139話『信じるコトから』セリカ編

イングヴェィとセリくんが行方不明になって、助けに行くコトに

準備が出来た私は部屋を出ると香月が待っていてくれた

「はぐれてはいけませんから」

そう言って香月は私へと手を差し出す

………な、なんて…ドキドキの展開なの!?

まるで乙女ゲームのヒロインな気分だわ!!

これが現実だって言うから、卒倒しそうだ!!

私は緊張して震える手で香月の手を取る

キャー!リアル恋愛ゲームみたい!素敵

「もしはぐれたら…私を見つけてくれる…?」

照れながら私はチラリと香月を見る

「えぇ必ず」

倒れた

目が合っただけで死ねる

はぁ、乙女ゲームみたいなドキドキを楽しむのはこのくらいにしておきましょう

いやでも顔のにやけは戻らないんだけど

でも、不思議と香月と恋人になるってのはまた違うのよね

乙女ゲームたくさんやって来て、漫画にもアニメにもゲームにも何人か好きなキャラがいてみんなにドキドキしたわ

でも、そのキャラがみんな現実世界に出て来て

みんなから求婚されても、私は迷わず1人だけを選ぶ

つまりはそういうコト

香月もその中の1人

女の子って複雑、自分でもそう思う

セリくんに話しても「全然意味がわからん」って言われるもの

そして香月と私はセリくん達のいる場所を目指すわけだけど…


「この先でナナシが待ち伏せしています」

ホラータウンの恐怖に耐えながら歩いていると香月に止められる

この街やっぱ怖すぎだよ…香月の腕にしがみつくように歩くコトでやっとだもの

「困ったわね、ナナシはセリくんが何処にいるか先に嗅ぎつけたみたい

ナナシを避けて2人に会うコトは難しいわ」

イングヴェィとセリくんがいるのはすぐそこだ

珍しいものや人を売買する闇しかない場所

ナナシ…何も対処する方法が思い付かずにいる

アイツから私の大切な想いを取り返すコトって出来るのかしら

「セリカ!話を聞いてくれないかい」

私のコトさえなければ香月はナナシを倒せるのに

今のところセリくんは無事だとしても、イングヴェィは大丈夫かしら

この先も無事だと言う保障もない

倒すべきでは…私の想いより、2人の身の方が

「セリカの大切な想いを、取り戻そう」

あら、いたのこの人?

レイの意外な言葉に私は耳を傾ける

「何を考えてるか知らないけれど、私はセリくんみたいに優しくはないわよ

この先、レイと関わるコトは私はないわ」

冷たく突き放す

この人に関して、私は良い感情がない

セリくんがレイを受け入れたのも同情から

泣かれたらね、そりゃ心も痛むでしょ

でも、私は違うわ

「そうだろう、セリカならそうハッキリ言ってくれると思っていたよ

オレはセリに甘えていただけなんだって、ただの同情なんだって事もよくわかった」

もう目にも映らないわ…

私がレイの横を通り過ぎようとした時、レイは私の手を掴んで引き止める

「だから!同情とか優しさに甘えるとかじゃなくて

本当の意味で君に愛されたいから、それなら態度で示すしかないって目が覚めたよ」

………この言葉が、嘘か本当かはわからない

でも、レイは私の時の前世以外は本当にセリくんを好きだったってコトだけは…わかってるよ

「どんな良い言葉だけ並べてもセリカは信じないだろうし、胡散臭く聞こえるだろう

オレはきっとこれからも自分の嫉妬心から独占欲から君を傷付ける事もある

それはオレでも止められない」

開き直ったの?勝手な男ね…

私はレイの手を振り払おうとするけど、レイは強く離さない

「それでも君の事が大好きだから、この手は絶対に離さない

セリがこんなオレでも受け入れてくれたから…今度は愛されるオレになりたい」

レイは…めちゃくちゃだな……

セリくんのせいで、私までレイの手を振り解けなくなるじゃない

私ね…真っ直ぐな人に弱いんだと思う

素直で隠すコトなく…

傷付けられても受け入れるってのは、それはもはやセリくんがドMなせいなのでは…って思うけど

いや、これだけ愛されたら負けちゃうか

めっちゃ仲良かった相手だし

レイと大親友時代がなかったら、絶対に受け入れるコトはなかったでしょう

「私の…想いをナナシから取り返すって、どうやって?」

「それは…まだわからない」

「あの想いはイングヴェィへのものよ、レイにとっては壊した方がいいんじゃ」

レイは私から目を逸らして迷いを見せたけど、私の手を離さなかった

そして決意するとまた私の目を見る

「あれはセリカの大切な想いだ

例えイングヴェィさんへのものだったとしても、オレはイングヴェィさんを守るんじゃない

セリカを守りたいんだ

セリカの大切な想いだからこそ、壊すわけにはいかない」

意外だった…

セリくんを手に入れるためなら周りを排除してまで勝手だったレイが

私の気持ちを大切にしてくれる

……人は成長する…良くも悪くも

レイは…きっと良い方に成長してくれる

形は変わるかもしれないけど、また仲が良かった大親友のような…大好きなレイになってくれる

そしたら…また大好きになる、愛するコトになるのかもしれない

「……ふふ、取り返す方法もまだわからないのに」

レイの優しさに真っ直ぐな愛に、私は口元が緩む

「……セリカの笑った顔…」

レイは一瞬驚いては優しい顔に変わって、あの頃の爽やかな笑みを見せる

「もっと見たい

セリの笑った顔もセリカの笑った顔も、また見たいから」

少しずつ変わっていく…嬉しい方へ

まぁ!!まだレイのコトは完全には信頼してないけどね!私は!

騙されないんだから…

「…ふん!」

私はレイの手を振り払ってそっぽ向く

そして香月の後ろに隠れる

「いつも香月さんには敵わないな…」

レイが苦笑して呟く

当然、香月は優しい、良い匂い、嫌なコトしない

動物は優しい人が好き

だから私は香月に懐く

私達が話していると、香月がいきなり私をお姫様抱っこする

な、なに、何々!?突然!?そんな!!!また乙女ゲームみたいな胸キュンな展開をリアルにやるなんて、卒倒するしかないよ!?

そして香月はそのままその場所から少し離れた

次の瞬間、私達がさっき立っていた地面に大きな穴が空く

どうやらナナシが私達に気付いたみたいだ

香月に地面に下ろしてもらって私は勇者の剣に手をやるが、香月に止められた

「セリカ!今は逃げるしかない」

穴の反対側に避けたレイが叫ぶ

「セリカ、走れますか」

香月に手を掴まれ引かれるけど、私の足は迷っていた

このまま逃げても、何度だって狙われる

私の想いを取り戻してナナシを倒す方法なんて…あるの?

もう諦めて…倒すしか

動かない私を香月はまた抱き上げて連れ出す

だけど、ナナシに先回りされてしまった

香月は私を下ろし後ろにやったけど、香月はナナシに攻撃するコトを躊躇った

その躊躇いを見逃さなかったナナシが素早く香月の利き腕を破壊する

「か、香月!?」

すぐに私は回復魔法を使おうとしたけど、ナナシはそんな一瞬さえ許さなかった

私の首を取りに向かって来るが、ナナシの足は氷の矢で地面に張り付けにされ数秒の足止めをされる

「セリカ!香月さん!今のうちに」

レイが遠くからナナシの足止めをしてくれて、香月と私はなんとか逃げるコトが出来た


ナナシから離れ身を隠し、香月の怪我を治す

アイツ…また強くなってる?

それとも私の迷いのせいで自分の反応が鈍くなっているだけ?

「ごめんなさい…香月、私のせいで戦えないんじゃこんなコトに」

「私は死にはしないので」

気にするなと香月は言ってくれるけど…

香月はそうかもしれない…でも、他の人だったら?

