第38話『喧嘩中だった大親友と仲直りしたが…なんでそんなもん拾ってくんのかなぁオマエ!』セリ編
「ロック!ローズ!久しぶりだな!!」
俺はイングヴェィの城で世話になっていたロックとローズの2人と久しぶりに再会するコトができた
「セリくん!無事だと聞いた時は安心したわ」
ローズはあの時から変わらず可愛いロリだな!
「何を言ってるでござるかレイ殿の彼女
毎日と言って言いほど顔を合わせているではござらぬか」
ロックは俺とセリカの区別がつかないってイングヴェィが言ってたな
そのレイ殿の彼女って呼ばれるのめちゃくちゃ久しぶりすぎて…やっぱムカつく
「オマエは変わらないなロック…」
今のロックの体型を見て、どれだけ普段サボッているのかも丸わかりだ
俺はロック達とはぐれたあの後のコトを簡単に話して伝えた
今はレイと共にセレンの所にいると言うコトも自分は勇者でこれから魔族と戦うコトになるってコトも
後レイの彼女じゃないって改めて言ってみたケド「リア充爆発しろ!」の一点張りでロックには信じてもらえない
「そうなのね…
セリくん達、あの魔族と戦うなんてそんな大変な事になるのね」
「いや、大変かどうかは…
俺もまだ実感ないから何とも言えない」
魔王を唯一倒せて魔族には強力な勇者の力がドコまで魔族達に影響するのかいまいちわかってないし
「ねぇロック、私達もセリくんに協力しましょ
ここにはお世話になったけれど…私達は仲間だもの
そうよねロック?」
「ローズ姫が言うのなら…
渋々ではござるがリア充バカップルに拙者の力を貸してやってもいいでござる」
「わ~!さすがロックね」
「それほどでも…ないでござる」
デレデレなロックはなんとも情けない顔をしている
完全にロリの手の上で転がされてる…いい大人が…
忍者のロックが協力してくれて心強いって思うより、その歳ですでに男を手玉に取ってるローズのほうが色んな意味で強そう……
こうして、俺はロックとローズと合流してセレンの国に帰るコトになった
セリカが寂しがってるのはわかってる…それは俺も一緒だから
でも、俺達は自分なんだから誰よりも近くて本当は寂しさなんて感じない存在なんだよな
また遊びに来るし!俺がセリカに会いたいからさ!!
数日かけて、俺はセレンの国に戻った
この世界の移動手段で一般的に速いのが馬って言っても、やっぱ遠いな…
イングヴェィの所にいたペガサスとかそういう類の存在を仲間にできたらもっと移動も楽で速いって話だケド…それは幻に近いもん
「勇者様~~~おかえりなさいませ~~~~!!」
セレンの国に入ると俺の帰りを待っていたネクストがあの痛馬車を引き連れて現れた
「あ…あれは…!!
魔法少女シャルロたんの馬車でござるとな!!!!??
このような所でお目にかかれるとは拙者感極まり…!!」
ロックが物凄いスピードで馬を走らせ痛馬車に近付く
「これはこれはセリ様のお仲間のロックさん
この馬車の価値がおわかりになるとは!!さすがセリ様のお仲間です!!」
おっしゃ!!ネクストが痛馬車で迎えに来るコトはなんとなくわかっていたが
ロックの良い食いつきぶりに俺の逃げ道は確保できた!!
ロックとネクストが盛り上がってる今のうちに俺はコイツらの横を通りすぎる!!
数時間後、俺はやっとセレンの神殿へと帰ってきた
結構疲れた…
勇者の剣で体力的にも少しはマシになるってユリセリさん言ってたケド、あんま変わってないような気がする……
馬に乗れるようにはなったケド、まだ慣れてないからしんどいのかな
セレンに「お帰りなさいませ」と出迎えられて、また長話されるかと思ったら
俺に早く部屋で休むようにと言ってくれた
なんだあの女もたまには俺が疲れてるって空気読めるんじゃん
お言葉に甘えてまっすぐに自分の部屋に向かった
疲れた気持ちより、何より早くレイと仲直りしたかったから…
レイは俺を心配してイングヴェィの城まで来てくれたんだし…大丈夫、仲直りできる
「ただい…っ」
部屋のドアを開けるとソファに座っていたレイが俺に気付き待っていたと傍まで来てくれる
「セリ、おかえり!」
「っ…ふん…!!」
なのに、俺はなんでか1人で気まずくなっておもいっきりそっぽ向いてしまった
おいおい俺は何やってるんだよ!?
仲直りするって言ってた1分前の俺戻ってこいよ!!
友達のいなかった俺はどうやって仲直りしたらいいのかわからなかった
だから…変な態度を取ってしまうのか
このまま…レイと仲直りできなかったら……
俺に友達なんて……
そう不安になってるのに俺はレイとは目も合わせずに疲れたからと部屋の中に入る
「聞いてくれないか!?」
レイはすれ違う俺の手を掴んで振り向かせた
その時、俺は自分の中にあった不安が少しだけ晴れる
俺が無視したから…レイだって本当に呆れると思ってた…
当たり前のコトなのに
それでもレイは俺が難しい性格だってよくわかっていて、ちゃんと…見捨てたりしない
「な、なんだよ…手離せよな」
だから俺はなんでそんな態度悪い風にしかできないの!?
せっかくできた大切な大親友が離れてもいいのか!?
「今離したら、セリは最後まで聞いてはくれないだろう」
「……………。」
「この前は俺が悪かった、すまない!!」
レイは俺の手を掴んだまま頭を下げてきた…
これで…仲直りできる!!俺は確信した(何様だ)
「冷静になってよく考えたんだ
オレが反対し続けても、セリが勇者ならいつか魔族と…魔王と戦う運命からは逃れられない」
うん…ん?それはわかんねぇケド
香月が…俺を惚れさせるコトができたら、戦わないかもだし
その辺は適当に、あんまり深く考えないでおこう
「オレはあの時、自分がセリを守り切れるほど強くないとわかっていた
自信がなかったから…だから、反対したんだ……」
魔王の香月、四天王のキルラ…レイは自分より強い存在をはじめて目の当たりにして
自分が力の弱い人間だって思い知らされたんだ…
レイにとって今の弱い自分が死ぬほど悔しかったんだな
「それはオレの弱さだったよ
オレは反対するんじゃなくて、本当は協力しなければならない
勇者の仲間として、大親友を守る為に…
オレは今よりもっと強くなるって決めた」
レイは俺の目をまっすぐに見て伝えてくれる
「セリにもっと自分の事を考えろって喧嘩になった時の言葉は撤回しない
今でもそう思っているから
それに付け加える
きっとセリはこれからだって無茶するだろうから
オレはそんなセリを守っていくし支えていく、約束するよ
これからもずっと…オレの大親友でいてくれ……セリ」
………レイ…それだよ!!それそれ!!
俺が求めてた理想の大親友像!!
心がきゅ~ってしたもん!!
やっぱりレイは俺を裏切ったりしない
俺を1番わかってくれる理解してくれる協力してくれる
俺が求めていた言葉はそれだったんだよ
レイはちゃんと俺がほしい言葉をくれるんだ
嬉しい…こんな友情が…俺にもあるなんて……嬉しいよ
心が満たされていく
「お、俺も……悪かったし
レイが心配して言ってくれてるって……その気持ちがわかってなかった
だから…俺も……ゴメン……ね」
仲直りできて嬉しいのに、顔を真っ赤にしてちゃんと言えてない俺
だってなんか恥ずかしいし!!
これが熱い友情ってやつ…感動に身体が嬉しさで震える
「……協力するって言ってくれて、ありがとな
レイがいてくれたらめちゃくちゃ心強いよ」
自分を理解してくれて頼れる大親友がいるなら本当に心強いコトだ
よかった…レイがレイで
こんな俺でも…素直じゃないしツンデレするし生意気だし偉そうだしワガママだし自己中だし世話がかかるし……性格悪いし口も悪いし弱いし
あれ…俺って見た目が綺麗なコト以外に何か良いトコあんのか…?
それでもレイは俺に呆れたりしないし見捨てたりもしなかった
嬉しい…レイ…俺にも本当の友達が…大親友ができるなんて思っていなかったから、凄く嬉しい
ちょっと泣きそうになるから、俺は見られたくなくて誤魔化すようにレイに抱き着いた
「ど、どうしたんだいセリ?
今日は随分と甘えん坊さんだな」
「たまには…」
「いつもこうだと可愛いんだが」
レイはハハハといつものように笑って俺の頭を撫でてくれた
「いつもは可愛くないって!?」
「いつもは綺麗だよ」
許す
「でも…よかった
セリと仲直りできなかったらって不安でたまらなかったんだぞ」
それは俺もだった
レイと俺ってやっぱ会った時からずっと両想いだよな~~~!!
レイのコトは大好きだケド…セレンが期待するような好きじゃないしそういう展開もねぇケドな
「それでセリ、オレはどうすれば人間の限界を超えて強くなれるのか色々調べていたんだ」
部屋のドア付近で立ったままもあれだからとソファに座り直した
俺はレイが座るとすぐにレイのひざを枕にして寝転ぶ
レイはこれからの自分のコトについて話してくれる
最初はうんうんと聞いていたがだんだんと…
「まずは氷と光の属性2つを持った珍しいフェアリーを得たい
それから光の聖霊、欲を言えば闇炎水風雷地(大幅に略)の加護も得られれば
武器も今の俺の弓には限界がある
それらの加護に耐えられ応えられる弓を探す
防具もセリを庇っても平気なくらい強いやつ
他にグリフォンを仲間にと考えているんだが
まだ足りない気がしてならないな」
オマエはギャルが盛れば盛るほどとにかく良いみたいにアクセ身につける感じで力ほしがってねぇか!?
なんだよ(大幅に略)って!?まだあんの!!?
それだけ欲張っといてまだ足りないってどうなんだよ!?
