第5話 アダチ薬局
信二は三階のベランダの前の扉の前で持ち物を確認して靴紐をしっかりと結びな直し、その様子を背後からトウカとキャシーが見ていた。
あれからトウカに確認して必要な物を手に入れた信二はこの建物に来た時に着ていた青色のウインドブレーカーを着て手に軍手をはめ、来たときと同じ格好をして背中には赤のリュックを担いでいて、先ほど準備した使えそうなものを中に入れていた。
靴紐を引っ張り簡単に結び目がほつれないことを確認してから立ち上がると背後から声をかけられた。
「本当に行くの?」
キャシーの声で振り返ると心配そうな顔をして信二を見ていた、準備を終えてここに来る前にキャシーに説明した時は黙って聞いていただけだった。
「もちろん、本当に行くよ」
するとキャシーが信二の腕を掴んだ。
「私のせいでマザーが死んで、アマドや田中、それに池田やトウカにまで迷惑をかけて・・・、私がいなければマザーも死なずにすんだし池田もアマドも薬局に行かずにすんだ・・・」
言いながら信二の腕を引っ張る力が強くなる。
「池田、私の薬を取るために行くなら行かなくていい、ここでレスキューが来るまで待とう?」
キャシーが目に涙をためているのが見えた、こんな時イケメンや気の利いた人間なら何か良い事を言ってキャシーを慰めるのだろうが信二には気の利いた言葉など出てこず助けを求めてトウカを見たがトウカは信二を腕を組んで見ていて手助けをしてくれそうにはなかった。
「なぁ、キャシー、俺はここから救助されたらキャシーのファザーを一緒に探すって約束したろ、そのためにはキャシーに元気でいてもらわなければならないだろ?それとアマドとケンジを連れ戻さないとトウカが何をするかわからないからな」
チラッとトウカを見ると睨み返してきたので続けた。
「キャシーはしっかりとトウカが変な気を起こさないように見張っていてくれよ、たのんだぞ」
信二はいってキャシーの頭を撫でると涙を拭って恥ずかしそうに照れた。
「わかった、だけど無事に帰ってきて、約束」
「約束、OK」
頭から手を放してトウカを見た。
「トウカさん、キャシーを頼みます」
「わかったわ、それと必ずアマドを連れ帰ってきて、必ずよ」
「もちろんです」
「必ずよ」
信二は返事をせずに頷いた。
「俺が外に出でたら三階に篭ってください、いいですね?」
「でも、あなた達が帰ってきたらどうやって三階に上がるの?」
「男三人いるんだから何とかして階段を通って三階まで向かいます、非常階段を降ろしてほしいときは何か合図を送りますよ」
「わかったわ」
納得はしていないがしかたがないという感じで頷いた。
「では行ってきます、出たらこの鍵を閉めてくださいね」
「気をつけて」
トウカの返事を聞きキャシーを見ると悲しそうな顔をしていた。
「行ってくるから大人しくしてるんだぞ」
「わかってる、池田も気をつけて、危なかったらすぐに引き返して帰って来てね」
信二は何も言わずに頷いてから振り返り目の前のドアを開けてベランダに出た、振り返るとトウカがドアを閉めて鍵を掛ける音が聞こえた。
「ふ~」
思わずため息をついてしまう、ベランダから見える道路には精神病患者がさまよっている。
(あんなのの仲間入りしてたまるか!!、まずは建物から出るか)
決意をして避難梯子を降りて二階に行く、二階から一階の地面に降りる梯子はケンジ達が持って行ったので外されていてベランダの柵から下を覗くと舗装された地面が見え、精神病患者がいないことを確認してからゆっくりと物音を立てないように飛び降りた。
「って」
バランスを崩して両手を地面に突いてしまったがうまく着地することが出来た、信二は素早く周りを確認したが、信二に気が付いた精神病患者はいないようだ。
すぐに立ち上がりトウカから聞いた目的地に向かって早足で歩き出した。
目的地に向かう途中には精神病患者がさまよっているが捕まらない距離を取り一気に走り抜けた。
(これなら無事に行けそうだ)
トウカたちが居る建物から五十メートル離れた目的の場所が目に入った瞬間思わず足が固まった。
(さっきのは撤回だ)
目的の周りを住宅に囲まれた駐車場には血まみれの精神病患者が七、八人が突っ立っているのが見え、信二と同じように車に乗って移動しようとして失敗したのか他の車に追突してフロントガラスや窓ガラスが割られて血に染まっている車が見えた。
(やばそうだな・・・)
信二はトウカから貰ったアマドの車の鍵を取り出して駐車場の中にあるはずのアマドの車を探した。
作戦なんて立派なものではないが信二の考えた計画はこうだ。