それに私が殺されたら結局は香月だって死んじゃうのに

私がいつまでもグズグズウジウジしてるから…

未練がましく…

「顔をあげてください」

自分でも気付いていなかった

香月に顎をすくわれて上を向かされる

「よく泣く顔ですね…嫌いではありませんが

笑っている顔の方が好きです」

いつか…セリカちゃんも、笑ってくれるかな

香月の言葉に、目の前にイングヴェィの顔が過るように見えた

どうやったら、笑えるのかわからない

「香月…私、どうやって笑ったらいいかわからない

セリくんと私じゃ違うのよ…

いつも、いつも…自分はあんなにも笑顔でいられるのに

どうして、私は……私じゃないの」

いつも羨ましかった

自分が笑っているのを見る度に、自分に嫉妬した

私だって…私だって、そんな風に笑いたいのに

でも、わからない

なんでそんな顔が出来るのか

私なのに!私なのに…私、じゃない……

私が……笑えるようになるには

「セリが出来る事をセリカが出来ない事はない

セリがわかる事がセリカにわからない事はありません

貴女自身なのだから、当然です」

そんなコト…言われなくてもわかってる

だから、どうして私に出来ないのかわからないのかが…

「思い出して、セリは最初からそうでしたか?」

香月は私の手を優しく握ってくれる

最初から…セリくんは…いいえ、そんなコトはないわ…

「セリは私を信じていてくれるから」

簡単な…コトだった

セリくんと私の違いはそんな簡単で単純なコトだった

セリくんは愛してる人達を大切な人達を、信じるコトが出来るんだ

私にはそれがなかった…

いつまでも不安で疑って怯えて…

信じるコトが出来ない

信じるコトが怖かったんだ

セリくんはそれを克服して大切なコトを知って手に入れた

だから…私にはない…笑顔を持ってる

ただ…それだけのコトに、私は…気付くコトすら恐れた

自分自身のコトすら、疑っていたから

そんな簡単に信じて後で裏切られたらって身構えて突き放して…

弱い自分を守ろうとしているコトが間違ってるコトにすら、気付きながらも

私はそうするしか出来なかった…弱い人間なんだった……

「信じる……私も、信じられるのかな

誰かを…」

呟く言葉の中に、やっぱり頭に浮かぶのはイングヴェィだった…

「セリに出来てセリカに出来ない事はありません」

大丈夫って香月は私の手を強く握ってくれる…

さすが、セリくんの恋人…香月の手はとても安心する

これが…信じるってコト…?

セリくんの影響で私にも香月への気持ちはよくわかってる

きっとこれがヒントなんだ

私に出来て私に出来ないコトなんてない

「いつか…私が…心から、笑えたら……

イングヴェィは…」

イングヴェィは…どんな反応をしてくれるかしら…

きっと、そこから私は一歩を踏み出せるような気がする

イングヴェィのコト、ちゃんと見つめていたい

それが恋をはじめると言うのなら…

私が笑うためには、イングヴェィを信じるコト

イングヴェィは約束してくれたの

失ってしまったのなら、もう一度はじめから恋をしようって

だから…

「……香月…ありがとう

私は、イングヴェィの約束を信じるわ」

未来だけを見ればいい

過去の恋心が邪魔をすると言うなら、壊してでも私は未来を選ぶ

一呼吸置き、私は勇者の剣を鞘から引き抜く

ゆっくりと鞘から引き抜かれて、勇者の剣は途切れるコトなくその姿を現す

「おかえり…心配かけたね

もう私は大丈夫だから、貴方の力を貸してね」

ひびもなく曇りもない、綺麗ないつもの貴方の姿は美しかった

「香月、これであのナナシを倒せるわ

魔王の貴方と勇者の私がいればナナシなんて敵じゃないでしょ」

散々調子こいてくれたからな野郎

自分の中で答えが出て開き直った私は香月に早く行こうと引っ張った

「うふふ、アイツが調子に乗るのもおしまいね

この私の命を狙って香月を殺そうと企む悪い子は容赦なく殺してしまいましょう」

「自分の手でやるのは辛いのではありませんか、私に任せてくれれば」

香月は…優しいのね…

感情がないから私の気持ちがわかるワケじゃないみたいだけど

長い生まれ変わりのセリくんと一緒にいて、こういう時はこうだからってのはわかるみたい

今の対処はこれがベストだと発言する

正解だと言いたいけど、それは香月に甘えるコトになっちゃうし

私は自分で私の気持ちに決着付けなきゃ、香月に私の重さを背負わせたくない

私は首を横に振った

「それはね…ダメだよ…ありがとう香月、その気遣いだけで嬉しいわ」

出来るコトなら壊したくはない

したくないコトを香月にさせて、それを見るのは耐えられない

だったら自分のこの手で…けりを付けるしかないのよ

「ナナシを倒すと決まったら、まずは二手に分かれてレイを捜しましょう」

「セリカ1人で平気ですか」

………このホラータウンを1人で歩き回るのは…怖いってコトを思い出した

「…だ、大丈夫だもん…怖くないもん…」

「本当に?」

香月はそっと優しく私の頭を撫でてくれた

「全然ッ怖くない!!なんでも出来るような気がするわ!!」

「そう…ですか」

香月の返事からして、香月的にはやっぱり怖いから一緒にってのを私に言わせたかったみたいだけど

好きな人からそんなコトされたら勇気しか湧いて来ないよ!!

