序章
序章
地面に
赤い、紅い花々が眼前に広がっている。それはとどまることを知らず、彼方に鎮座する地平線目指してなおも地面に咲き続けていく。鼻孔に突き刺さる鉄の臭いが、これは真実なのだと突きつけてくるようで、次第に視界が鮮明になっていく。
──花なんてどこにも咲いていなかった
責めるように、生ぬるい風が頬を撫でる。
俺の腕の中には、すでに息絶えた血まみれの少女。
頬に一筋の涙が伝う。止めどなく、溢れてくる。
俺は
少女の白い顔に雫が落ちる。
雨。雨。雨。
ぽつり、ぽつりと少女の顔に零れ落ちる。悲しみを洗い流すかのように、雨はさらに強さを増す。
ともに反発しながら、赤を含んだ水が下へ下へと滴り落ちる。
希望も虚しさも、戦う気力も生きる意志さえも薄れてゆく。
俺は突然の眩い光に、身体を包み込まれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます