだろ!?相変わらず尖りすぎだろ!?」

また会えて嬉しいと言うより腹立つな

とにかく話を変えよう、聞きたいコトもあるしな

「落ち着けロック、まずは聞きたいんだが」

「何故拙者の名を!?」

あっしまった…ロックからしたら初対面なんだよな

どうしよう…変に隠してもあれか?正直に話すか?ヤバい奴って思われるか?

「…実は、俺は過去に戻ったようなんだ

だからオマエの名前がロックだってコトを知っていて、戦闘に入ると今の体型とは変わってスリムになり声もイケボになるってコトも知ってる

もちろんオマエがロリコンだってのも知っていたよ」

「…………タイムスリップ!?タイムスリップでござるか!?」

おっなんかいけそう、ロックは話せばわかる奴だもんな

「わからない…だが、この場所にいて俺を知らないロックがいるってコトはそうかもしれない

聞きたいんだが、レイ…えっと金髪で夜色の瞳をした見ただけでコイツが世界一のイケメンかみたいな男を見なかったか?」

「世界一のイケメンだと…?爆発する?

そのイケメンとどういう関係でござるか?まさか恋人同士ではあるまいな!?リア充は爆発でござるぞ!!」

「まだ…恋人同士じゃねぇけど……いつかは、そうなる……かな」

「きえええええええいいあああ!!!」

俺がちょっと照れるとロックは気が狂ったように叫んだ

お、落ち着いて……

「金髪なら後ろ姿だけなら見たでござるよ

顔は見ていないから世界一のイケメンかどうかはわからぬな」

急に落ち着いて教えてくれる!?

「後ろ姿だけ?」

「うむ、拙者が目が覚めた時にちょうど天使様に手を引かれるようにして金髪の男がこの廃墟から出て行ったでござる」

ロックはついさっきなんだがと思い出しながら話してくれる

「天使……様?」

「逆光で顔は見えなかったが、真っ白な翼があったから天使様に見えたでござるよ」

金髪と翼のある天使…

それだけで心当たりはある

金髪はレイで、翼のある天使は天使だ

顔が見えていないから詳しく聞けないってコトは人違いの可能性もある

この世界に金髪は多いし、翼のある天使も神族に多く仕えているもんな

でも、もしレイと天使なら…どうして天使はレイだけを連れ出したりするんだ?

そもそもここが過去の世界ならまだ天使は存在しないハズ

それに、俺は天使に連れ出されて眠くなって目が覚めたらこの状況だ

ヤバい…こんがらがってワケわからなくなってきてる

もう1つ、俺は勇者の剣を持ってる

天使に連れ出され眠くなった時の服装のままだし

勇者の剣も最初から持っていたワケじゃねぇしな…色々と不思議だが

目の前のロックの反応からして過去の世界として行動した方がいいか?

「……追い掛けるなら拙者もお供してやってもいいでござるよ」

「えっ?良いのか?」

俺が困った顔をしていたのかロックから頼もしい申し出をしてくれる

やれやれと大袈裟な動きと一緒に、でも優しい奴

「おなごを1人ここに置いて行くなど男子として出来ぬでござるよ

リア充は爆発でも、困ったおなごは放っておけぬでござる

ロリでない老婆でも、おなごに優しくするのは男子として当然でござるからな」

「ロック………」

知ってたけど、ロックは良い奴だよな

でも、俺は男だって言ってるのに全然信じてくれないのもロックらしいよな

「ありがとう、心強いぜ」

俺が微笑むとロックは親指立ててみせた

こうして俺はロックと一緒にレイと天使かもしれない金髪の男と翼のある天使を追い掛けるコトになった



戦闘になるとロックはスリムになってイケボで次々とモンスターを倒す

俺の知ってるロックだと懐かしい

俺が回復魔法を使えると知るとロックは「背中は任せたでござるよ」と笑った

なんだか、変な感じだな

俺の知ってる過去は、レイも一緒でロックはレイとは対等に話すが、俺のコトはずっとレイの彼女と思っていて女だから足手まといだと言っていた

その時は俺も自分が回復魔法を使えると思っていなかったから本当に足手まといだったよな…

「追い掛けるって話だったけど、本当にこっちで合ってるのかな」

ふと思ったコトを口にする

「わからぬ」

だよな!?ロックも追い掛けるって言ってくれて男に二言はないって奴だからずっと俺と一緒にいてくれるが、このままロックに甘えていいのだろうか

「ロック…付き合ってくれて嬉しいけど、オマエにも自分の都合があるだろうから俺に付き合うコトないからな」

「この世界に来たばかりで拙者に都合などござらんよ

男子に二言なし、おセリ殿が彼氏に会えるまで付き合うでござる

会えたら爆発させるでござる」

引き合わせたいのか引き裂きたいのかどっちだそれ!?

おセリ殿!?はじめて聞いた!?

そういやいつもレイ殿の彼女って呼ばれてたもんな、名前で呼ばれるのははじめてか?

