第3話 あえて口にする恋人宣言
少し気弱な男の子】
今日、僕たちは恋人宣言しました。
とはいっても、男同士。
何か問題あります?
とはいっても、あまりいい目では見られないかもしれない。
でも、自分の気持ちに正直になった結果がこれなので、胸をはって“僕たちは恋人です”と宣言します。
彼は、比較的無口な方だ。
彼は聞き上手で、いつも僕の話を聞いてくれる。
あと、彼は少し強気で、ちょっと強引なところもある。
そんな彼だけど、僕には優しい。
わかっているんだ。
いつだって、僕をかばってくれる。
そして、弱気な僕を支えてくれる。
いつも思う。
彼のために、僕には何が出来るのだろう。
そんな事を考えていると、頭を軽くこづかれる。
彼は、だいたい僕の考えている事が分かるらしい。
一緒にいるだけで、誰にも負けない、そんな気持ちにさせてくれる彼は、僕の自慢の彼氏です。
こんな僕ですが、実は、少し前まで彼女がいました。
いままで女の子と付き合ってきたけど、みんながみんな、決まって必ず言うセリフがある。
・・・イメージと違う・・・
僕には、その意味が全然理解出来ない。
どんなイメージで僕と付き合っていたのだろう?
逆に聞いてみたいけれど、女の子はみんな同じ言葉を言って、僕の前から去っていく。
僕からしてみれば、彼女達こそイメージと違う。
そいえば、僕は思った事がすぐに口から出てしまうタイプらしい。
きっと、彼女達が言っていた事は、これなのだろうか?
だとしたら、いままでの女の子の他にも、たくさんの人を傷つけてしまったかもしれない。
そんなことを感じて、考えすぎて落ち込んでいたとき、彼と出会った。
出会ったというか、再会した。
昔と少し雰囲気が変わっていたから、最初は分からなかった。
街をただなんとなく一人で歩いているとき、彼が声をかけてきた。
その後、なんとなく二人でご飯を食べに行った。
彼と、たくさん話をした。
くだらない話で、笑えてきた。
何故か・・・安心した。
というか、元気が出た。
それからも、僕と彼は頻繁に会うようになり、色々な話をした。
そして、深い関係になった。
誰にも言えない、秘密の関係になった。
今では、昔の女の子達に感謝しなくてはと思う。
これからは、色々な事があるかもしれないけど、それ以上にたくさん笑える気がする。
きっと嫌な事もたくさんあるかもしれない。
でも、彼と一緒なら、どこへだって行ける。
そんな気がする。
普段弱気で、余計な事ばかり考えてしまう僕だけど、
いまなら胸をはって、自信たっぷりにこう言い切れる。
僕は、あなたを愛しています。
ちょっと俺様的男子】
今日、俺たちは恋人宣言をした。
とは言っても、男同士なんだけど・・・
なんか変か?
まぁ、普通に考えればおかしいとか思われるかもしれない。
だが、この決心にゆるぎはない。
これが、自分の中の本当の気持ちに正直になった結果だ。
誰になんと言われようと、俺達は恋人だ。
こいつは、少し面倒なところがある。
だが、そこが可愛い。
そして、誰よりも一緒にして安心出来る。
そんな、大事な存在。
誰にも渡す気はない。
こいつの考えていることは、たいてい想像がつく。
いつも余計な事ばかり考えて、無駄に頭を悩ませていることが多い。
そんな心配をさせないよう、俺ももっとしっかりしなくちゃならん。
こいつとは昔馴染みで、本当に偶然街でばったり会った。
久しぶりに会ったとき、こいつは暗い顔をしていた。
聞けば、彼女と別れたばかりのようだった。
色々相談にのって、あとはくだらない話で笑いあった。
こいつに言ったことないけど、笑った顔が、可愛いんだ。
この笑顔に、俺は救われた。
俺も、最近彼と別れたばかりで気落ちしていたから、こいつの気持ちが痛いほどわかった。
こいつといると、自然と気持ちが落ち着いた。
久しぶりに会って、いろいろな話をして、気づくと俺は好きになっていた。
だが、この気持ちを伝えてしまったら、この楽しい時間が終わってしまう。
そんな気がして、なかなか正直な気持ちを打ち明けられなかった。
普通の男だったら、一歩引いてそのまま遠くに行ってしまうことは分かっていた。
だからこそ、この瞬間この時を、大切にしたかった。
思い出でも、かまわなかった。
それでも俺は、満足していた。
何度か食事やデートを重ねて、ようやくそういう関係になった。
深い関係に、なった。
最初は戸惑いもあった。
今では信頼出来る関係だと、肌の温もりで感じる事が出来る。
手を重ねるだけで、幸せで満たされる。
あの時出会ったのは単純な偶然ではなく、運命だったのかもしれない、そう思える。
神のいたずらに感謝だ。
なんて恥ずかしい事は、絶対口にしない。
絶対口にしない事がもう一つ。
いつまでも、どこまでも、俺はおまえを守り続けると神に誓う。
これだけは、絶対に言わない。
言葉にすると、嘘になりそうだから。
言葉じゃなく、信じ合える関係でいたいから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます