第3話

夕食をすませてお風呂に入ったら、後は寝るだけだ。


明日の朝は早いらしい。


いつもならこんな時間に寝られたものではないが、疲れていた梶谷の身体は、すぐに夢の世界へと入っていった。



次の日、夏だというのにまだ日が昇りきる前に起こされた。


朝食をとり、畑についた頃にようやく辺りが明るくなってきた。


この日は昼まで農作業をして、昼食をとって少し休んでから家路に着くことになっていた。


梶谷の家までけっこうな時間がかかるため、遅くまではいられないからだ。


「はい、終わり」


菊江にそう言われて古民家に着くと、梶谷一人だった。


姑の信夫は何かの用事で出かけており、諏訪子と菊江は昼食用の山菜を取るために山に入っていた。


――とりあえず奥で休むか。


廊下を歩き、黒電話の前を通り過ぎようとした時に、黒電話がけたたましい音で鳴った。


――!


もちろん菊江の言ったことを忘れたわけではなかった。


しかし梶谷は、電話をかけてきた奴が誰なのか、気になってしかたがなかった。


梶谷は迷ったが、結局受話器を取った。


「もしもし」


最初は返事どころか何も聞こえてこなかった。


切らずにそのまま聞いていると、やがて何かが聞こえてきた。

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