変わらない物 隻斗×薫
*注意書き*
裏となります。過激な描写はないと思いますが、BLやそういった行為が苦手な方はお控え下さい。平気だと言う方は自己責任でどうぞ。読んだ後の事について当方は責任を取りかねます。それでもいいとおっしゃる素敵な方はスクロールプリーズ(笑)
「薫って出来ない事有るんですか?」
「んっ…さぁ、何でも出来る自信はあるし確証もあるけどどうだろねぇ」
髪を撫でて突然問われた言葉に彼は顔を上げ、唇を汚すものを舐め取りまるではぐらかす様に答えた。
「僕が覚える限りないんですよね。あぁ、そういえばこの間実験に使ってた人ってまだ生きてるんですか?」
「こういう時にそんな話止めようよ。萎えちゃうじゃない。死んだけどさぁ」
こういう時とは正に情事の最中であった。薫はベットに伏せて隻斗のモノを濡らしている最中であり、そんな隻斗の指先は肢体を怪しく這っていた。
にもかかわらず彼等は普段と全く変わらぬ様子で会話していたのである。そこからも彼等が如何に行為に慣れているかが窺える。
「ホント隻斗って良い性格してるよねぇ」
「そういうなら誘わないで下さいよ。それでも止めない貴方も変わってますよね」
「まぁね。楽しければいいんじゃない?」
クスクスと笑って答え、溢れ出た蜜を舐め取ると肩にかかる薄い茶色の長髪をかき上げ妖艶に唇を歪めた。
「そろそろ離して下さい。飲まれるの嫌いだって知ってるでしょう?」
「だからじゃない。嫌がられる程俺は楽しい」
そう告げて楽しそうに再びくわえ込もうとした彼には慣れたもので、顎に手を伸ばして止めるとにっこりと笑って薫を抱き寄せ膝に乗せてしまった。
「下になら飲ませてあげますから」
「っあ!ん…いきなりは酷いん、じゃない?」
膝に乗せられると同時にすでにしっかりと準備の施されていた体内に飲み込まされた熱さに思わず声を上げてしまい、抗議するかの様に文句を口にし相変わらずと思いながらバランスの悪い体を支える為隻斗の首に腕を回した。
優しく甘い顔立ちの彼は以外にサドっ気が強く、彼を相手にすると容赦なく攻め立てられる事も多い。もう一人自分を手酷く抱く相手もいるが、それとはまた違う。理性を失うまでのまるで、普段の会話やコミニケーションの延長のような情事は薫の好みだった。
「そうですか?でも、好きでしょう?」
「そんなに俺が、欲しかったぁ?」
「ま、しばらく来られなくなりますしね」
「んんっ、は…何で?」
来られなくなるとは不穏な響きだった。彼らは同じ本部に所属する仕事仲間であり、本部専属のドクターとして薫は居るにしても基本的に怪我人や病人が出た時以外は隻斗と変わらぬ扱いであり暇な時にはこんな戯れを交えつつ共にいる事も少なくなかった。長期任務なんて情報は聞いていない。
「つい先程夜光の隊に、引き抜かれたんですよ。実行チームのリーダーみたいです」
「っ、へぇ~。出世した、ねぇ」
緩やかに体を揺さぶられながら聞いた言葉には、溢れ出そうな声を隠して答えた。そういえば最近夜光が第一部隊の隊長に任命されていた。そうなれば下に付ける人間を選ぶ必要があり、夜光と親しかった隻斗が選ばれるのは想定の範囲内だった。
「おや、寂しがってくれないんですか?」
「あっ、はっん…でも、どうせ月に一度は俺のとこに来なきゃいけないしねぇ…っは」
「あぁ、輸血パックですか。今度から少し手間ですね」
実は今回もその為に薫の部屋を訪れたのだ。この組織では万が一に備えて自分の血液を定期的に抜いて輸血の用意をしておく必要があった。人に因っては毒に耐性をつける為に少しずつ毒を飲んでいる者もいる。その為に他人の血を輸血する訳にはいかなかったりと理由は様々だが自分の血ならば拒否反応等の心配がないのは確かだ。
その管理を一手に引き受けて居るのはドクターの薫である。
「んんっ!ふ…来なかったら大量に抜いてあげる、よ」
「分かってますよ。さ、そろそろ本番にしましようか」
その言葉と共に一際濡れた音が響いた。それが普段のスキンシップの延長と、情事の境目である事に気付く前にベットへと押し倒され薫はもうまともな言葉は出て来なくなる。あとは堕ちるばかり…
「あ~、もう夜だねぇ。隻斗性格悪過ぎ」
「離してくれなかったのは薫ですよ?」
「焦らしまくったのはぁ?お陰で理性丸ごと吹っ飛んだよ」
情事が終わりお風呂から戻った2人はシーツを換えたベットの上に転がっていた。不満を漏らす薫の声は散々声を上げさせられたせいで少しだけ掠れているが明日には元通りだろう。
「あれは珍しかったですね。余裕のない薫も悪くありませんでしたよ?」
「普段なら俺が追い詰める側なのにさぁ。今度覚えてて。しっかり満足させてあげるよ」
楽しそうに告げる薫はこの上なくウザイ。満面の笑みも、自信あり気な口調も、胸に当てられた手さえウザさを誘う要因にしかならない。
それを慣れた様に隻斗はスルーする事にした。
「そういえば、薫も夜光の隊に来ませんか?」
「はぁ?無理に決まってるでしょ。うちの偉~いお兄様が許可する訳ないじゃない」
急な勧誘に薫は大袈裟に肩をすくめて答えた。その仕草もまた中々に腹立たしさを呼ぶ物だったが、やはり慣れている彼はですよねと微笑んだのみであった。
ちなみに兄が過保護な訳ではなく、有能なドクターである薫が居なくなるとそのしわ寄せが自分に来るからである。
彼等2人の関係はもう何年も前からこんな感じであり、それはあと何年の月日が過ぎてもきっと変わる事はない。
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