せめて、もう一度
「?」
雑踏の街を一人で歩いていると、私を呼ぶ声が微かに聴こえた気がして振り向いた。
でも、誰もいない。
バカみたい。ここにいるわけないのに。
切なさが込み上げてきて、自嘲気味の笑みが浮かんでくる。
彼が私の前から消えて二年が経とうとしている。その間、連絡は一切ない。
キミはよく「終わりのない物語なんてない」って呟いていたよね。あの頃は解らなかったけど、今なら解る。
けど、この言葉の意味を知ったときキミはいなかった…。
逢いたいって思う。逢ってただ一言だけでいいから伝えたい。
いろんな想いを込めて……
“おかえり”
って…。
「せめて、もう一度」
私の呟きは、雑踏の音に融けていった。
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