梯子を持ってケンジ達と同じように家の屋根を移動していくのは、ケンジ達の場合は一人が渡っている時はもう一人が梯子を抑えていれば安定して渡ることが出来るが、一人だと梯子を抑える人が居ないため、梯子の上を歩いているときのそのまま梯子から落ちる事が考えられるし、トウカやキャシーが脱出するときに逃げ道として避難梯子を残しておいた方がいいと考えた。
それでアマドの家で何か使えるものがないか探している時にふと外を見ると道路の端に止められた車が見えた。
(そうだ、車を使えば安全にアマドたちにの所にいけるかもしれないし、梯子で向かうよりもましだな)
信二はすぐにトウカにアマドが車を持っているか聞いてこの鍵を預かってきたのだ。
鍵にはトヨタのマークが入っていて小さいプラスチックの箱であった、キーレス?とかいうものでいつも乗っている営業車とは違った。
車は確かプリウスだといっていたな、駐車場の中を見渡すと二十台くらいしか止まらない駐車場に四台もプリウスが止まっていた。
「どんだけ人気なんだよ」
思わず呟いてしまい、慌てて周りを見たが声に気付いた者はいないようだ。
(気をつけなければならないし、さっさとアマドのプリウスを見つけよう、それにしても車の色くらい聞いてくるべきだったな)
駐車場の腰くらいの高さの一部が錆び付いた鉄のフェンスを飛び越えて車の間を中腰で進んで一番近い黒色のプリウスの傍まできた。
信二はドアノブを掴んで開けようとしたが開かない。
(この車じゃないのか)
次のプリウスに向かおうと車の間を移動しようとすると近くの精神病患者が近づいてきのですぐに動きを止めてやり過ごそうと息を止めた。
近づいてくる精神病患者は男子高校生の様で黒い学ランを着て背中にバックを背負ったままで学校へ行くと途中か帰りに誰かに襲われたのだろう、首元に赤黒く乾いた血の塊が付いて学ランまで汚れているのが見えピッケルをしっかりと握りなおした。
(気が付かないでくれ、お願いだ)
車の間から黙った見ているとゆっくりと目の前を通りすぎようとしていた男子学生が足を止めて方向転換して信二を見たと思うと両手を伸ばし早歩きの速度で掴みかかってきた。
信二は素早く後ろに下がり掴みかかってきた手を避けて持っていたピッケルを男子学生の首筋に突き刺すと男子学生は身体が雷に打たれた様に身体を硬直させたので身体を蹴飛ばして地面に倒してすぐに周りを見ると誰も気が付いていないようでこちらを見ている人はいなかった。
男子学生の腹を踏みながら首筋に刺さったままのピッケルを抜くと穴が開いた場所から血があふれ出すのが見え一瞬気持ち悪くなった。
だが、そんなことは言っていられない、信二は次のプリウスに向けて移動した。
次のプリウスといっても十メートルも離れていない場所なのですぐにたどり着きドアを開けようとしたがそれも開かなかった。
(はずれだ)
信二は残りのプリウスを見ると十メートルもない距離に二台並んで駐車してあり移動は次で終わりだ、プリウスは色が信二に近い手前がブルーで奥がシルバーだ、信二の勝手なイメージだがアマドはシルバーの車に乗っていそうだが、次に近いのはブルーの方だ、しかしその二台の傍には主婦のようなおばさんの精神病患者二人がまるで警備をしているかのようにさまよっていた。
(あのおばさんを殺さなきゃいけないのか・・・・、いくらババアでも殺すとなると気分が悪い、なにか避ける方法はないか・・・・)
周りを見て何か使えそうなものが無いか見たが、ここは駐車場で管理会社か誰かが掃除しているようでゴミは落ちていなかった。
信二は背中に担いでいるリュックを下ろして中を見て何か使えそうなものが無いか思い出しながら探すと使えそうな目覚まし時計があり鳴らして投げれば精神病患者の注意を引けるとは思うが今はまだ使いたくない。
(他に何か良いものは無いか・・・、周りには車しかないしな・・・)
隠れている車を見るとふとタイヤが目に入った。
(ホイールカバーなら外れるかも)
信二が隠れている車のホイールカバーを外そうとタイヤに飛びついて外そうとしたが、ネジで固定されているのかうまくはがれなかった、反対側の軽自動車の前輪のホイールカバーを外そうと力を込めるとすぐに外れた。
(少し軽いがこれを車に投げつければ音がするからそっちに行くだろう)
立ち上がり目的のプリウス二台を見るとやはりおばさんの精神病患者が周りをさまよっていてプリウスの車の移動スペースを挟んだ反対側を見るとシルバーのSUV車が止まっていて的には十分であった。
フリスビーのようにSUVに向けてホイールカバーを投げた。
(当たれ!!)
心で叫んだが手元が狂いホイールカバーはSUVの上を飛んで行き何かに当たる音が聞こえたが、プリウス前の二人のおばさんは気が付かなかった。
信二はすぐに軽自動車の後輪のホイールカバーを外してからもう一度プリウスを見て精神病患者が移動していないことを確認し、SVUを見て距離を再確認してから右手の軍手を取って手の平の汗を服で拭いホイールカバーを構え、軽く深呼吸をしてからSUVに向かってホイールカバーを投げた。
(今度こそ、当たれ!)
回転しながら飛んで行き目標のSUVの窓ガラスに当たり音を立て跳ね返り隣に止めてある車のフロントにも当たり連続で音を立てた。
プリウスの方を見るとおばさんの精神病患者が音に反応して足を止めるのが見えた。
信二はしゃがみ込み軍手をはめて左手に持っていたピッケルを右手に持ち直して立ち上がりもう一度プリウスを見るとおばさん二人はすでにSUVまで移動していた。
音を出さないよう急いで目的のプリウスまで移動して素早くブルーのプリウスのドアを開けようとドアノブを動かしたが開かない。
(くそっ、やはりシルバーか)
急いで隣のシルバーに移動しようと横を向いた。
「ウゥ~」
声のする方を見るとプリウスとは離れた位置で突っ立っていたサラリーマンがいつの間にか近づいて掴みかかってきた。
「うわぁ!」
驚いて声を上げながらも反射的にサラリーマンにピッケルを突き出すとはじかれたサラリーマンはひるんで後ろに一歩下がった、さらにピッケルを振りかぶりサラリーマンのコメカミにピッケルを打つとサラリーマンは反動で身体をプリウスにぶつけ鈍い音が鳴るのと同時に瞼を痙攣させ白目が見えた。
ピッケルを頭から抜くとサラリーマンは車にもたれかかりながら地面に倒れ、慌ててSUVを見るとSUVの近くをさまよっていたおばさん二人が足を止めてこちらに振り返り信二は慌てて隣のシルバーのプリウスの運転席まで移動してドアノブを掴んで開けて飛び込むように中に入り慌ててドアを閉めて鍵をかけた。
前を見ると近づいてきたおばさん二人のうちの一人がボンネットに飛びつき信二に向かって手を伸ばしながらボンネットを叩きもう一人のババアは運転席側に回りこんで窓をガンガンと叩いてきた。
車は揺れるが窓ガラスを破壊してまで侵入しては来なさそうだ、だが早くこの場を逃げ出したい、エンジンスタートボタンを押すとエンジンが掛かるのと同時に車内に音楽が大音量で響き、思わず信二は耳を塞ぎながら音楽を慌てて切った。
(絶対、あのトウカの趣味だ、クソ野郎)
慌てて外の様子を見るとおばさん二人以外の駐車場に居た精神病患者三人がこちらを向いて近づいてくるのが見え、慌ててシートベルトを締めてシフトをドライブに入れてアクセルを踏み車を発進させた。
運転席の窓の外に居たおばさんは車を発進させて引き離すことが出来たが、ボンネットのおばさんは車にしがみ付いて進行方向からは三人の精神病患者が道を塞ぐようにこちらに向かってくる。
息を吸い込んでから一気に車を加速させ道をふさいでいる精神病患者を轢くと、ボゴンというボディが凹むような音と同時にボンネットに捕まっていたババアともつれる様に一緒に地面に倒れるのが見え、車が倒れた人に乗り上げて車体が斜めになり引っかかりそうになったので更にアクセルを踏み込んで一気に乗り越えようとすると車の下からババアかもう一人の方か分からないが聞くだけで身の毛がよだつ低い悲鳴のような叫び声が聞こえ耳を塞ぎたくなったがしっかりとハンドルを握って乗り越え近づいてくる精神病患者を避けながら駐車場を出て大通りに向かった。
大通りに向かう途中には精神病患者がさまよっていて信二の乗った車に気が付くと襲うために近づいてきた、精神病患者はテレビのニュースによればワクチン?か何かで治療すれば助かる可能性があるようなことを言っていたのであまり轢き殺したくはないのでわざと車をぶつけて跳ね飛ばすような感じで車を当てると精神病患者が道路の脇に倒れこむのが見えた。
(轢かれるよりましだろ)
車を進めなんとか大通りに出ると信二は車を止めてトウカとキャシーの居る建物を振り返り見た、建物は信二が出た時と変わった様子も無く三階のリビングの窓からこちらを見ている二人の姿が見えた。
信二が見ていることに気が付いたようでキャシーが手を振ったので信二も手を振り替えした。
(キャシーやトウカのためにも薬を取って全員で無事に戻ってこよう)
一人再び決意して信二はアダチ薬局に向けて車を走らせた。
