第1話 異世界生活始めました

手を握られている感覚がなくなり目を開くとそこは見た事もない風景が広がっていた。


「え?もしかしてもう転生しちゃった感じ?」


辺りには誰も居ないがすぐ横に大きなトランクとひと振りの剣が置いてあった。


「そういや神様が一ヶ月分の宿代と装備一式くれるって言ってたな」


とりあえず寝床を確保する為に宿屋を探しに行かうかとしたその時だった。


「あのーどうかなさいましたか?」


声のする方へ振り返るとそこには1人の女性が立っていた


「あー今日この街に来たんですけど宿屋が何処にあるのかわからなくて」


「そうなんですか?良かったらうちの宿に来ませんか?」


これも神様のサービスなのか宿屋の娘さんに声をかけられるとは。


彼女はエレーナと言って親父さんと二人で宿屋を経営してるらしい神様のサービスかと思ったがどうやらお使いの帰りに立ちつくしている俺を見つけて声をかけてくれたらしい。

「ここがうちの宿屋エリスです。」


「へえーいい雰囲気の宿屋だね。」


「そうですか?ありがとうございます。」


「ところでタケルさんは何日宿泊するご予定ですか?」


「とりあえず一ヶ月の予定なんだけど大丈夫かな?」


「うちは大丈夫ですけどお金は大丈夫なんですか?」


「たぶん大丈夫だと思う一ヶ月分の宿代は貰って来たから」


トランクの中から袋を取り出すと中には金貨が100枚近く入っていた


「えーと、これだけあれば足りるかな?」


金貨の入った袋をテーブルの上に置いた途端エレーナが


「こっこんな大金そのまま持ち歩いてたんですか?」


「えっ?そうなの?」


そういやこの世界の貨幣価値も常識もわからないまま転生したんだった。


「これだけあれば一流の宿屋でも余裕で一ヶ月は居られますよ?タケルさんって何をされてるかたですか?」


んーこれはまずい事になったな、まさか違う世界から神様に転生させられたとは言えないしどうしたものか、その時名案を思いついた。


「実は名前以外の記憶が無くって、これはたまたま知り合った人がこの街に送って来てくれる途中でくれたんだ」


「えっ?そうなんですか?」


「そうなんだ、だからお金の価値とかもわからなくて。これをくれた人が街に着いたら宿屋を探してギルドに行けばなんとか生活出来るからって」


「そうだったんですか、でも金貨をこんなに沢山持ち歩くのは危ないですよ?銀行に預けた方がいいですよ」


「えっ?銀行?」


「はい、お金を預ける事が出来る所です」


どうやらこの世界にも銀行はあるようだ


「じゃギルドに行ったら帰りに銀行にも寄ってみるよ」


そう言ってエレーナが用意してくれたギルドまでの地図を手にとりギルドへ向かう事にした


「しかし神様ももう少しちゃんとした説明してから転生させてくれればいいのに」


と思ったのだがよくよく考えてみれば俺もちゃんとした話も聞かずに転生させて貰ってしまったのだった


そんな事を考えながら手にした地図を眺めて歩いているとギルドと思わしき建物の前に到着した。


「宿屋から結構近かったなラッキー」


ちょっとした期待に胸を弾ませながらギルドのドアに手をかけゆっくりとギルドの開くとそこには想像していた通りの光景があった。


「クエスト依頼の貼り出されたボードに受付カウンター、奥に見えるのは飲み食い出来る酒場これぞギルドだ」


あまりに興奮し過ぎて声に出してしまった。


ドキドキしながら受付カウンターで受付の女性に声をかける


「すみません仕事がしたいんですが…」


「はい、初めてのかたですか?」


「あっはい初めてです。」


「ではまずお名前をお願いします。」


「ヤマモトタケルです」


「珍しいお名前ですね?少々お待ち下さい。」


そう言うと受付の女性は席を離れ何かを調べに向かった。


しばらく待っていると受付の女性が戻って来て。


「過去に登録の記録が無いので新規の登録になりますね、ではこちらのギルドカードに手をかざして下さい。」


俺は言われるがままにギルドカードに手をかざすとギルドカードの名前の欄に俺の名前が自動的に書き込まれていく


「おぉーすげー自動で名前が書き込まれるんですね」


そう驚いたのも束の間次に書き込まれた情報に頭の上にクエスチョンマークが。


体力 測定不能 魔力 測定不能

攻撃力 測定不能 防御力 測定不能

俊敏性 測定不能 運 測定不能


「えーと、このギルドカード大丈夫ですか?」


俺がそう言うと受付の女性があたふたしながら

「しょ…少々お待ち下さい、今確認しますので。」


そう言って受付の女性は大急ぎで奥の部屋に確認に向かった。

またしばらく待っていると受付の女性が戻って来て


「やっぱりギルドカードには問題はないみたいなんですが…」


「そうなんですか?じゃあやっぱり俺のせいですかね、実は名前以外記憶が無いもので」


「えっ?そうなんですか?でしたらそのせいかもしれませんね、クエストで経験を積めばちゃんとしたデータが出るようになるかもしれません。」


「そうですね、とりあえずクエスト頑張ってみますありがとうございました」


「あっそれとギルドカードは無くさないように注意して下さい無くすと再発行の手続き等面倒なので。」


「わかりました、どうもありがとうございました。」


そう言って受付の女性にギルドカードを貰い俺はギルドを出て次の目的地銀行へと向かった。


ギルドから銀行までも思っていた以上に近かった


「これだけ近いと便利だな」


そんな事を呟きながら銀行のドアを開け中に入り受付にいた男性に声をかける


「すみません、お金を預けたいんですが?」


声をけると男性は


「一般のかたですか?冒険者の方ですか?」


「一応冒険者です」


「ではギルドカードの提示をお願いします」


「あっはいお願いします。」


受付の男性にギルドカードを渡すと受付の男性は機械の様な装置にギルドカードを起き手をかざしてしばらくするとギルドカードを手に戻って来て


「お待たせしました、こちらで口座開設終了です、ギルドカードで残高の確認も出来ますので」


想像以上の早さにも驚いたが何よりギルドカードの便利さに驚いた銀行の残高確認までギルドカードで出来るのかこの世界は


「あっありがとうございます。」


受付の男性からギルドカードを受け取り俺は宿屋へと帰路についた。





















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る