2-4
「そ、れは一体、どういう……」
真意を探ろうとするも、蓮がそれを遮り、言う。
「そのままの意味だよ。君、いろいろと隠し事してるでしょ。猫被ってるの、バレバレなんだけど」
スッと細められる2つの瞳。放たれる眼光は、触れたら怪我をしてしまいそうなほどに鋭い。
「例えば、そうだな……」
顎に手をやり、考え込む仕草をしてみせ、にやりと笑った。
「──神咲を探ろうと何か企んでいたりして」
いきなり核心を突いてきた蓮。だが、ここでボロを出すわけにもいかず、少しだけ反撃に出る。
「隠し事? 何かを企む? はっ、そんな必要がどこに──」
「いやいや、ありまくりでしょ。何せここは、
違う? とでも言いたげに首を傾げ、あいも変わらず人当たりの良さそうな笑顔で、蓮は吐き出す。
「言うなれば、君は敵陣にたった一人で迷い込んだ野良犬、ってところかな?」
「猫被ってんのはどっちだよ」
すると、途端に顔を輝かせる蓮。
「お、自分も猫被ってるって認めちゃうんだ」
声を弾ませて、碧眼が
「うるせェ。俺はめんどくさいヤツ、大嫌いなんだよ」
「えー、めんどくさいヤツって、僕?」
「お前以外にいないだろ」
「それじゃ、猫被りがバレたってことで、明日からの実力試験では本気を見せてくれるのかな?」
ヒトシキ学園に入学して、初めての行事。それが、実力試験。学年ごとにそれぞれ割り振られた組み合わせ通りにトーナメント方式で闘い、実力を図るというもの。審判が下した判定は覆ることはなく、相手をやむなく殺してしまった場合については、"減点措置"がなされる。つまり、殺人が黙認されるのである。
「ただ、
「──ッ!!?」
『時雨』
その名前を聞いた瞬間、自分の身体が反応してしまったのがわかった。
「ははっ、なにそれ。隠そうとしてるつもり?」
「……ッ」
鋭く目を光らせた蓮にこれ以上探りを入れられないように、何とか平静を装おうとする燐慟。
「気になる? なぜ彼女が生きてるのか」
黙り込んだ
「教えてあげてもいいよ、彼女のこと」
横目で確認できた蓮の瞳に浮かぶのは、
ぞわり、と。背筋に悪寒が走る。何か、嫌な予感がする。
そして、蓮の唇が開いた。
「──ただし、トーナメント戦で僕に勝てたら、の話だけど」
普通の女子見たならば、頬を赤らめて顔を逸らすであろうその笑顔が。獲物を追い詰めた猛獣のようなその
「無理に決まってるだろ。俺は"
「ふぅん……」
鋭利な刃物のように細められた碧眼が、
ピリピリとした沈黙が、両者の間に腰を落ち着かせる。
「ま、いいけどね。それはそうと、時雨、入学式で新入生代表の挨拶をするらしいよ。なんでも、成績トップで合格したとか──」
そんな蓮の言葉が
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