大通りには信二とケンジを追い回した精神異常者がたくさん残っていて全員残らずひき殺してやろうかと思ったが、それで車が使えなくなっては困るので我慢して車を走らせた、アダチ薬局の周辺に行くまでに道をふさいでいる七人に車をぶつけてはじき飛ばしたが、プリウスがあまりエンジン音がうるさくない車なので近寄ってくる精神病患者は七人で少ないほうだろう。
(ほめてもらいたい・・・)
バカな事を考えて恐怖を紛らわせているとアダチ薬局に近づくと、トウカやキャシーと居たアマドの家から見えた黒煙の原因が見えた。
アダチ薬局の目の前で車が黒煙を上げて燃え、その周りには全身が焦げてしまった人の死体が十体以上倒れていて身体から煙や火が出ていたり小刻みに身体を痙攣させているのが見え、黒煙を上げている車の二十メートル手前で信二は車を止めた。
(もしかして、ケンジ達がワザと車を燃やしてアダチ薬局の周りの精神病患者を燃やしたのか?十分考えられるな)
だが、車はまだ黒煙を吐き出し続けて燃えているのでこれ以上アマドの車では近づかないほうが良いだろうし、近くに立っている精神病患者も居ないので周りに気をつければ安全にアダチ薬局にたどり着けそうだ。
信二は車内から車の周りに誰も居ないことを確認してからドアのロックを解除して音を立てないようにゆっくりとドアを開けて外に出た。
「うっ」
ドアを開けた瞬間にガソリンの臭いと共に肉が焼けたような独特な臭いが鼻を刺した、肉の焼けた臭いというのはそこに転がっている精神病患者の焼けた臭いだろうと思うと気分が悪くなるので出来るだけ考えないようにしてドアを閉めた。
足音を立てないように急いでアダチ薬局まで小走りで向かうとすぐにたどりついたがアダチ薬局の正面はシャッターが閉まり所々凹みシャッターを開けると音が鳴りそうなので他に入れそうな場所がないか周りを見た。
左右の建物も道路に面している場所はシャッターが下りていたがアマド薬局との間に少し隙間が空いているのが見えた。
右側の建物に近づいて隙間を見ると商店街でよくあるように建物と建物の間が人が一人通れる位の隙間があり地面から二メートルも無い位置に小さい小窓のようなものがあるのが見えた。
(あれを叩いてもな・・・・、中の健二たちが気付くか?それに一本道だから両サイドそ精神病患者で塞がれたら俺は終わりだな・・・)
あきらめて周りを見てから精神病患者が居ないことを確認してシャッターを軽く叩いて小さい声で言った。
「すいません、アマドさんの知り合いの池田です、アマドさんとケンジを助けに来たのですが、すいません」
何回か繰り返してみたが反応がないのでもう一度周りを見て精神病患者が居ないことを確認してから強く扉を叩き声も大きくして言った。
「すいません、アマドさんの知り合いです、助けに来たんです、居るのは知ってるんです、開けてください」
言いながら段々と不安と怒りと焦りが出てきた、このままこんなことをしていれば精神病患者が近づいてくるかも知れない。
ピッケルでさっきの小窓を壊して強引に中に侵入した方が良いかもしれない。
「おい、やめるんだ、これ以上騒ぐんじゃない」
アダチ薬局のシャッターの中から男の声が聞こえた。
「すいません、早く開けてください!」
「いや、アマド君と田中君を連れてきて確認させるから少し待ってくれ」
「早くしてください」
「分かった」
返事を聞きながら信二は周りを確認すると少し声を大きくしたせいで建物の間でさまよっていたらしい精神病患者達が道路に出てきて辺りを見渡すように頭を動かすのが見えた。
「すいません、早くしてください、あいつ等が出てきた」
「うるさいぞ!」
中の男がデカイ声で言い、信二は恐る恐る振り返り周りを見ると、建物の隙間から出てきた精神病患者達が声のした信二の方を見て近づいてきた、どうやら気付かれたようだ。
「おい、さっさと開けろ!でないとシャッターを壊すぞ!」
そんなことをするつもりは無いが言いながらシャッターを蹴飛ばして信二は乗ってきたプリウスを止めてある場所に戻れるか見ると行く手を阻むようにプリウスのほうから精神病患者が二人近づいて来るが他の近づいてくる精神病患者のせいでどちらか一人をピッケルで倒したとしても他の精神病患者に捕まってしまいそうだし、ここまで来たのにキャシーの喘息の薬を持って帰らないなんて事はできない、窓を叩き割って中に入るべきかどうしようか一瞬迷うようとシャッターの奥で何か声がして何か物音が聞こえるので言った。
「さっさと開けてくれ!」
「おい、信二か!?」
その声には聞き覚えがある。
「その声、ケンジか?」
「あぁ、俺だ、大丈夫か?」
「もうすぐ大丈夫じゃなくなる!早くこのシャッターを開けてくれ!」
