第11話 魔王デスタノア
「さや、寝る準備は出来たか?」
午前9:00 俺たちの生活リズムはかなりずれてしまったな…。そんなことを思いながら眠りにつく。
異世界ドリームワールド。人の夢から作られた異世界。そこにはRPGの世界があって、人が創造したアイデアを元に構築されている。
「よっす、さや。こっちでもお目覚めだな」
「あきら…おはよう…」
異世界ではセーブ地点があり、そこでセーブをしたとき、次に目を覚ましたとき、またここからやり直せる。と言っても某RPGとは違って、死んだら仮死状態になる。誰がこんな残酷な設定を思いついたのか。桜の花びらによって生み出される世界は何にせよゲームマスターは魔法を発動した人だ。
「さや、まずはゆうじとアリスを探そう」
マップ検索をする…。
「!?」
50万人…。この世界には世界中の全人類が参加してたはずだ。なのに、もうそんなにいないのか…。殺人ギルド…。プレイヤーを殺すことを目的とした組織。プレイヤー撃破ボーナスは通常の攻撃ボーナス、回復ボーナスよりも経験値の量が多く、そのプレイヤーが貯めてきた経験値の半分をゲットできる。
「ゆうじとアリスにメールしたよ。時期にこっち来るってさ」
「そっか…」
アリスとゆうじを待って5分くらいしてきた。
「おはようございます」
「おはよう、勇者様♪」
「おう」
ジョーカーズのメンバーが揃う。
「ゆうじは現実世界で目を覚ましたか?」
「はい、僕も先ほどまで現実世界にいました」
「そうか…」
急に空が闇に覆われる。
メニューが勝手に表示され、モニターに動画が映し出される。
「何でしょうねこれ?」
周りの人も同様にウィンドが表示されている。
「どうも、初めまして。私がゲームマスターです。私はあなたたちを異世界に召喚しました。そして朗報を伝えます。それは…私はガナルガンドの街の住人の誰かです。私を倒せば、あなたたちは無事この世界から帰還し仮死状態の人々は目を覚ますでしょう。私がゲームマスターだ。私を殺さない限り、あなたたちは永遠にこの世界に縛られるでしょう。ふふふフハハハハハ」
動画が終わる。
「・・・長い沈黙」
この街の誰かが犯人なのか?最初の一言を放ったのは殺人ギルドのメンバーの一人だった。
「はははは、そっか、分かったぞ。この街の奴らを片っ端に殺せば俺たちはもう、夢に囚われなくていいんだな」
「おい、ガナルガンドのみなさんよー!お前ら全員で殺しあえよ、ゲームマスターさえ殺してしまえば、何もかも解決するんだからさ」
ゲームマスター。確かにそれは存在する。このゲームはラスボスの魔王を倒すことでクリアじゃないのか?なら一体誰が犯人か?