ローズのコトは姫って呼んでたが

「そっか、ありがとなロック

早く会えるといいな…」

ロック以外にももう1人くらい知り合いに会えたらその反応で過去かどうかもハッキリわかりそうなんだがな

今はまだ本当に過去の世界なのかどうか半信半疑だ

「しっ」

急にロックが静かにと俺の頭を下げさせ、自分も屈み茂みに隠れる

一体どうしたんだ?って顔で見ると、ロックは小声で言う

「魔物でござる…あれは勇者でなければ倒せぬ存在

見つかると厄介でござるよ」

なんだ魔物か、ロックの目先には可愛い姿の魔物が歩いていた

レベルの低い魔物だが、勇者の俺以外はそれなりに脅威を感じるか

「ふふふ…その勇者は俺のコトだ」

「勇者は男でござる」

「だから俺は男なんだって!!」

俺が大声を出したコトで魔物に気付かれてしまった

「阿呆でござる!逃げるでござるよ!!」

ロックは俺の手を引っ張り逃げようとしたが、魔物に回り込まれ魔物は鋭い牙をむき出しにしてロックに噛みつこうと飛びかかる

「やめろ!!」

俺が前に出て止めるように手を前に出すと、凄い牙をむき出していた魔物は牙をしまいそのまま俺の手にパクついて甘噛みしている

「うん良い子だ、大人しくお家に帰りな」

俺が頭を撫でてやると魔物は満足そうにして去っていった

「……あの魔物が…去っていく」

レベルの低い魔物はよく懐いてくれる

レベルが高くなるとキルラやポップのように友好的な魔族もいれば、勇者を良く思わない敵視する魔族に分かれるな

「言っただろ、俺は勇者だって」

「あの魔物はおなごが好きなスケベな奴だったのでござるな」

「認めろよ!?」


そんなこんなで日も暮れ、今日も野宿するコトになった

「また野宿ヤダな~」

「これだからおなごは…」

「だってお風呂入れないじゃん、ふかふかのベットでぬくぬく寝たいし、お腹も空いた~」

「我慢しろでござる」

「レイはいつも野宿は避けてくれるし、ご飯奢ってくれるし、添い寝もしてくれてたもん!」

「リア充自慢!?とっとと寝ろでござる!!旅をすると言う事は何日も空腹と戦い何日も風呂に入れず何日も野宿でござるよ!!」

「何日もお風呂に入れない…!?そんなの無理なんだが!!」

「前の世界ではお姫様かお嬢様だったでござるか!?」

文句言っても仕方ないと、俺は横になって目を閉じた

数時間立つと喉が渇いて目が覚める

「お水……喉渇いた」

眠い目をこすりながらフラフラと起き上がる

いびきをかいて寝るロックの横を通り過ぎて、近くの川まで歩く

冷たい水に触れたコトで寝ぼけた感じから少し目が覚める

過去に戻って?から何日か経つが、寝て覚めても元の時間には戻らねぇな…

このまま自分のいた時間に戻れなかったら…また1からみんなに出会ったりのやり直しになるんだろうか…

最初に会うハズのレイと会えていないのに…同じような未来のようにまたみんなに出逢えるのだろうか?

はぁ…なんだか人肌恋しいな…

本当なら今頃は和彦と一緒だもん……

和彦に会いたいな…香月に会いたい…レイとフェイと……みんなに会いたい

好きな人達のコトを考えていると、水面に大きな影が映る

気付いた俺は振り向くより先に川へと飛び込んだ

距離を取って後ろを振り向くと、俺がいた場所は大きな穴が空く

そしてそこには大型の魔族が立っていた

「勇者……殺…」

そのタイプか、魔族の中でも勇者をよく思わない奴はいる

俺を殺しに来るってんなら、受けて立つ

暗くてよく見えないが魔族の左手は何か持っているようだ

武器か?変な形の武器だな…

だが、魔族はその武器を使わず、右手を伸ばし俺に襲い掛かる

クソ…勇者の剣は置いてきてしまった

川の中を探ると片手におさまる石を掴み、魔族が伸ばした右手に力いっぱいぶつける

すぐに石は砕け散るが、魔族の右手も砕けたようで痛がっている

勇者の力が強すぎてここらに転がってる武器になりそうなものは耐えられないから使えないな

勇者の剣がほしいところだが、コイツの後ろの先…どうやって取りに行く?

「おセリ殿ーーー!!無事でござるか!?」

「ロック!?」

騒ぎに気付いたロックが叫ぶ

いける!ロックが勇者の剣をこっちに投げてくれれば…

「ロック!俺の剣をこっちに投げてくれないか!?」

「わかったでござ………?む、無理でござる!!おセリ殿の剣に拙者は何故か触れる事が出来ぬでござるよーー!?」

だーーー!?そうだった!!

勇者の剣は俺以外触れるコトが出来ないんだ!?

伝説級の武器なのに狙われないのは俺しか触るコトが出来ないから、ここに来てピンチすぎる!?

