第7話 あきらの秘策


「経験値1020だー!?」

「さすが勇者様、賢い戦い方をされますわね」


回復ボーナス、努力値上げ、強敵ボーナスで一気に経験値が手に入る。

レベルアップ!レベル12になった。あきらはムーブ、ファイアー、魔術を覚え、特技烈火切りを覚えた。さやは13レベルとなり、ヒール、ダブルヒール、ウィンドを覚える。ゆうじはレベル13になり、乱射打ち、狙い撃ちを覚えた。


「ちょっと待て」

「どうしたの?あきら?」

「なんで俺勇者様なのに一番レベル低いの?」

「たった1でしょ、気にするほどでもないじゃない」


俺、この世界の勇者なのに…この中で一番弱い…。

RPGの世界の勇者はレベルが上がりやすくて、しかも強い。それが理想だ。

だがなんだ、このレベルの差は…。全く理解できん…。


「あきらさん?またこの作戦でレベル上げしますか?」

とゆうじは言うが、それは違うな。


RPGゲームでは雑魚敵と戦いいくらでもレベル上げができるが、そこあたりの雑魚モンスターを倒すだけでは経験値が少しずつしかたまらない。


「ゆうじ、俺たちは今からボス戦に挑むぞ!」

「あきらさん、本気ですか!?でも、僕たちのレベルじゃギリギリで危険すぎます!」

「だからこそ、戦術を練るんだ。この世界がRPGの世界なら、何かしらシステムの裏道があるはずだ。まずはムーブの魔法でガナルガンドへ戻るぞ。


「スペル・ムーブ」

ゆうじとさやを掴み上空へと飛ぶ。

そして、あっという間にガナルガンドへ着く。


「それにしても、瞬間移動できる魔法は便利ですね〜」

「そうだな、現実でも使えればな〜」

「そういえば、ゆうじはどうなんだ?現実世界で何が起こってる?

「僕ですか?僕の街では、歩いてる人の数がずいぶん減りました。後は救急車の音が絶えないです」

「そっか…」


しんみりとした空気にさやが割って入る。

「私たちのところもそうよ。外を歩いている人もかなり、減ったわ…」


「おーい、みんな〜待たせたね」

アリスが上空から帰ってくる。


「今からボス戦に挑むんだよね、何をすればいいのかしら?」


「まずは、ゆうじ、ガナルガンドで売ってる品物を調べてきてくれ」

「分かったよ」

「アリスはゴールドをたくさん落とす雑魚敵を倒してきてくれ」

「ありありさー」

「そして、さや」

「はい」

「おれとデートしよう」


ボカ!


おれはさやに溝内をくらう。あまりの痛さで地面に左右に転がる。


「みんなが頑張っる時に、なんで私はデートしなければならないのよ!少しは空気を読みなさいよ!」


「ごめんなさい…」

「あきらってば、もう…」

「おれとさやはクエストの一覧を見てくるよ。何かいい情報が聞けるかもしれないしな」

「分かった」

「では、解散!」



おれとさやはギルドへ向かっている。


「あきら、どうしたの?顔色悪いよ」

「ああ、おれはこの異世界のゲームをクリアできるか不安なんだ」

「あきら?」

「だけどおれは勇者としてこの世界のゲームに勝たなければいけないんだ。おれの予想だけど、この世界のゲームをクリアすれば仮死状態の人たちも目を覚ますと思う」

「がんばろう、あきら、あなたには私がついてるから。

「ああ」


ギルドにつき、クエストの一覧を確認する。序盤用クエスト、中級者クエスト、そして上級者クエストだ。

序盤用クエストはスライムを5体倒せとか、ゴブリンを10匹倒せなど、目安レベルが1~15のクエストだ。中級者クエストは目安レベルが15~30で前に倒したベルウッドを倒せや、海の守り亀を倒せ、そしてメタル系モンスターを1体倒せとある。


メタル系モンスターといえば、守備力がとても高くて、魔法が効かなくて、すぐ逃げる。その代わりに貰える経験値が高くHPが低いので、クリティカルが出れば、一撃で倒すことができる。