振り返り周りの精神病患者を見ると十メートルも無い距離に取り囲むように五人が迫ってきてそいつらの息の音が聞こえてきた。
「ヤバイ!ヤバイ!」
威嚇にピッケルを振りかざしてみたがひるむ様子はない、するとシャッターが動く音が聞こえた。
「しゃがんで入れ!早く」
振り返り下を見るとシャッターが七十センチくいらい開き上半身を出したケンジが必死な表情で信二に手を向けていた。
返事をせずに急いでしゃがみシャッターの下をくぐりぬけ店に入った。
と思ったが背中に背負っているリュックがシャッターにぶつかりシャッターが大きな音を立てた。
慌てて横になり身体を引きずるように必死に両手足を動かして入ると、足元で何か気配がしたと思った瞬間に左足首に激痛が走った。
思わず振り返り足元を見ると精神病患者がしゃがみこみ信二の足を掴んで噛み付こうとしていたので掴まれている手を振りほどこうと掴まれた足を動かしたが振りほどけない。
その隙を逃さないように立っていた周りの精神病患者も信二を捕まえようとしゃがみこみ信二を捕まえようと手を伸ばしてきた。
必死に左足を掴んでいる手を振り払おうとしたが振り払うことが出来ず精神病患者が噛み付こうと口を大きく開け黄ばんだ歯が見えた瞬間に頭の中で警告音が鳴り背中に悪寒が走り体中が震えだした。
「何している!信二!」
ケンジが信二の首元の服と腕を掴みシャッターの中に引っ張られたが足を掴まれているので掴んでいる精神病患者も一緒にシャッターの中に入ってきた。
「大丈夫か?」
ケンジの声が聞こえるのと同時に信二の身体がシャッターの内側に入るとシャッターを降ろすアマドの姿見えた。
「早くしめてくれ!」
言うよりも早くアマドが素早くシャッターを下ろすと信二の左足首を掴んでいる腕が挟まった。
「くそっ」
信二は上体を起こして手に持っているピッケルで掴んでいる腕に振り降ろすとピッケルのブレード先端が男の腕に突き刺さるのと同時に足首を掴んでいた手が開いたので信二は慌てて足を引っ込めて抱え込んで素早くズボンと靴下をめくり掴まれていた左足首を確かめると強い力で握られたせいで掴んでいた手の痕が足首に残っていたが、噛み付かれたり引っかかれて出血はしていないので精神病には感染していないようだ、全身から力が抜けてほっとしたせいかため息が出た。
「田中くん!シャッターを閉じるのを手伝ってくれ!」
声のする方を見るとアマドが必死にシャッターを閉めようとしているがシャッターの下から無数の手が侵入して何かを掴もうと動いていた。
ケンジが素早くシャッターに取り付き足で入っている腕を蹴飛ばして追い出し始めたので信二もピッケルでシャッターの隙間から入っている手を押し出した。
「もう少しだ!」
ケンジが叫ぶとシャッターの隙間からこちらを覗く女の顔が見え目が血走っていた、女と目が合うと獲物を見つけたかのように不適な笑みを浮かべ開いた口から歯が赤黒く染まっているのが見えると信二に向かって手を伸ばしてきたので素早くピッケルの側面で思いっきりブッ叩くとゴリッという骨に当たる感覚が伝わってきた、さらに何度も振り下ろすと女の伸ばした手の指の骨が折れて変な方向を向いて曲がった、だが女は笑いながら信二を捕まえようと腕を伸ばし折れている指が床に擦れて更にありえない方向に曲がった。
「お兄さんどいて!」
誰かの声が聞こえたと思うと背後からいきなりモップが差し出され、シャッターの下から入ってきた腕を一気に外に押し出し、信二と目が合った女も顔にモップが当たり道路に押し出されていったがその時も女は不気味に笑っていた。
「今だ!!」
アマドとケンジが一気にシャッターを下ろし素早く鍵を閉めると二人はその場に座り込み信二も身体を起こして床に座った。
「危なかったな、池田君」
「助かりました、アマドさん」
アマドは息を切らせながら信二を見て笑った。
「俺には礼は無いのか?」
声のする方を見るとケンジが胡坐をかいて座り込んでいた。
「ありがとな、ケンジ」
「これはデカイかしだな」
ケンジも笑いながら言うので信二も安心して笑った、だが背後のシャッターからは精神病患者達がシャッターを叩く音が聞こえた。
「あんた達、そんな所に座ってるんじゃないよ、さっさとどいて棚でシャッターが壊れないように塞いでくれ」
おばさんの声が背後から聞こえ振り返ると背が低い小太りのおばさんがモップを持って腰に手を当てて三人を見下ろしていた。
「なに見てるんだい?さっさと行動する!」
「「はい」」
おばさんが有無を言わせぬように言い、ケンジとアマドが素早く返事をして立ち上がったが信二はいきなりだったので驚いておばさんを見たまま固まっているとおばさんが続けた。