「拙者が注意を引きつけるでござる!その隙に」

「危ないだろロック!やめろ!?」

俺が止めるのも聞かずロックは手裏剣を魔族に投げ飛ばすが、魔族は何の反応もしないどころか俺にしか眼中なくロックの心配をした俺の隙を狙って左手に持っていた武器を俺に投げつけた

「っ…!?」

投げつけられた武器ごと俺は川の向こう岸まで吹き飛び、木に身体を強く打ち付けた

回復魔法で痛くはないが…投げつけられた魔族の武器が俺に覆い被さってすぐに身動きがとれない

「うっ…重い……ん…?」

なんだか…血の匂いがする…俺は回復魔法があるから大きな怪我はしてないし自分の血じゃない

暗くてよく見えなくて魔族の武器と思っていたが……これって人じゃないか!?

手で掴むと人の肌のような柔らかさがある

人の上半身?下半身がない……

あの魔族、人間の上半身を持ってたのか

なんて酷いコトを……

「えっ…」

真夜中の暗さでも、月明かりで少しは見える

近くで見て…よくわかる……

魔族が俺に投げつけた人間の上半身の顔を見て、俺は言葉を失う

「ウ…ソ……だ…」

信じられない…信じたくない……

だって…この死んでるんだろ…?ウソだ…ウソだって…言って……

「レイ……」

震える声とともに…あの時の気持ちが込み上げる

和彦が殺された時と同じ感情が……

レイまで…こんなコトになるなんて……嫌だ

「おセリ殿!?逃げるでござる!!」

ロックが叫ぶ声も聞こえず、俺は息も出来ないくらいのショックに涙を零しながら震えるしかできなかった

「セリ様ーーーーー!!」

また懐かしい声が俺の名前を呼ぶと、そのまま魔族に突進して俺の目の前に姿を現す

「やっぱりセリ様ですね!魔物がセリ様を見かけたと聞いて…どうしたんすか!?」

俺が泣いているコトに驚いて慌てふためく

「えっ……ラ、ナ…?」

上半身は人、下半身は羊の魔族

ラナも…過去にタキヤのゲームに巻き込まれて、俺が…殺してしまったようなもの

過去に戻ったなら生きていて当たり前か

ラナはさっきの魔族を少しだけ退けただけで戦って勝てる相手じゃないと見たのか

俺を連れて逃げようとしてくれる

「逃げますよ」

「嫌…レイを置いていけない」

「お友達ですか?セリ様にお友達が出来るなんて珍しいですけど

仕方ないっすね~もう」

ラナは絶望してる俺と一緒にレイの上半身も一緒に運んでくれて、ロックと合流する

ラナもロックもお互いが味方であると瞬時に判断したようだ

「おセリ殿、自分の剣は持つでござる」

言われた通り勇者の剣を掴むと、ラナはロックと一緒に猛スピードで敵の魔族から離れた

そして、追ってこれないくらい離れた場所で俺とレイを下ろしてくれて……

やっぱり何度見ても…死んでるのはレイだった

「レイ…本当に過去に戻ったなら、もうレイは……うぅっ」

「この人がおセリ殿の恋人のレイ殿でござるか……あまりにも酷い姿で……辛いであるな…」

ロックは傍で心配そうに見守ってくれる

「セリ様の恋人?香月様ですよね?」

魔族のラナは大切な人が亡くなる悲しみを、人間の気持ちがわからなかった

「セリ様は生まれ変わる度に記憶がなくなりますから、香月様を忘れるのは仕方ないっすけど

香月様以外の恋人がいるって話ははじめてですよね~」

「魔族でおセリ殿の知り合いのようだが、無神経ではござらぬか?

