第9話
「おい、高瀬川。どうしたんだぼーっとして」
最初に聞いたのは、教科担任の言葉。
世界に音が戻っていた。人も戻っていた。
トオルの目の前には黒板。今まさに現代文の授業が行われている最中。板書項目や問題が、チョークで粉だらけになった黒板に書かれている。
「あ、いや、すみません、わかりません」
「おいおい、黒板の前まで来てそれはないだろう」
担任の言葉に笑いが沸き起こった。
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