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「今日は何処かへお出掛けされていたんですか?」と訊ねるとカランと氷を鳴らして竹下さんが答えてくれた。

「えぇ、レストランを予約していたんです」

「それはそれは」

 頷いて見せると、竹下さんは照れくさそうに首の裏を掻いた。

「実は付き合って今日で六年になるんです」

「おや、そうでしたか。それはおめでとうございます」

「あっ、いえ、あはは」

「ふふふ」

 そうか今日で六年か。あれからもうそんなに経ったのか。あの時は本当に驚いたなぁ。だって竹下さんが酒もろくに口を付けていなかったのに、顔を真っ赤にして告白を始めたのだから。

『し、しししししんがささん、ぼ、ぼぼぼぼくとその、お、おつきあい、をして、くれましぇんでしょうか・・・』

 たどたどしくて、聞いてしまったこっちが恥ずかしくなってしまうくらい真面目で実直な告白だった。

 新我さんに目をやると、頬こそ赤くなってはいたが落ち着いた様子で、というより初めから分かっていたように竹下さんの手を取ってしっかりと目を見て言った。

『はい』

 短いけれど、想いが詰まった返事だった。

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