「お兄さんもだよ、さあ早く!」
言われて信二も立ち上がるとおばさんが普段は風邪薬や軟膏などの薬が並べられていたようだが今は空になっている棚を指差してあっちの棚を動かせ、こっちの棚を動かせと命令するので三人は言われるがまま棚を動かしてシャッターを塞いだ。
「シャッターの方は大丈夫そうね、それに入ってきたお兄さんはアマドさんの知り合いかい?」
満足そうにおばさんが言いながら信二を見るとアマドが説明をした。
「この人は田中くんの友達の池田信二くんです」
「池田信二です」
信二は頭を下げて言うとアマドが更に続けた。
「こちらはアダチ薬局のアダチユキコさんです」
アダチユキコが頭を下げた。
「挨拶はそのくらいにしてどうして信二はここに来たんだ?お前から最後に届いたメールだと『警察に連絡してあるからその場で待機してろ』って書いてあったが?」
「確かにそうメールで書いたんだがな、事情が変わったんだよ」
返事をしてアマドを見た。
(アマドを救出しようとトウカが勝手に建物を出て行こうとしてそれを止めたキャシーが喘息の症状を悪化させて薬が必要になった事はアマドに後で伝えることにして今は要点だけ言ったほうが良いだろう)
「キャシーが喘息の発作を起こして薬がなくなってしまって必要になったんだよ、それにケンジがアマドさんに迷惑かけてないか心配だったしな」
「失礼だな、迷惑なんてかけてないですよね」
ケンジは少し怒ったように信二を見るとアマドが笑いながら答えた。
「そうですよ、迷惑どころかいてくれて助かっているよ」
「それならいいですが・・・」
「おい、お前!」
男の怒鳴り声が聞こえ慌ててそちらを見るとTシャツにジーンズ姿で神経質そうに痩せて白髪交じりのおじさんが立っていた、その声は先ほど信二がシャッターを開けろと言ったのにグダグダと言い訳して開けなかった男の声で信二に詰め寄ってきた。
「お前のせいでここにいる全員が危ない目にあったんだぞ!もし奴等が侵入してきたらどうしてくれるんだ!!」
胸倉を掴んでこようとしたがこいつに頭に来て思わず一歩前にでると神経質そうなおじさんは歩みを止めて一歩引いたので信二は先ほどは違い声を低くして睨みながら言った。
「なにいってるんだ!お前がさっさと開ければみんな無用な危険を犯さずにすんだんだぞ!」
怒りで思わずそのままおじさんの胸倉を掴もうとすると間にアマドが素早く割って入りケンジが信二を引き離すとおじさんをユキコが引き離した。
「やめるんだ、信二、その人がアダチ薬局の店主のアダチトモノリさんだぞ」
「こいつが?」
(電話でアマドが話していたのがこいつか・・・)
トモノリも奥さんのユキコになだめられているのが見えると前に居たアマドがトモノリの様子を見てから信二に近づいてきて小声で言った。
「あの人も普段はこんな人じゃなくて優しい人なんだがな・・・、ちょっと問題を抱えていてな、焦ってると言うか必死なんだと思うから許してやってくれないか?」
悲しそうな顔で言うので思わず聞いた。
「どういうことなんです?」
「それはだな・・・」
アマドは振り返りユキコがまだトモノリをなだめているのを確認してから信二に囁いた。
「実はな、この奥の倉庫に精神病に感染したアマドさんの息子を閉じ込めているんだ・・・、その息子さんは俺達以外にも薬を求めてここに来た人に薬を分けていたみたいなんだ、だがその時に腕を噛み付かれて感染してしまったようで自分で倉庫の中に篭ってしまって・・・、それ以来出てきていないんだ・・・」
信二が店の奥を見ると確かに倉庫のような白い鉄の扉が見えた、たぶんあの中にいるのだろう。
「なぁ、信二、お前の気持ちも分かるが助かっているんだからなぁ、ここは許してやってくれよ」
背後のケンジが慰めるように言うのでため息をついた。
「わかったよ、俺は助かってるからこの事についてはもう何も言わないよ、それでいいな?」
納得したようで後ろから掴んでいるケンジから開放されて信二は精神病患者に掴まれた右足首をズボンをめくりもう一度確かめたがまだ掴んでいた男の手の痕が残っていた。
折れてはいないようだが足を着くたびに少し痛みが走ったが歩いたり走ったりしても問題はなさそうだ。
「おい、その足大丈夫か?痕が残ってるぞ?」
ケンジが信二の左足首の痕を見ていた。
「男の精神病の奴に掴まれたんだが、こんなに力が強いとは思わなかったよ、ピッケルで腕を突き刺した時に手を放してくれなったらマジでやばかった」
信二はいつの間にか床に置いていたピッケルを見るとブレード先端部分に赤黒い血が付いていた、後で血を拭っておいた方がよさそうだが、それよりも先に確かめることがある。
「おい、俺のことはいいから、それよりもキャシーの薬は貰ったのか?」
背後にいるケンジに聞いた。
「大丈夫ですよ、池田君、ちゃんと貰ってリュックの中に入れてあります」
目の前に居たアマドが答えた。
「アマドさんと俺のバックに吸入器と錠剤をそれぞれ一セット入っている」
後ろに居たケンジが信二の前に来て得意げにいったので頷いた。
「なら長居は無用だ、さっさとキャシー達の所に戻ろう、トウカも心配してたしな」
床に置いていたピッケルを拾い上げブレードの先端についていた血はほとんど床に流れてついていなかった。
「でも信二、お前、俺が頼んだ梯子持って来てないだろ?どうやって戻るんだ?」
「その点は大丈夫だ、アマドさんの車に乗ってここまで来た、本当は正面に車を止めたかったんだが車が燃えていたから少し離れた所に止めて走ってきたんだ、車が止まってるのは二十メートルくらい離れた所だ」
そこでふと燃えている車の事が気になった。
「おい、ケンジ、外で燃えている車なんだが」
「あれか?あれは俺が燃やしたんだよ」
「燃やした?どうして?」
ケンジは後ろにいるアマドを見て頷いたのを確認すると信二に言った。
「俺達だってお前が助けに来るのをただ待っているわけじゃない、俺達もどうにかして信二たちの場所に薬を持って戻ろうとしていろいろやったんだよ、その一つが車を燃やしてゾンビたちの気を引いてそのうちにここを離れようという案だったんだが、ガソリンに引火して爆発したせいで遠くにいたゾンビたちもこっちに向かってきて燃えている車に触れて火がついたゾンビが店の前をさまよってこっちも出られなくなったんだ、だが信二からのメールを今朝受けとって強引に出る必要もないとアマドと話し合ってここにいたんだよ」
「たしかに俺もそんな内容のメールを送ったが、送ったのは昨日の夜なんだがケンジが受け取ったのは今朝なのか?」
「そうだ」
(スマホが繋がりにくいということは電波塔が壊れているのか?)
アマドが信二に聞いてきた。
「外の様子はどうでした?」
「ケンジが言った車の火が燃え移った精神病の患者は見た限りは全員が焼け焦げて地面に倒れていましたが、また別の奴等が集まってきましたからね・・・」
「そうか・・・」
信二の答えにケンジは少し残念そうに答えるのと同時に店の奥の倉庫の白い鉄の扉が壊れそうな勢いで倉庫の中から叩かれ始め部屋中に音が響いた。
アダチ夫婦がすぐに倉庫の白い鉄の扉に飛びついた。
「どうしたんだ?春樹?苦しいのか?」
「春樹!春樹!大丈夫!?」
トモノリとユキコが扉を叩きながら呼びかけると扉の向こうから言葉にならない苦しむ呻き声というかうなり声が耳に入った瞬間に不安を掻き立てるので思わず言った。
「おい、あの扉って」
「あぁ、春樹さんが入った倉庫だ」
アマドが言いながらアダチ夫婦の所に向かい、信二とケンジも後を追い近づくとアダチ夫婦は中にいる春樹に必死に呼びかけ続けた。
「春樹、扉を開けるんだ、さぁ、鍵を開けるんだ!」
「ちょっと待て開けるな!」
思わず口を挟んでしまうとトモノリが振り返り信二を睨んで叫んだ。
「他人は口を挟まないでくれ!これは家族の問題だ!」
「それはそうだが俺達もいるんだ、精神病患者をそこから出すのは俺達がいなくなってからにしてくれ」
「だったらさっさと出て行け!薬は渡したんだ!」
「あなた」
隣にいるユキコがトモノリの肩を叩いてなだめるように何かを囁くとアマドが信二を見た。
「池田君、ちょっと言い方が・・・」
「そうだぞ、信二」
アマドに続いてケンジも責めてきたので二人を見て言った。
「俺はキャシーの薬と二人を助けるためにここに来たんだ、今その扉が開いて俺達全員が精神病に感染したらキャシーも危ないんですよ?それにこの場所は警察に連絡してもらってあるんだから下手な事はしないで救出されるのを待っていた方がアダチさん達にとっても倉庫の中の人にとってもいいんじゃないですか?」
二人とも黙ってしまったがトモノリは信二を睨んで怒鳴った。
「そんないつ来るかわからない助けなんか待ってられるか!君だってそう思っているから薬を取りに来たんだろ?」
「・・・」
思わず黙ってしまった。
「黙ってるんだったら、さっさと店から出て言ってくれ、私はこの店にある薬を春樹に渡して苦しみを取り除いてやりたいんだ」
するとアマドがトモノリを見て心配そうに言った。
「トモノリさん、これは感染性の精神病らしいですから直る可能性もあるかも知れません、いくら何でも殺すのは判断が早すぎるんじゃないですか?」