何の話をしているでござる」

「あっ?無神経?魔族のオレが人間のセリ様の気持ちわかるわきゃねーべ

なんで泣いてんだよ、ただ人間1人死んだだけだべさ」

2人が衝突しそうになり、俺は静かに悲しんでもいられないのかと弱々しく立ち上がって2人の間に入る

「ロック、怒ってくれてありがとう

でもラナは魔族だから人間の気持ちが理解出来ないのは俺もわかってるから仕方ないんだよ」

「セリ様…オレの事知って…」

泣き声と鼻をすすりながらラナに俺は過去に来たみたいだと話す

「どひゃ~!?って事はオレらから見て未来のセリ様!?」

俺がラナのコトを知っていたコトにすんなりと信じてくれる

みんな結構信じてくれるな未来から来たって話、俺ならなかなか信じねぇぞ

天使が過去に行く魔法が使えるって話を聞いていなかったら信じていな……あっ

思い出した

天使は過去に行く魔法を使える

そうだ…そうか!だから、ここは本当に過去の世界なんだ

もっと早くに気付くべきだった

それなら天使を探してまた過去に行けばレイを助けられるかもしれない

レイが死んだコトは天使自身も思いもしなかっただろう

きっとどこかで泣いてる

泣いてる暇なんてないって天使に喝を入れてやらないとな

そしてなんでこんなコトをしたのか…

俺は涙を拭いて、前を見る

「これから天使を捜す…2人とも、俺1人じゃこの世界を歩くのは厳しい

協力してくれるか?お願いだ…レイを助けたい」

「オレはセリ様のお願いなら協力しまっせ」

「おなごのお願いなら聞くでござるよ」

「はっ?セリ様は男だべ」

「絶望的貧乳おなごであるぞ」

ラナとロックは相性悪そうだけど…でも2人とも協力してくれるって言ってくれて心強い

未来にはいない2人が………嬉しい

そして、俺は天使を捜す前にレイの顔に近付く

「レイ……ごめんな、必ず助けるから…待っててくれ」

2人が見ているのも関係なしに、俺はレイの頬に手を添えてその唇へとキスをする

「ひゃ~ん!セリ様は人前では絶対イチャつかないって徹底してたのに、香月様よりその男の方が好きなんだべか!?」

ラナは大袈裟に手で顔を隠すが指の間からガッツリ見てる

ロックはリア充が目の前でキスしてるのを見て倒れてた

「香月と同じくらい好きだよ、たぶんね」

俺は大悪魔シンの影響でレイを好きにさせられてるらしいが、もう俺はちゃんとレイのコト好きだって自信はある

「二股!?二股ですか~!?生き返っても香月様に殺されますよその男」

「香月はそんなコト気にしないよ

未来では香月も知ってるし、俺は4人と付き合ってるもん」

「………そんなセリ様はオレは知らないですけど!?今回のセリ様の運命はどうなってるんすか~!?どひゃーーー!!」

いつもとは違う運命…だからこそ、俺の絶望の運命を変えられるかもしれないんだ

でもその前に、俺の運命に大切なレイの死ぬ運命を変える

レイは俺の大切な人、絶対に失いたくない

そして、未来では…目の前の過去のロックとラナも死なせない



ロックとラナと一緒に天使を捜す旅に出るコトになってから数日が経った

「香月様に連絡はして、天使を捜してはくださってるみたいですけど

最近見かけたみたいでその後の行方はわからないそうですね~」

ラナが気を利かせて香月にも、天使の特徴を伝えてくれたようだ

まぁ特徴って言っても簡単で、俺にソックリ瓜二つで翼があって中身は9歳ってわかりやすいやつ

もっと簡単に言えば、俺を捜せ

「えっ?香月は天使と会ったコトがあるのか?」

それって大丈夫だったんだろうか…悪い意味で

未来の香月は俺が天使含めたみんなと知り合いだから殺さないでいてくれてるけど、過去の香月は誰が俺の知り合いかわからない

香月の性格からして、俺に関係なければ簡単に殺すコトもあるもんな…

行方はわからないって言ってるなら殺してはいないんだろうけど、半殺しくらいしてても驚かない

と言うか、天使はレイと一緒だったハズ…?

それならレイを殺したのは……香月なのか…?

レイは超強いから、殺せるのは香月くらい……

嫌なコトを考えてしまう

でも、香月は悪くない……

俺が先にレイに出会っていなかったから…レイと一緒にいなかった俺が悪いんだ…

「そうみたいっすね~

セリ様は香月様に会いたくないんすか?

香月様は会いたそうでしたよ」

「会いたいよ、会いたいけど早く天使を捜してレイを助けたいから

今香月に会っても俺はレイのコト考えちゃうもん…」

恋人に会う時に他の恋人のコトを考えるのは嫌だからさ

目の前のその人だけを見て考えていたい

「しかし、香月が捜して見つからないなら俺達も同じで手掛かりすら掴めねぇな」

「おセリ殿と同じ容姿であれば目立つでござるよ

それなのに目撃者がいないのが困ったでござるな」

俺のような東洋系の見た目はかなり珍しい世界みたいだ

ロックは忍者だけど、西洋系だし

俺も未来ではそれなりに色々世界を見てきたが、東洋系の見た目は俺とセリカと和彦と鬼神と楊蝉と遊馬くらいだもんな

身内だけで、その辺で歩いてる人ではまったく見たコトがないし

「天使は空が飛べるからな…空を飛んで移動して隠れてたらかなり厳しいぜ…っ!?」

と俺は空を見ながら歩いていると、急に足元が崩れて激流の川へと滑り落ちた

「おセリ殿ーーー!!!」

「ぎゃーーー!!セリ様ーーー!?

夕べの嵐で地面が崩れやすくなって、しかも川が荒れてもう手の届かない遠くまで流されてるうううう!!!!」

詳しい説明ありがとうラナー!でももう流されまくって激流に抗えないしで力尽きて沈むしかなかった……


「うっ……ここ…は……?」

目が覚めると見慣れない天井が見えて、ベットの上にいる…

ラナとロックが助けてくれたのか?

ヤバかった…マジで死んだかと思った

生きてるコトが奇跡だ

「目が覚めましたか、セリさん」

声をかけられて視線を向けるより先に顔を覗き込まれる

「フェイ…?」

えっ!?もしかして元の時間に戻ったのか!?

実は俺はフェイの部屋でいつの間にか眠っていたと言うオチ!?

