魔王様の兄弟






「綾汰ー!」


 勢いよくルドルフが来る。あれはとか、実はとか、必死に弁解しようとしている。


「大丈夫、分かってるよ」


「え?」


「何もしてないって約束できる?」


「できるできる!」


 頭を上下に必死に振り約束する。魔王様がこんな状況になってるなんて、国民はどう思うのだろう。

 そんな事を考えていると、また1人凄い勢いでやって来る。


「どこへ行ったのだー!ルドルフー!」


「ヒィィィ!綾汰助けてくれ!」


「え?」


「見つけたぞールドルフ!」


 何故か僕の後ろに隠れたルドルフは、ぷるぷる震えてる。あれ、魔の王だよね?


「何故人間がいる!人間そこをどくがいい!」


「いや、あのどこうにもルドルフが」


「人間ごときがこのエルメ様にたてつくのかー!」


「いや楯突くもなにも…」


 僕は下を見る。身長は140cm位で何故かネコ耳が生えている。


「よしよし」


「ふにゃ!?ふにゃー...ってやめろー!女にそんな事されても嬉しくない!エルメはルドルフにしかなびかないぞ!」


 また女と勘違いされてる。もうなんだか何もかもどうでも良くなってきた。


「メル!メルはどこいった!この不敬ものを始末せよ!」


「エルメ様。その方は綾汰様と言って現在の王妃様です。」


「王妃…?」


「はい。つまり魔王様の妻です。」


「…」


「…」


「ふにゃーーーーー!!!!」




 あぁ、頭が痛いよ。

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