むしろ一緒にいると心臓に悪いし!

「大丈夫よ、もしナナシと遭遇しても今の私なら1人で倒せるからね」

「…わかりました」

そうして香月と私は分かれてレイを捜すコトにした


さて、捜すとは言ってもレイがどこにいるかさっぱりだわ

セリくんが一緒なら自分の居場所はなんとなくわかるから捜しやすいんだけど…

それならレイの行動を考えてみようか

レイのコトだから私を捜してるのかも

でも、それにしては姿を見せるのが遅い

レイは視力がめちゃくちゃ良いから私が外にいれば、どこか見晴らしの良い場所からすぐに見つけ出すコトが出来る

それもないってなると…

私はレイの言葉を思い出していた

「私の…想いを取り返そう…方法はまだないけど…」

方法がないなら…もしかして、1人でナナシのところへ…?

わからないけど、ナナシの魔力が感じる方を捜してみましょう

ナナシの魔力を近くに感じる所までやってくると後ろから声をかけられる

「…セリカ……」

聞き覚えのある声は弱々しくて、振り返ると酷い怪我をしたレイの姿があった

立っているのもやっとなくらいの瀕死の状態

「取り返せたよ…」

そう言ってレイは手に持っていた宝石のように綺麗なものを私に渡そうとしたけど、レイの身体は崩れ落ち倒れそうになったのを私はレイの身体を支えるようにしてそのまま座り込んだ

