第4話
三限目始業のチャイムが鳴っても、理那は姿を現さなかった。
教科は生物。理科室に移動しての授業だった。
「ん……?」
おかしいな、とトオルは思ってあたりを見渡す。すでに教科担任は到着しており、授業が始まっていた。
ふと、教室のドアに視線を送る。
理科室のドアは普通教室と同じで、二枚の引き戸でできていた。それぞれの引き戸に正方形の窓がついている。その窓から、見覚えのあるポニーテールと髪飾りがのぞいていた。
理那だった。
頭だけ出してのぞき込んでいるかと思うと、トオルの視線に気づいたのか目を合わせて手招き。上をつんつんと指さした。
この理科室は四階にあり、校舎も四階建て。五階はない。
屋上か? とトオルは思った。
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