第5話 王とニート(1)

さぁ部屋の前でいつまでも考えていてもしょうがないと扉を開け中に入ると右には見るからに強そうな騎士が左にはいかにもな恰好をした魔法使いが並んでいた。


そして正面には髭をたくわえた威厳のある雰囲気の男性が座っていた。


「よく来てくれた、そなたがヤマモトタケルか?」


「はい、おれ…あっ私がヤマモトタケルです」


「そなたはその若さで星10の冒険者との事だが?」


「あっはいそうですね」


「今日は宿屋に居たようだが何をしていたのだ?」


「あっ今日からニート…じゃなかった魔法書を執筆しようと思って宿屋に居ました」


「ほう?魔法書を?」


「はい、今出回っている魔法書は新人の冒険者には理解しにくい物が多いのでもっと新人にも理解しやすい魔法書を作ろうと思いまして」


「ほう理解しやすい魔法書とな?」


「えぇ、私が実戦の中で気付いた事や経験した事を踏まえて書こうかと」


「なるほど?今ここで少し教えて貰えるかな?」


「えーと大丈夫ですけど、魔法を使える方を一人お借りできますか?」


すると魔法使いらしき一人の女の子が手を上げた


「はい、私にやらせて下さい」


「あっじゃあお願いします、えーとお名前は?」


「はい、私は魔法士団のリリーと申します」


「じゃあリリーさんにお聞きしますが魔法って何ですか?」


「えっ?魔法ですか?えーと魔力を使って詠唱をして…」


「あっはいありがとうございます」


「今リリーさんも言いましたが今ある魔法書は魔法名と詠唱しか書いていないですよね?」


「そもそも何故詠唱が必要なんですかね?」


「ここからは私の経験した話になりますがある日一人で魔獣討伐を受けた時の事ですが予定では数匹のはずが実際に行ってみたら十数匹の魔獣がいましたその時敵との距離を置く為に急いで魔法の詠唱をしていた最中にまだ詠唱途中だったのに既に魔法が発動しているのに気がつきました」


「そして魔獣討伐後に色々考えてみましたそして魔法とは魔力を使いその魔法を想像する事で発動するのではないかと詠唱はその魔法を想像する為の補助なんじゃないかと」


「そこで試しにファイアーボールを何度も詠唱してファイアーボールが発動するまでを想像出来るくらい観察して試しに詠唱をしないでファイアーボールを想像してみたら見事にファイアーボールが発動しました」


そこまで話をした俺は皆の前で無詠唱でファイアーボールを使ってみせた


ボッとゆう燃焼音とともに掌に火球が現れた


その様子を見ていた周りの魔法使いや騎士がざわつき始めた


「今見てもらった様に実は魔法は詠唱をしなくてもきちんと想像さえ出来れば詠唱をする事なく使えるのです」


「それではリリーさん、今から私がファイアーボールを発動させるのでよく見ていて下さい、そしてファイアーボールが発動する様子がしっかり想像出来ると思ったら詠唱をしないでファイアーボールが発動する想像をしてみてください」


そう言うと俺はリリーさんの前で何度かファイアーボールを使ってみせたしばらくするとリリーさんが


「ちょっとやってみます」


そう言ってリリーさんは集中して目を閉じたしばらくするとリリーさんの掌の上からチリチリとゆう音とともに次第に火球が出来上がっていく


するとふたたび周りがざわつき始めた


「やった、詠唱無しで出来ましたよ」


リリーさんは嬉しそうにはしゃいでいた


「今見て頂いた様に魔法とは魔力と詠唱によって発動するのではなく魔力と想像によって発動する事がわかって頂けたかと思います、私が書く魔法書には魔法名と詠唱の他にその魔法をより想像しやすくする為に絵も一緒に掲載しようと思っております」












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