「なにを言ってるんだ!そんなこと私だって知っている、別に苦しみを取り除くというのは殺すのではなくて、鎮痛薬と精神安定剤を与えて苦痛を取り除いてやりたいというだけだ、勝手に早とちりしないでもらいたい」
「そうですか、すいません」
アマドは頭を下げると隣にいるユキコも言葉には出さないが批難した目でアマドを見た。
「私も同じ気持ちです」
言われたアマドはバツが悪そうに振り返りこちらを見たので信二が言った。
「俺達もさっさと戻ろう、トウカさんだってアマドさんの事をとても心配していたぞ」
アマドはハッとして信二を見た。
「俺のことは何か言っていなかったか?なぁ?なぁ?」
ケンジが信二の肩を掴み強引に振り向かせて聞いてきた。
(そうか、ケンジはトウカの事をちょっと良いかもと言っていたがトウカとアマドが付き合っていることはまだ聞いていないようだ・・・)
思わずため息が出そうになるがこんな場所でケンジに落ち込まれても困るので堪えて言った。
「お前のことも心配していたよ、『無事に帰ってきて』ってね」
「本当か?そうか、そうか・・・」
言いながらケンジがニヤニヤとした笑顔になったので少し心が痛んだがしかたがない。
「それよりもケンジ、この店を出るための準備をしてくれ」
「準備っていっても、店の前にゾンビ共をどうにかしなければならないが・・・」
顎の下に手を当てて何かを考え始めたので信二はリュックを降ろして中から目覚まし時計を取り出した。
「池田君、それ私の」
「はい、目覚まし時計です、これを鳴らせば数人の精神病患者なら注意を引けると思うんですが、どう思います?」
「確かに注意を引く事が出来るかも知れないがどうやって離れた場所で鳴らすんだい?タイマーで時間が来たら鳴るようには出来るが目覚まし時計を離れた場所に置くのはむずかしいんじゃないか?遠くに投げたら壊れてしまうだろうし・・・」
アマドが言うとケンジも頷いた。
「毛布に包んで投げれば大丈夫だろ、電池も着地したときに外れないようにガムテープで補強してあるし、失敗しても時計が壊れて一個なくなるだけだよ」
信二が言ってアマドを見た。
「この時計って大切なものですか?」
「いいや、普通に電気屋で買った目覚まし時計だから壊れても問題ない、池田君の言う通りに使ってくれ」
言われて信二は頷いた。
「すぐに準備するから、ケンジとアマドさんも準備してくれ」
「わかりました」「OK」
二人は返事をすると店の奥にある倉庫とは別の事務を行うパソコンが見える部屋に向かった。
「アマドさん、ちょっと」
信二がアマドを呼び止めるとケンジが一瞬振り返ったが気にせず事務室に入っていき、呼び止められたアマドが近づいてきた。
「なんですか?池田くん」
準備しろと言ったのに呼び止めたのを疑問に思ったようで少し不審そうに聞いてきた、信二は棚を移動して塞いだシャッターの所まで移動してから小声で言った。
「あのモトラのことなんですが・・・」
「あの、あの子何かしましたか?」
「いや、ちょっといろいろありまして、モトラがアマドさんを一人で助けに行こうとしたのをキャシーが止めたんですが、その時にキャシーの喘息が悪化して薬が必要になったんですよ」
信二は言いながらアマドの目を見ていたが信二の話を聞いて真剣な表情になったのを感じて慌てていった。
「いや、責めてるわけじゃないんです、ただアマドさんには話しておいたほうがいいかなと思いまして・・・」
「すいません、信二さん」
アマドが頭を下げた。
「頭を上げてください、アマドさん、俺はただアマドさんとモトラさんが付き合っているって事をまだケンジには知らせないで貰いたいと思って・・・」
「どういうことですか?」
アマドが不思議そうな顔をして信二を見た。
「ケンジと話した時にモトラさんの様子を聞いてきたんでまだ話してないと思って・・・」
「確かにケンジ君にはトウカと付き合っていることは伝えることでもないので言っていないが・・・、それがどうしたんだい?」
「ケンジはモトラさんに良い所を見せようと思って頑張っているようなんです、ですから知らせるならモトラやキャシーのいる建物に戻ってからにしてくれませんか?」
「・・・・分かりました」
一瞬なにか考えたようだが分かってくれたようだ。
「なら俺も準備を手伝いますよ、早く二人の所に戻りましょう」
信二はアマドの不安を和らげるために肩に手を置いて笑いかけるとアマドも苦笑いのように笑い返したのを確認して信二はケンジが入っていった部屋に向かった。
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