取り返したものは私に届く前に手からこぼれ落ち、地面を転がっていく

私はずっと取り返したかったそれよりレイの方が心配でたまらなかった

すぐに回復魔法で傷は治せたけど、レイは気を失ったままだ

「レイ…なんてムチャなコトをするの

下手したら死んでしまっていたかもしれないのに

そんなコト…しないでよ…」

私のために…

ナナシは魔族の中でもキルラより強い

勇者でもないレイにとって最悪の相手だ

それをわかっていながらも、どんな無理な状況でもレイは取り返してくれた

いつもそうだ…レイはいつも…

私のために…私がそれを貴方に望んでいなくても

大切な誰かが傷付くなら、いらなかった…

わかってたコトなのに…早く諦めればよかったのに

「でも…レイが命懸けで取り返してくれたから、私は大切にするよ

ありがとう……レイ…」

セリくんがレイを切れない気持ち…わかるような気がする

レイは愛のせいでセリくんを傷付けるコトもあるけど、愛のために一生懸命なんだ…

「ナナシの奴、レイにこんな酷いコトを」

私は勇者の剣を鞘から抜き確認する

折れてない、これならすぐに殺しに行けるな

レイが必死になって取り返してくれた私の想いを拾いに立ち上がる

本当に綺麗だ…キラキラしてて…

これが私の…イングヴェィを想う気持ち

こんな私にもこんな綺麗な心があったなんて信じられないくらい眩しかった

それを手に取るコトすら躊躇してしまうくらい

きっと、恋ってそんなにも綺麗なものなんだろうな…

後一歩のところで、私の想いは音を立てて踏み潰されてしまった

その足元から目を離せなかったが…見上げた先にはナナシの顔がある

「効果がなくなった今、必要ない」

ナナシは私の勇者の剣を見てわかったようだ

じゃあ…オマエがこの後殺されるってコトもわかってるよな…

「…その足をどけろ」

もう形はなくなったとしても、レイの気持ちを踏みにじるコトは許さない

私の想いはいつの間にかレイの気持ちへと変わっていた

レイが私のために取り返した、その想いなんだよそれは

自分の想いを粉々にされたらきっと悲しかっただろう

でも違う、今はレイの気持ちを踏みにじるナナシに強い怒りしか感じない

「嫌と言ったらどうする」

ナナシは足に力を込め、粉々になった想いをさらに踏みにじり小さな割れる音を聞かせる

「こうするだけだけど?」

ナナシの両足を勇者の剣で切断する

「見えなかっ…!?」

「忘れたの?私の想いで守られていただけで、不完全の魔族が勇者に勝てるワケないでしょ」

両腕も切り落とすと、ナナシは自分の立場を理解したようで情けなくも命乞いをした

「命だけは助け」「無理よ」

私はナナシの首を一振りで切り落とした

「うふふ、セリくんなら躊躇ったかも、命までは取らなかったかもね

でも私はオマエの話を聞いてやるほどお人好しじゃないわ」

そして、その隙を狙われてしまう

呆気なかったわね、ナナシ…

卑怯な手を使わないとこんなものか

「セリカ、無事でしたか」

香月が私とナナシの気配を感じて駆け付けてくれたみたいだけど、その前にさっさと決着はついてしまっていた

「香月!やっつけたよ、褒めて」

香月に撫で撫でしてもらって満足していると、レイが気がついて私は駆け寄った

「レイ、大丈夫?」

「セリカ…?」

私が近付くとレイは顔を真っ赤にして少し距離を取った

「はっ、そうだ

オレはナナシからセリカの大切な想いを取り返して…」

「うん…ちゃんと返してもらったよ」

レイにはそれがナナシに踏み潰されたコトを隠した

香月はそれに気付いているみたいだけど、私は香月にも言わないようにする

レイが命懸けで取り返してくれたのだから、それが失われたなんて…言えない

「そうか…よかった」

レイはいつもの爽やかに笑ってくれるけど、その笑顔には複雑なものが含まれていた

私にイングヴェィへの恋心が戻ったコトが引っかかっているんだろう

しかしどうやってナナシから取り戻したのかを聞くと、レイは私達と分かれてからナナシに気付かれない距離を取って様子を見ていたらしい

さすがストーカー能力に長けているだけはある

その時に、ナナシは私の想いを常に使えるワケではないコトがわかったみたい

所詮は他人のもの、魔王の力のようにずっと使用するには負担がかかるのかもしれない

その隙をついてレイは取り返したと話してくれた

「……ありがとう、レイ

でも、いつも言ってるけどムチャはしないでよね」

「セリカのためならムチャなんて何もないさ」

「…レイに何かあったら、心配するんだから…」セリくんが

「セリカがオレの心配を!?」

喜んで

「うん、見直したわ

好きにはならないけど」

悲しんで

私の一言にレイは一喜一憂する

レイとは色々あったけど…過去のコトは過去、前世なんて関係ない

今のレイだけ見ていればいい

それが…セリくんの出した答えだよね…

「そうだな…セリカはイングヴェィさんの事が…

それでもオレは諦めないから」

「えっ無理だから諦めて」

冷たくするとレイは凄く落ち込んでしまう

その姿に可哀想かなって気が引いてしまうけど、それがセリくんの悪いところ優しさよね

レイのコトが大切だから受け入れるの選択をした

私はそんなに甘くないけど…認めはするわ…

「あっそうだ、セリを助けに行かないと」

「レイは疲れてるでしょ、休んでいなさい」

それに私達が助けに行かなくてもそのうち帰って来るわ

待っていればいい、私にはわかるから

まだ怒ってるし許してないけど私

「セリカも休み、2人の帰りを待ちましょう」

香月は私の手を取って引いてくれる

「セリカも香月さんもそれだけ落ち着いているって事はセリもイングヴェィさんも無事なんだろうが…

仲良過ぎないか」

レイは香月と私の手を引き離した

「香月さんがセリの恋人だからセリカとも仲良いのはわからなくはない

それなら、オレとも仲良くしてくれてもいいんじゃないのかい!?」

「えっ?なんで?」

「オレもセリカと手を繋ぎたい!」

「私は嫌だけど?

和彦と手を繋ぎたいと思わないししないわよ(セクハラは受けるけど)」

「心の距離を感じる」

レイに邪魔されて香月と離されたまま私達はイングヴェィとセリくんの帰りを休みながら待った



-続く-

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