第9話 護衛はつらいよ②

さてと盗賊の件は片付いたから騎士団の人達に後は頼むとするかな


通信用の水晶を取り出すと


「あー騎士団長さん聞こえますか?」


「はい、聞こえます大丈夫ですか?」


「あー盗賊は全員倒したんで後はお願いしても大丈夫ですか?」


「わかりました、すぐに向かいます」


「すみません、よろしくお願いします」


しばらく待っていると騎士団のメンバーがやって来て倒れている盗賊達に縄をかけていった

騎士団が盗賊を捕まえている間に騎士団長に先程盗賊の頭から聞いた情報を伝える事にした


「どうやら向こうの国の人間が盗賊達に情報を流したみたいです」


「それは本当ですか?」


「盗賊の頭が言ってたんで間違いないかと」


まぁ実際は言ったと言うより言わしたんだがいちいち説明するのは面倒なのでそう言うことにしておこう


「まぁそんな訳で向こうの国に着いたら何かあると思うんで警戒を強化するように皆に伝えておいて下さい」


「了解しました」


盗賊騒動の後は特に何事もなく夕刻までに宿泊予定地の町まですんなり辿り着いた今日の宿泊はこの町の領主の屋敷を貸して貰えるそうだ

領主の屋敷に着いた俺の第一声は


「屋敷でっか」


想像していたよりも立派な屋敷につい声に出して言ってしまった

しかし周りを見てみると皆普通に宿泊の準備を始めていた

まぁそりゃ王室関係者だったら別に気にもならないのだろう何しろ普段からあんな馬鹿でかい王宮に仕えているのだから

そんな事を1人考えながら俺もそそくさと準備を始める

準備を終えて屋敷に入ろうとした時だった


「あのーすみません」


急に後ろから声をかけられた俺が振り返るとそこには金髪に青い瞳の可愛らしい少女が立っていた


一応周りを見渡してみるが俺以外人はいない


「えーと、俺に何か用かな?」


「はい、あの…付き合ってください…」


あまりにも突然の事に一瞬思考が停止した


「………は?」


すると少女は顔を真っ赤にしながら


「あっあっ違うんです、あっいえ違わないんですけど違うんです」


おぉ可愛らしい少女があたふたしてるなんだか小動物みたいで心が和むわー


しばらくすると少女は落ち着いたようでふたたび話はじめた


「すいません、私は魔法士団見習いのアリス・イリシアと申します先程は申し訳ございませんでした」


おぉ異世界の国のアリスだ、などと思っていたら


「あの申し訳ないのですが魔法の練習に付き合ってくださいませんか?」


どうやらさっきの衝撃発言は魔法の練習を見てほしいだけだったようだ


「別にいいけどなんで俺に?魔法士団の人に見てもらえないの?」


アリスの話によると魔法士団の間で俺が王宮で無詠唱魔法を使ったと言う噂が広まっているらしくアリスもその噂を耳にして今回の旅に無理を言って同行してきたらしい


「はぁ…まさかそんな事になってるとは思ってなかったよ」


まぁ無詠唱で魔法が使える事を広める為に魔法書も書いてる訳だしここはアリス無詠唱魔法を指導するのもいいかもしれない


「わかった、魔法の練習に付き合ってやろう」


「よろしくお願いします師匠」


「師匠はやめてそんなに偉くないから」


「じゃあ先生ですか?」


「先生って年でもないな…」


「じゃあお兄…ちゃん?」


グハッ…可愛らしい少女から言われるお兄ちゃんの破壊力はこれほどまでに凄まじいのか


「あっはいお兄ちゃんでいいです」


「はい、よろしくお願いしますお兄ちゃん」


拝啓 父上様、母上様異世界で可愛い妹が出来ました。




















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