第八章
「「「「カンパーイ!!!」」」」
ライブが終わって師匠のお店で打ち上げをしていた。ライブは大成功。終わった後、今回のライブでは異例のアンコールがあったくらい。すごくびっくりした。
「いやー!結構楽しかったな!」
涼君が興奮冷めやらぬ感じでそう言う。皆、ライブ後はなかなかテンションが下がらないけど、今日はそれ以上みたいだ。
「うんうん、すごく楽しかった!!」
桃君も、いつもよりテンションが高い。それだけ、楽しかったんだ。皆も、私も。
「他のバンドのパフォーマンスも見れたら良かったね。」
「そうだな。次の機会があったら今度は見てみよう。」
夕君と柊君がそう言って次を楽しみにしている。
「まるで夢見てるみたいだったね。」
私がそう言うと皆頷いた。本当に夢のような時間だった。始まる前は永遠に感じていた時間も、始まってしまうとあっという間で、またやりたいと思ってしまった。
「でも、夢じゃないんだね…。」
今でも実感がない。なんな素敵なステージで私たちは本当に歌ったんだ。
「天。」
「ん?」
柊君に呼ばれて返事をすると、皆が真剣な顔で私を見ていた。
「な、何?どうしたの?」
「伝えたいことがあるんだ。」
そう言われて息をのむ。な、なんだろう?まさか解散、とかじゃないよね。こ、怖い…。
そう思ってると、柊君たちはふっと笑うと大声で言った。
「「「「お誕生日おめでとう!!」」」」
そしてクラッカーを鳴らした。え?誕生日?
「やっぱり忘れてたな!」
「今日は10月20日。お前の誕生日だ。」
あ、そっか。今日、誕生日…。忘れてた…。
「覚えててくれてたんだ。私、すっかり忘れてたよ。」
私がそう言うと皆「やっぱり」と言った。
「俺たち、ライブの日が決まった日に、『天の誕生日だー!』って言ってたんだよ!」
「本当はステージ上でって話もあったんだけど時間がなくてダメだったんだよね。」
「そ、そんな話まで…。」
皆、そんなに考えてくれてたんだ。嬉しいな…。
「そんな裏話はするな。天が気を使うだろう。」
「まあまあ、そう言うなって。」
ああ、いつもの皆だ。いつもの皆にお祝いしてもらってるんだ。
「ありがとう、皆。すごく嬉しいよ。」
私が言うと皆顔を見合わせて照れ笑いする。本当に、最高のプレゼントだ。
「天、これ皆から。」
涼君がそう言って渡してきたのは可愛い装飾の箱。これ以上、プレゼントをもらっていいのかな?
「ありがとう、開けていい?」
「ああ。」
開けるとそこには可愛いペンダントが入っていた。
「わあ!可愛い!これ、本当にもらっていいの?」
「もっちろん!!」
桃君が言うと皆も頷く。早速つけてみると、私にぴったりだった。
「どうしよう皆!私、今日すごく幸せ!」
そう言うと、皆笑ってくれた。本当に、幸せなんだ。明日バチが当たるんじゃないかと思うくらい。皆、ありがとうね。大好きだよ。
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