レイは氷魔法が得意だけど、基本的に俺が苦手とする魔族以外に特化したいと考えているみたいだ
それには光がどの種族にも有効だとされている最高位レベルの魔法がいいとも
ちなみに神や天使は光ではなく聖魔法
俺を守れなきゃ意味ないからって色々考えてくれてるんだな…
やっぱり嬉しい…友情って嬉しい……
「後は前世の勇者の世界で拾ったものがあるんだが、それが何か調べて使えそうなら使うよ
あの時、セリには会えなかったが無駄じゃなかったってくらいかなり強い魔力を感じるから期待はしているんだ」
俺はそれを聞いて、ちょっと待てよ…と思った
ユリセリさんは別世界の物は持ち出すと朽ちてしまうと言っていたような
朽ちてなくなる時間は物によってそれぞれ違うみたいだケド
「レイ、別世界の物はいつか朽ちてしまうから意味ないぞ
何を拾ったんだ?」
「そうなのかい?これなんだが」
レイは肌身離さず持っていたのかすぐに取り出して見せてくれる
野球ボールくらいの大きさの暗紫色をした玉だ
ドライアイスのように暗紫色が纏わり付いて、いかにもまがまがしく恐怖そのものに感じて
俺は思わずその力にビックリして身を引いた
「セリ?」
レイは…何も感じないと言うのか…これを見て…触れて……
これは普通じゃない
普通の人間…いや天使や神、悪魔…人外ですら触れてはいけないもの
俺にはハッキリとわかった
レイが持つその物は…物じゃない力だ
魔王の力……そのものだった
魔王の香月がこの世界にいるからこれは朽ちるコトなく存在し続ける
ってか、魔王の力が普通に落ちてたってのは笑うトコだよな…?
「レイ!これはダメだ!!これだけは絶対…誰も触れちゃいけない……」
「そんなに怯えなくてもセリ、大丈夫だ
オレはあの世界から帰ってきてこれをずっと持っていたが何も起こっていない」
レイは身を引いて距離を取る俺に近付く
ダメ…耐えられない…恐怖に押し潰されそうだ
俺は勇者なのに…魔王の力には簡単に勝てるものじゃないと身体中に恐怖が巡り支配されるような感覚
「イヤッ…近付かないで…!!」
俺に近付くレイの手を振り払うと、その部分が焼けただれたようになる
その痛みに驚いたのかレイは魔王の力を手放した
床に転がる魔王の力をレイと俺は目で追う
レイの手の怪我は魔王の力を手放しただけで何事もなかったかのように綺麗なままだった
「これは…」
「それは…たぶん、魔王の力だよ
今の魔王は人間だってレイも知ってるだろ
だから…そこに転がってる力があれば魔王は人間から…本物の魔族の魔王に…戻れると思う」
今はそれよりレイが…何故あの魔王の力の恐怖に耐えられたんだ
勇者の俺でさえその恐怖に屈服しているのに…
普通の人間が今の香月を目の前にしただけで恐怖で死ぬと言われている
弱い存在なら人間じゃなくても恐怖に耐えられなくて死ぬ…
なのにレイは強い…耐えるとかそんなレベルじゃない
平気なんだ…
香月は…魔王は本当に恐ろしい
香月を目の前にして俺の恐怖が薄れていくのは香月が俺に好意的だとわかっているから
でも、ここに落ちている魔王の力に香月の感情なんて関係ない
俺への好意なんてカケラもない
だから純粋に恐怖だけを与えてくる
「さっき…レイが俺に手を振り払われた時、大怪我したのがその証拠だ
勇者は魔王を倒す唯一の存在だから、俺が拒絶するだけで大ダメージを与えられる
レイ…この力は俺と相性が悪い
この力だけは諦めてくれよ…何より…恐い……」
「魔王の力………これが」
レイは俺がお願いしてるのにずっと転がった魔王の力を見つめているだけ
どうしてだレイ…いつもみたいにわかったって言ってくれよ
「……わかった
セリがそんなに怯えるなら、これは使えないな」
暫くしてレイはいつものように爽やかな笑顔で魔王の力を拾い上げて隠してくれる
よかった……
見えなきゃ…恐怖は感じないようだな
魔王の力を誰かが使った瞬間、その恐怖はその人物となるのかもしれない
「これは本人と会った時にでも返しておくよ」
「バカだろオマエ!?敵を最強にしてどうすんだよ!?
捨てろそんなもん!!」
「落とし物の持ち主がわかったなら返してやらないと、きっと困っているぞ」
「真面目か!!」
レイは香月に一度殺されかけてるのによくそんな気遣いできるな
「わかったわかった
セリが不利になる事はしない」
「わかれば…いいんだよ…」
まさかレイが前世の俺の世界で魔王の力を拾っていたなんてな…
魔王の力が普通に落ちてたとか面白い話だケド
俺は触りたくないから処分はレイに任せるケド…大丈夫かな
適当なトコに捨てられたらそれはそれで大変なコトになるだろうし
まぁレイは俺が1番信頼する大親友だし頭も良い奴だから、信じて任せても大丈夫だな
-続く-2015/05/10
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます