一章 裏話

      不吉な予感

 昼だというのに、薄暗く広い部屋。その真ん中で玉座に座る一人の可憐な少女。騎士がその前で敬礼をしている。


「結果はどうだったの?」


「はっ。……それが、作戦は失敗とのことです。」


「どういうこと!?」


 怒号が飛ぶ。鬼のような形相で騎士に問う少女。可憐という言葉のかの字もなくなったその表情にたじろぐ騎士。


「お爺さまの究極魔法の力を使ったのよ!? 失敗するわけがないでしょ! それとも、その力を凌駕する力があるって言いたいの!?」


「そんなことはありません! ……ですが、あるウェポンが関係している可能性が……。」


 落ち着きを取り戻し、ゆっくりと椅子に座る少女。


「へえ、そうなんだ。そのウェポンって何なの?」


「はい。『正式トルッチイカサマウフィチャーレ』というウェポンのようです。」


「ふーん、使ってる人の名前は?」


「アベ・レージという男です。」


 その名前を聞いた少女はクスリと笑う。


「面白そうね。元帝国国王の娘の力を見せつけてやりましょう。」

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