第9話 友情に愛情と

彼女の友達】


今日は待ちに待ったデートの日。

心待ちにしていたデートだけど、私のデートではない。

私の友達がデートに行くから、その付き添いをするだけ。

少し前、その友達は突然私にデートへ行くと言い出した。

色々な意味で驚きながらも、私は友達の話を聞いた。

デートの話は、結局の所、的をえていないと言うか、よく分からない。

よく分からないついでに、何故か私も一緒に行くことになっているらしい。

そんな友達のよく分からない言い分として、2組のWデートでないといけないらしい。

友達の希望に添って、私はやむを得なく同行する。

気分的に別に行きたくはなかったけれど、その友達の頼みだけはいつも断れない。

殆どの私に関係ない事ばかりだけど、、しょうがないと言いながらもついて行く私。

まぁ、頼まれなくても、たまに友達のことが心配になって、勝手について行く事もあるんだけど。

私って、過保護というか、その友達にだけ甘いのかな。

友達思いな友人・・・

女同士の仲のいい、いつも一緒にいる友達。

彼女からすれば、そんなところかな。

私的にも思うところがあるから、しょうがないとある意味諦めている。

現地に到着。

待ち合わせ場所には彼女が一人、ぽつんと待っていた。

笑顔で待ち構えている彼女に、軽く挨拶をして、彼女の彼氏を一緒に待つ。

いつも通りの何気ない話ばかり。

これだけで、今日はもう十分じゃない?

そんな事を考えていると、時間にはまだだけど、少し怒れて彼氏と彼氏の友達が到着。

そっか、これが話に聞いていた彼氏か。

待ち合わせ場所でうれしそうに笑っている彼女。

逆に、ムッとした顔で睨みつける私。

時間的に問題はなくとも、彼女を待たせるとはどういうこと?と言ってやりたいが、今回は彼女の笑顔に免じて許してやろう。

今日のデートは遊園地。

ここは私も好きだし、せっかくだし・・・楽しんでおきましょう。

でも、気になることが一つ。

彼氏の連れてきた相方・・・これ楽しい?

見ず知らずの女子に睨まれて、よくわからんWデートに付いてきて、楽しいのかな?


彼氏の友達は、どうやら盛り上げ役。

社交的なようで、雰囲気作りは確かにうまい。

楽しんでいるようにみえるけど、時々疲れているというか、落ち込んでいるように見える。

私の気のせいかな?

付添同士どうすれば良いのかよく分からないけど、彼の友達は時々寂しそうに友達とその彼氏を遠い目で見ている。

もしかして、こいつ彼女の事狙ってる?

そんなはずないか。

もしそうなら、友達の彼女っていいの?

不思議な雰囲気で時間は過ぎていく。

彼女は彼氏と仲良くデート。

何故4人でなくてはいけないの?

私達付き添いって必要?

不思議に感じてはいるけれど、彼女の楽しそうな笑顔を見ているだけで、私は満足。

それだけで、私は・・・

満足なんて、出来るわけないじゃん!

なんで、こんな男の事が好きなの?

そいつじゃなきゃダメなの?!

こんな、ちょっとかっこよくって、ちょっとやさしくて、一緒にいると楽しそうで・・・

どうして、私じゃダメなんだろう・・・

私は、あなたのことがずっと前から好きなのに・・・・

泣けてきそう。

余計な事考えてたらお腹空いちゃった。

ご飯食べたらもう帰らない?

そして、二人で一緒に帰ろうよ。

帰り道は、二人だけだから。

私の一番好きな時間。

ずっと彼女が、私だけを見てくれる時間。

このときが、私の一番幸せな時間。



彼氏の友達】


そういえば、今日はデートらしい。

らしいというのは、自分の事じゃないから。

俺が誰かとデートするわけじゃないから、あくまでも他人事。

昔から一緒にいる友達のデートに、オマケとしてついて行くだけ。

友達の彼女がそうしたいと言ってきたらしい。

その子は天然なのか、時々よく分からない事を言ってくる。

俺はあんまり会ったことはないが、友達から話はよく聞く。

まぁ、大勢は楽しいし、それでもいいかな。

俺は別に気にしない。

気に・・・しないようにする。

友達は、付き合いも長くて、ずっと一緒に遊んでいたからよく知っている。

ビジュアルは好評というか、周りの反応は良い方だ。

頭だっていい。

運動は、本人いわく苦手らしいが、俺の知る限りそんな事はない。

俺からすれば、完璧超人すぎてうらやましいくらいだ。

そんな、自慢の友達。

そう、あくまでも、俺たちは友達・・・

やばい、準備に手間取った。

友達の大至急メールに応えるようにダッシュで向かう。

友達との待ち合わせに少し遅刻で申し訳ない。

二人で急いで集合場所に向かった。

なんとか予定で聞いていた待ち合わせ前には到着。

そして、彼女さん達とも合流。

なんか睨まれてる気がする。

遅刻じゃなかったにの何故か睨まれてる?

まぁ、細かいことは気にしない。

いざテーマパークへ!

やっぱり大勢でいた方が楽しいっしょ。

少し遅れ気味だった罪滅ぼしに、雰囲気だけは落ちないように盛り上げる俺。

でも、彼女さんの友達は、どことなく不機嫌。

見た目は可愛いと思うが、その不機嫌面は可愛くないぞ。

直接言ったら怒られそうだ。

そんな彼女さんの友達は、何故か終始不機嫌。

なにかあったのか、他に俺ら何かやらかした?

女ってのはよくわからんから、深く考えるのはやめておこう。

せっかくだ、今日は楽しもうじゃないか。

男二人では滅多にこない場所で、どういうカタチであれ、これは立派なデートなのだから。

男同士二人でこんなとこ来たら、キモくないか?

俺は気にしないが、友達がそう思われるとなんか嫌だな。

でも、男同士の方がもっと楽しいはずなのに。

彼女さん可愛いな。

天然らしいが、意外と気が利くとことがある。

普通の男子だったら、こんな子と付き合いたいとか思うよな、普通。

二人とも楽しそうだな。

俺の入る隙がない・・・

そんな疎外感と孤独感でいっぱいになる。

なんか、今ここに俺一人しかいないんじゃないかって感覚になる。

遠くで楽しそうに笑っている二人がうらやましい。

男同士じゃ、絶対に見せない。

あいつあんな顔で笑うのな。

俺にも、あんな顔で笑ってくれないかな。

ひとしきり楽しんだら、あとは帰るだけ。

帰りは二人でゆっくり帰る。

今日の事を話しながら、とぽとぽ歩いている。

男同士二人っきりで。

こいつは、本当の俺の気持ちを知ったら、俺のこと嫌いになるのかな。

それとも、受け入れて俺と・・・

彼女がいるのにそれはないか。

今このとき、この瞬間を楽しもう。

言いたいことはたくさんあるが、グッとこらえて彼を見る。

俺はいつだっておまえのそばで、おまえの見方だ。

そう、思えるだけで、それだけで、俺は満足だ。

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