「さや、何かいい情報は掴めたか?」


「ええ、私が入手した情報によれば、現段階で残ってるプレイヤーの人数は1億人くらいだそうよ」


「日本の人口と同じ数じゃあないか」


「パニックを起こして街の外に出た人や、異次元に最初に飛ばされた場所がモンスターがいる場所で殺された人たちもいるみたいよ」


「残り1億人ならゲームオタクも何人か残っているだろうし、もしかしたら俺たちが何もしなくてもクリアできるんじゃないか?」


「確かにそうかもね。でも、万が一の時に備えて、私たちも頑張らないと!」

「そうだな」


ピロリン!ピロリン。



メールの着信音だ。


ゆうじです。たった今、ガナルガンドの道具屋、武器やの品物を確認してきました。僕はギルドに向かいます。それにしてもムーブの魔法がないと不便ですね。


ゆうじも情報収集を終えたみたいだ。後はアリスだけか。


「ねえ、あきら。これからどうするの?」

「さっき言った通りボス戦の攻略をする。このゲームは経験値をもらう際のボーナスポイントが重要になると思うんだ」

「回復ボーナスや連続攻撃ボーナス、他にもたくさんあるはずだけど、おそらくボス撃退ボーナスがあるはずなんだ。それを狙う。

「あきらは頼りになるわね」

「これでも元ゲーマーだからな」


ピロリン♪ピロリン♪


アリスからメールが届く。


たった今、50000ゴールドゲットしてきました。それで25レベルまで上がりました。

今からムーブでギルドに向かいます。


「勇者様〜お待たせしましたー!」


ありすのやつ、またそんな大声を…おいおいおい、めっちゃ注目されてるじゃんか!


「あ、勇者様みーつけた」

「よお、アリス、50000ゴールドもためてくれたのか、サンキューな」

「えへへ、私頑張ったんですよ〜もっと、褒めてくださいよ〜」


アリスと俺と、さやはギルドの空いた席に座る。

美女2人がパーティにいるせいか、周りの男どもに睨まれる。

ここにきたらいつも俺は嫌われ者なのね…。

ゆうじ〜早く帰ってきてくれ〜、このままじゃ俺殺されるよ…」


「おい、てめえ!」

横の席の30歳くらいの男性に声をかけられる。


「お前、調子に乗ってるんちゃうか?ほら、くらえよ」

男は装備した爪の武器で俺の身体を切り裂く。


「あきら!?」

「勇者様!?」


二人が同時に声を上げる。


「はっはっはースッキリしたぜ」

男はギルドから出て行く。


「うう…痛い…。でも痛いだけなのか…俺は1つ恐れていたことがあった。それはプレイヤーがプレイヤーを殺すプレイヤーキラーの存在だ。俺は街中を歩いてる時に聞いた噂だが、どこかの洞穴を拠点した殺人ギルドの連中がいるらしい。そのプレイヤーは異世界に迷い込んできた人を殺して、殺人ボーナスで経験値を得ているようだ。


「まさか、こんなことが…」


俺のHPゲージが減っている!? 普通某RPGやALOなどのゲームでは街の中は安全区域でプレイヤーキラーは発生しないばすなのに…。


「お待たせしました〜ゆうじ、ただいま戻りました」


ゆうじはアリスの隣の席に座る。

「これが僕の調べてきたリストです。どうぞあきらさん」

「お、悪いな…」


俺は一枚一枚、丁寧にリストを眺める。


「お、これはいいな」

俺が注目したのは、ドーピングアイテムの薬草だ。効力は一回の戦闘で消えてしまうが、一つ使うと一箇所のステータスが3上がり、500ゴールドだ。

「これですか?たった一回の戦闘しか能力が上がらないし、正直言って使えないと思いますよ」

「確かにそうだが、それはボス戦だけ使うなら、とても有効なはずさ。アリスが50000ゴールドも稼いできたおかげで100個もドーピングアイテムを買える」

「もしかしたら!」

「そのまさかさ!ゆうじ。ボス戦に備えてドーピングだ!」

















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