他の人はただ呆然としてた。
「てめぇら、これは見せしめだ、見ておけ」
殺人ギルドの男は見せしめに一般男性を槍で貫いて殺した。
「何てことを…」
アリスは落胆する。
見せしめで多くの人が動き出す。
「殺人ギルドのやつらめ、俺がそいつらを殺してやる」
「お前らを全員殺せば、もう夢に縛られずに済むんだな」
「全員殺す!殺して家族を助けるんだ」
次の瞬間、周りの人たちはプレイヤーを次々殺していく。
何で残光な光景だろうか。人が殺しあってるだけじゃない。
殺すたびに経験値が増加し、どんどん強くなる。
「私のせいだ…」
アリスは立ち竦む。
「アリス?」
「私がこの世界と現実世界をつなぐゲートを作ろうとしたからこんなことに…うぅ」
アリスは涙を流す。
「アリスは関係ないさ、だってアリスはゲームマスターじゃないだろ。この世界のゲームマスターこそが元凶なんだ」
「はい…」
「とにかく、街のみんなを止めないとな」
「どうするのあきら!?みんな次々にやられているよ」
みんなを止めるにはどうすればいい?力ずくでは、俺たちがプレイヤーキラーをすることになる。今のこの世界はまるで戦争が起きてるようだ。
「あきら、どうしよう?このままじゃ、みんなやられちゃうよ!」
「勇者様…」
「くそ!どうすればいいんだ!このままじゃみんないなくなるぞ」
「魔王を倒しましょう…」
そう言いだしたのはゆうじだった。
「今のゲームマスターの発言はおかしいと思います。RPGの世界なら創造主はゲームを攻略して欲しいと考えるはずですから、
「じゃあ、なぜプレイヤーにあんな動画を送ったのかな?」
さやが疑問に思う。
「おそらく、それがこのゲームのシナリオだからです。ただ平和な町にいるだけではゲームマスターとしてもつまらないからでしょう」
「そうだな、このままじゃラチがない。アリス、魔王の居場所分かるか?」
「はい、ここからずっと北に進んでいったところです」
「スペル・ムーブ」
俺たちは魔王城まで飛んでいった。
魔王デスタノア、それがこの世界のトップに立つ魔物だ。
「僕たちまだ30レベルくらいなのに魔王に勝てるのでしょうか?」
「あきらはもう50レベルまで到達してるわよ」
さやは自慢げにニヤリと笑う。
「50レベルですか!?一体どうやって?」
「カジノさ。さやがカジノで大儲けして、そのコインで黄金の葉を買ったのさ」
「はいなるほどそんな手がありましたか!さやさんはすごいですね」
ゆうじはさやを賞賛し、さやは手で頭をこすってにやける。
「勇者様、中に入れば魔王との戦いです。作戦はどうしますか?」
「ガンガンいこうぜだ」
「あの、、もう少し具体的に教えてくれませんか?」
「そうだな…俺が最前線で戦うとして、おそらく魔王は第2形態まであって、第一形態は火力のゴリ押しで攻めてくるだろう。そして、問題は第二形態だが、それは未知の世界だ?そこからはいつも通りにさやは回復、ゆうじは弓のサポート、アリスがスイッチで俺と入れ替わりで攻撃だ。だから背中は預けたぜ」
「「分かった」」
魔王城のドアを開ける。普通のRPGのように中は暗い。
よくぞここまできたな、勇者たちよ。
城のろうそくが一気に炎を灯す。
「ようこそ我が城デスタノア城へ。お前たちのような強き魂の持ち主が来るのを待ち望んでいたぞ」
「魂…だと??」
「そうだ、貴様らの魂は我のコレクションとなるのだ」
魂!?俺は今までRPGをいくつもプレイしてきたが、魂を賭けた戦いは初めてだ。
普通のRPGだったら傑作だが、本物の命をかけるゲームとしたらナンセンスだ。
「発動せよ、漆黒より生まれし銀河の力!ダークゾーン」
デスタノアは剣を空に掲げる。そして剣から黒い結界が現れ地面に設置される。
「これによりそなたたちは逃げられまい。さあ、かかってくるがよい!」
戦闘が始まる。さやとゆうじは作戦通りに、後衛に身をひそめる。
あきらはデスタノアと対面で戦う。ガチンコ勝負だ。
「我が押されるだとそんな馬鹿な…」
「レベル50もあるんだぜ、そりゃいけるだろ」
「それはどうかな?」
すると魔王は指から黒いリングを出し、あきらをリングで囲む。
「しまった!」
「ふははは、勇者の動きさえ封じてしまえばこっちのものだ」
「アリス!30秒時間を稼いでくれ!その間に俺はこのリングを外す!」
「分かりました!」
「スペル・ボルガノン!」
大きな炎の球体が現れる。そして、それはデスタノアに襲いかかる。
「ぐわーーーーー」
「…ぐはぁ…やるではないか…我の役割もここまでということか…あとは任せましたぞ!大魔王様ー」
大魔王様?それは誰なんだ?何者なんだ?あたりを見渡しても、それらしき存在はいない…ただのデマなのか?
「勇者様!」
「どうしたアリス・・・!?」
お前がまさか…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます