2-2

 きりきりと風にあおられ、きしむ枝々。耐えきれずに落ちていく桜の花弁で、コンクリートの地面はすっかり覆い尽くされてしまっていた。

 ダークブラウンの髪の少年の背中を、はるか後方からじっと見つめる瞳が一対。スクールバッグを肩に背負い、新品の制服に袖を通した銀髪の少年が、にやりと笑う。

「お、見ィつけた」

 さも楽しげに、しかし誰に話しかけるでもなく、少年がぽとりと零す。

さかき燐慟りんどう

 柔らかな微笑みとともに口の端が持ち上がっていく。無邪気さを湛えあおく輝く双眸そうぼうが、スッと細められた。

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