それにしては見慣れない天井だが……

「この世界で会えるとは思いませんでした

偶然にも川で貴方が浮いているのを見た時は色んな意味で驚きましたよ

死んでいたらとか、この世界で会えるなんてとか」

「そう…か…フェイが助けてくれたのか」

過去の世界のままか…だよな……

それにフェイさっき俺のコトさん付けで呼んでたし

最初はそう呼んでたな

目が覚めていつもの未来に戻っていたらよかったのに

過去もぐちゃぐちゃだ…レイは死なせてしまうし

和彦よりフェイに先に会うなんて

フェイは俺を跨ぐと顔を近付ける

えっ……

「和彦様より先に手を出したら怒られますかね?」

「お…おいおいおい!ちょっと待て!!」

フェイの胸を押し返そうと両手を伸ばすとフェイは片手で俺の両手首をまとめて掴んでベットに押し付けた

「どうして貴方の言う事を聞かなければいけないんですか?」

「俺が襲われてるからだけど!?」

前もよくこんなやり取りやったなって懐かしく思う

「襲っているんですよ、セリさんを見ていると犯したくてたまらなくなるんです」

そう言いながらフェイは俺の服を片手で器用に脱がしていく

「俺は川で溺れていたんだぞ!?」

「それなら特別に手加減してあげますよ」

フェイにキスされて身をよじる

俺もフェイのコト好きだから嫌ではないが、今はそんな気分じゃないし、早く天使を捜したいから……

って、過去のこの時の俺ならフェイのコト死ぬほど嫌いだった時だよな

フェイもそのつもりで来てるだろうし…

なら、とりあえず力を抜いてフェイのキスを受け入れる

「………珍しいですね…今日は抵抗しないで大人しく従うではありません…か…っ」

いつもの俺じゃないコトに戸惑ったフェイは俺の両手首を拘束する手の力を緩めた

よしきた!!!フェイの手をすり抜け身体を起こして逆にフェイを押し倒して馬乗りになる

「……えっ?」

さらに状況が読めないフェイは困惑している

「襲うのは得意でも襲われるのは慣れてねぇか?」

ふっ、過去の俺と思って甘く見たな

未来の俺はオマエのコトをよく知ってるぞ

俺から来られるのは弱いってコト

このままフェイを照れさせて引かせれば……

そう考えて、フェイにキスしようとしたら唇を強く噛まれて痛みに手で押さえて身体を引く

すぐにフェイはまた俺を押し倒し怖い笑みで見下ろしてきた

「…どういうつもりか知りませんが、何か勘違いしているのでは?

私が一方的に無理矢理貴方を犯すだけです」

そうだ…コイツ、ヤバい奴だった…

俺がなんとか出来るなんて無理だったんだ…

しかもさっきのめっちゃ怒ってるくないか?

今までフェイにされてきた恐怖が蘇って震えてしまう

未来の俺がおかしかった、これと恋愛なんて無理

なんで好きになった!?過去の俺はちゃんとフェイのコト大嫌いだったろ!?それが正解だ!!

「ご…ごめん…フェイ……」

「泣いて謝ったからって許しませんよ?

今日は二度と反抗する事がないようにキツくお仕置きしなければなりませんね」

それ未来の俺が二度とフェイを好きになるコトがないってくらいの意気込みだけど、大丈夫か!?

「もう反抗しない…だから許して」

「怯えているんですか?そんなに泣いて震えて……可愛いですね

だから沢山いじめたくなります」

ダメだコイツ、話が通じるような奴じゃない

むしろ未来のフェイは丸くなってた!!

たぶんあれだ、セリカに協力してそこで俺達をさん付けから様付けに変わったんだ

セリカに出逢って協力してから丸くなったような気がする

目の前の過去のフェイはまだセリカに出逢っていない!?

フェイのコトわかってるつもりで、わかってなかったのは俺の方だ…ヤバい…殺される……

「フェイ…待って、許して……

そんなコトされたら…もう二度とフェイのコト好きになれないよ……」

「嘘泣きですか?そうやって小悪魔な振る舞いで男を思い通りに転がしてきたんでしょうが、私は他の男とは違いますよ」

嘘泣きではない!ガチ泣きだ!!

俺は男を転がしてなんかいないし!!

なんか知らんけど、みんな俺のコト好きなだけだもん

フェイに首を掴まれ引き寄せられると強引に唇を奪われる

さっき噛まれた所に歯を立てられ新しい痛みが走った

「んんっ…!?」

痛みと血の味が広がるのを感じると、フェイは親指を俺の口に無理矢理ねじ込みこじ開ける

フェイの舌が入ってくる……熱い…痛いのに…身体も熱くなってくる

次はどんな痛みを与えられるのか恐怖していると、フェイは急に俺から手を離す

その直後に、部屋のドアをノックもなしに大きな音を立てて開けられた

しかも鍵は強引に壊されてる

いつもならそんな失礼な奴に怒るが、今回は助かっ……てねぇ!!!??

ズカズカと誰が入ってきたのかと思ったら、見覚えのあるフェイラブな王女とその取り巻きの屈強なボディガード達!?

こんな早くに遭遇するなんて!?過去が変わりすぎだーーー!!??

「怪しいと思ったんですの…この私を振って…他の女に手を出すとは……許せません……

フェイ様とそのメスブタを処刑しておしまい……」

またあの日の悪夢の再現か…!?変わらず俺は女に勘違いされてるし

いや待て、今回フェイは拘束されてない

助かる可能性の方が高いぞ

「王女様、貴女の気持ちは私にとって気持ち悪いものです

優しく断ったうちに諦めればいいものを…

引き下がらないとおっしゃるのなら、皆殺しに致します

邪魔をされて腹が立っているので」

フェイは自分の武器の槍を手に取ると、王女達を睨み付けた

「この人数相手に足手まといにしか見えない好きな人を守りきれるとお思いですの?

全員で掛かりなさい、女は人質にとって目の前で酷い目に遭わせてやるのです」

「好きな人…?誰が誰を?この人は別にそんな…ち、違うし…別に好きとかじゃ……」

今!?今照れるの!?フェイは顔を真っ赤にして震えるくらい動揺している

しっかりしろー!?俺達殺されるんだぞ!?

「まぁ~好きな人ではございませんの?」

そこに反応した王女は機嫌を良くして笑った後、試すようなコトを言い放つ

「そうであるならば、そのメスブタをこちらに渡して頂いても構いませんわね?

フェイ様の好きな方でないのであればその女がどうなろうと関係ないではありませんか

フェイ様は冷酷な方ですわ、気持ちのない女を庇うなんて事はしませんものねぇ…?」

楽しいわとケラケラ笑う王女に、フェイは眉を寄せる

「私は……別に……この人の事なんて……好きじゃ……ないです」

フェイは武器を持った手を下ろし、それを見た取り巻き達が俺を捕らえて王女の前に引きずり出した

「可哀想~、貴女はフェイ様にとって遊びだったそうよ

ただの売女だったのかしら、キャハハハ低俗で下品な女

……よく見ると、貴方男じゃないですか

フェイ様にはそちらの趣味が?

それなら私が振られたのも無理はありませんね~

だからと言って許しはしませんけどぉ」

ケラケラと笑う王女は取り巻きに命じる

「フェイ様…本当に好きではないなら、この男がどうなってもよろしいのですよね?

全員でこの男を陵辱しなさい、フェイ様によく見えるようになさるのよ」

展開は知っていたが……あの時はフェイは拘束されて俺を助けるコトが出来なかった

今回はフェイは武器も持っているし、いつでも動ける状態だ

でも動けば俺を好きだと認めるコトになるから動けない

素直じゃないフェイは…まだ子供だって和彦は言ってた

「フェイ…お願い…」

「……助けろと…?」

「ううん……見ないで、見られたくないだけ」

この展開はまだ早すぎたんだ

嫌だけど……嫌だけど、どうしようもないじゃん…

逃れられないなら…我慢して耐えなきゃいけない

これまでだってそうだったんだ…

1人目の男の手が伸びて過去のトラウマが頭に埋め尽くされる

怖い…気持ち悪い…汚い…吐き気が……

「忘れていました」

覚悟を決めて目を閉じようとした時、フェイの声が聞こえて目の前の手が吹き飛んだ

その後の動きは早く、フェイは取り巻きの男達を一瞬で殺す

「た、助けましたわね…!?やはりこの男の事が好きだとの証明です!」

一瞬で取り巻きがやられた王女は腰を抜かしてその場に崩れながらも口は達者のまま

「私はこの人の事が好きではありません

この人は私の主人の恋人です

主人の恋人を守るのは当然ではありませんか?」

「はい……?主人の恋人?主人の恋人に手を出すような」

王女の言葉を最後まで聞かず、フェイは王女の首を跳ねた

「私は主人の恋人を寝取るのが好きなだけですよ」

聞こえてもいないのにフェイは答えた

助けて…くれた?フェイ…

我慢して耐えるコトは心を殺すコトだった

それから解放されて…思わずフェイに抱き付く

怖かった…嫌だった……

ああいう時はいつも誰かに助けてほしかった

「セリさん!?わ、私は…別に貴方が好きで助けたのではなくて…」

「うん…わかってる…知ってるよ

でも…怖かったから……嫌だった…

助けてくれて、ありがとうフェイ…」

フェイは少しの間迷いに迷った手で、俺を抱き締めてくれる

もう好きって言ってるじゃん…わかりやすい奴

「私が怖くないのですか?」

「怖いけど?

…でも、嫌じゃないから」

「嫌じゃない…?」

「フェイに寝取られるのも…犯されるのも…」

笑って見上げるとフェイは顔を真っ赤にして固まる

嫌じゃないよ…未来の俺はフェイのコト好きだから

フェイになら犯されてもいい…無理矢理でも、めちゃくちゃにされても……

でもさっきみたいなガチで怒った時のフェイは怖すぎて嫌かな…

「セリさん…頭打ちました?」

「打ってるかもな

でも、助けてくれるのはありがたいけど殺すのはやりすぎだろ」

未来の方は……俺がやられたから…フェイは怒って殺した

でも今回は未遂だから殺さなくてもよかったとは思う

フェイなら手加減できただろうし

「私のものに手を出そうとした時点で殺しますよ」

「俺は和彦の恋人だから守るんじゃなかったっけ?」

「…そ、そう言いました」

少しだけ丸くなったフェイに近付いたかも?

それから、フェイは和彦が俺を捜しているコトを教えてくれた

この世界にいるかどうかわからない俺を捜してくれてたのは…そうだったな

過去か……思い出したくないコトだが、前の世界で和彦に殺された俺は終わったと思っていた

でも、今の俺はそんな過去の俺じゃない

未来の俺は、和彦と会うより先に大切な人を助けるために捜してる人がいるコトをフェイに話したが

それならそれで和彦の力を借りた方がいいとフェイに強引に和彦の所へ連れて行かれるコトになった

はぐれたままのロックとラナとも合流したいのに!?



和彦の屋敷に連れて行かれると、めっちゃ懐かしい~~~と屋敷の中をキョロキョロしてしまう

今は生死の神になって死者の国を治めてるもんな、過去の和彦はまだ人間だし

はじまりの場所もそうだが、とにかく何もかも懐かしいわ

和彦の部屋の前に来て、フェイが先にドアを開けて入る

「和彦様、セリさんをお連れしました」

フェイの後ろから俺が顔を出すと、和彦は俺に駆け寄って確認するようにまじまじと俺を見つめた

「セリくん…本当に……」

「和彦、俺は許す」

「まだ何も言ってないが……怒っていないのか?

オレが…セリくんを殺してしまった事を」

まずは和彦を安心させてやりたい

いきなり未来の話しても余計に混乱するだろうし、和彦はずっとそのコトを後悔して自分を責めているから……

俺の運命がオマエを狂わせてしまっただけなのに…

「怒ってないよ、和彦は何も悪くないんだ

俺は変わらず…ううん、もっともっと大好き

俺は今もこれからもずっと和彦の恋人だ」

「セリくん…悪かった……

愛していたのに…どうしてオレは」

和彦が俺を抱き締めてくれて、俺も抱き締め返す

「もうこの話はしたくないかな…怒ってないし許してるけど思い出したら、やっぱり辛いから

これからも俺を愛してくれるなら俺はそれで十分幸せだから」

「すまなかった…これからもセリくんを愛してる

もう死んでも離さないよ」

うん…知ってる…何度も聞いた、でも何度聞いても嬉しい

「……いや待て?フェイのコトは許してねぇぞ!?

確か、俺が和彦に殺されて死んだ後にオマエ死姦したって言ってたよな!?(未来で)」

ハッと思い出して俺は和彦から離れてフェイを指差す

「言っていないのに、何故それを!?」

フェイの動揺に、そんな的確に言い当てるコトあるか?と和彦は俺が変だと疑いの目を向ける

おっと、そろそろネタばらしするか

話を進めたいしな、早く天使を捜したい

「和彦もフェイも聞いてほしい

実は…信じられないような話だが、俺は未来から来たんだ」

俺だったらそんなコト言われたら笑ってしまうのに、和彦もフェイも笑いはしなかったが

フェイは俺を疑った

「未来から…?信じられませんね

もしかしてこの人は私達を騙す悪魔か何かかもしれません

悪魔なら人の心を読むのも得意でしょうし」

そ…そうなるか~!?確かに疑われてもおかしくない!!

ど、どうやって俺が未来から来たと証明したらいいんだ

「オレ達にしかわからない事を聞いても、心を読まれるなら証明にもならない

だが、セリくんが本物かどうか確かめる方法はある」

「さすが和彦様です!!」

方法があると和彦の言葉にフェイは期待する

悪魔祓いでも頼むのか?

和彦はいきなり俺を抱き上げた

ん?窓から落とされる展開?

「抱いて反応を見ればいい

本物かどうかそれでわかるだろ」

「そうですね、人の心を読む悪魔だとして質問には答えられてもセリさんと同じ反応は出来ません」

えっ…いや……えっ?いや、いやいやいや!?

そんなコトしてる場合じゃないぞ!?

過去の和彦に抱かれるなんてなんか変だし、俺はそんな気分じゃねぇ

「待て待て待て!?それ以外でなんかあるだろ!?」

「なんかとは何がある?

まさか本当にセリくんじゃない偽者か?

そんなに強く拒絶するなんて…怪しいな」

ふっと和彦は笑う

コイツ…たぶん、俺がちゃんと本物だってわかってるな……

フェイは俺を疑ってるみたいだが、和彦は違う

そのまま和彦は俺をベットに運び、俺の服を脱がしていく

「フェイが見てるけど!?嫌だぞ!?人に見られてするなんて…」

「それならフェイも混ざればいい」

未来ではまだ叶ってない3Pが過去でやってしまっていいのか!?ダメだろ!?まだそれは早いって!!

「いいんですか!?」

物凄い勢いで食い付いてくるフェイ

過去のこの時期の俺はオマエのコト死ぬほど嫌いなのに、未来の俺はフェイのコトも好きだから、なんとも言えない複雑さがあるよな…

そして、過去の和彦もフェイも未来の俺がフェイを好きっての知らないだろうし

「こ、困るよ!?今じゃないんだって!?今したら未来の和彦とフェイに怒られるだろ!?

2人を裏切れねぇから、今から和彦とフェイの3Pは無理だ!!

どうしてもやるなら和彦とフェイと別々で頼む…」

俺が言うと和彦とフェイの手が止まって、さっきまで本物だと信じてくれていた和彦まで疑いはじめて俺から距離を取る

「セリさんは私の事が死ぬほど嫌いだったはずなのに…一体未来で何が…」

「確かに…

別々でフェイともするって言うなんて

本当に本物のセリくんか?」

過去のオマエ達が信じられないのは当然って言うか、過去の俺だって絶対信じない話してるってわかってる

過去の俺はフェイとだけは死んでもないってくらい嫌いだもん…

「だー!?面倒くせぇ!!信じられないってんなら信じなくていいぜ

俺はこんなとこで遊んでる暇はないんだよ

天使を捜し出してレイを助ける

元の過去に戻して、そして俺は自分の未来に帰る

それだけだ」

俺を悪魔やなんやと疑うなら疑えばいい

和彦達の協力なんていらねぇ、ここは過去の世界

目の前の2人には過去の俺がいる(未来の俺と同時には存在していないみたいだが)

未来の俺は未来の2人のものだってコトだ

「わかった、信じよう」

「和彦…!」

和彦の言葉で俺はパッと顔が明るくなる

やっぱり和彦は過去でも頼りになるな

過去でも信じてもらえなかったら悲しいし、信じてもらえたら嬉しいに決まってる

「和彦様!?私は信じられません

セリさんが浮気なんて……和彦様じゃあるまいし

セリさんは浮気するような人ではなかったですし、そういうの嫌いではありませんか」

それでもフェイの方はなかなか信じてくれない

会った時のコトも思い出せば言動が変だったとさらに俺を疑う

なんやかんやあって吹っ切れたと言うか考えが変わったと言うか、全部和彦のせいだけどな

過去の和彦も未来の自分ならそうさせるだろうとわかっているみたいで、疑っては来なかったむしろ満足気だ

腹立つな~

「まだ驚くのは早いぜ

何せ俺にはオマエ達含めて4人も恋人がいるからな

なんやかんやあって、最初は恋人が2人いるコトにも相当悩んだが全員がそれを望んでいると言うかそうさせられたワケで

俺自身も吹っ切れて考えも変わって、全員平等に愛して受け入れるコトに決めたんだよ

だから浮気じゃなくて全員本気だ」

レイとフェイはまだ恋人じゃないが、もう気持ち的にもそんな感じだし、細かく説明するのは面倒だからわかりやすく言ってみた

「4人も!?後2人誰なんですか!?」

フェイはついていけないと驚くばかり、和彦もそこまでは思っていなかったのか少し驚いている

「とにかく、和彦は信じてくれてるみたいだがフェイはどうだ?

別にオマエに信じて貰えなくてもいいぜ?

だって俺は未来の人間だし、未来のフェイは俺を好きって言ってくれて相思相愛なんだからな」

ちょっと盛った

相思相愛は言い過ぎか、俺もフェイのコトは好きだがまだちょっと気になるくらいの好きよりだもんな

「は…はっ!?この、私が……貴方に、す……す、好き!?あ、ありえません!!嘘をつくのはやめろください!!

私はセリさんの事は嫌いです!!」

「はいはい、その反応も知ってるから」

「フェイはわかるが、セリくんがどうしてフェイを好きになったかが不思議でならないな…」

過去の和彦からしたら不思議に思うだろうな

フェイがあまりに好きではないと騒ぐから和彦がひとこと声をかけるとフェイはピタリと口を閉じた

「セリくんが未来から来たのはわかった

詳しく話を聞こうか、何か困っているんだろ?

顔を見ればわかる」

「和彦…助けてくれるのか……好き」

俺の言葉に和彦は調子狂うと少し照れた

過去の俺はこんな素直じゃなかったもんな、ツンデレだった気がする

未来はそこそこデレデレだぞ

そうして俺は過去に来てから何があったか話した

大切な人レイが殺されて、レイを助けるために過去に行ける魔法が使える天使を捜しているコト

もう一度過去に行って元に戻して未来に帰りたいコト

そしてその天使は俺にソックリ瓜二つな容姿をしているコト

捜すなら俺を捜せってコトだ

「なるほど…そのセリくんにそっくりな天使を見つければいいんだな

安心しろ、協力してやる」

「心強い和彦…ありがとう、いつも頼りになる」

過去の和彦も変わらず、俺の頭を優しく撫でてくれた

それを見ていたフェイは和彦が協力するなら協力すると言ってくれる

まだフェイは俺のコトは多少疑ってるみたいだが

でも、これで香月と和彦も協力してくれるから天使が見つかるのも早いかもしれない

ロックとラナとも合流して、俺も天使を捜しに行かなきゃな

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