時間は早く過ぎ行くも、必ず月日は流れゆくもの
カゲトモ
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「いらっしゃいませ」
「こんばんは」
ブラウンのジャケットを着た男性が来店した。その後にぺこりと頭を下げて細身の女性が続く。連れ添って店の奥、カウンターの一番奥の席に座った。そこは彼らの特等席だった。
「えっと、じゃぁソルティドッグとカシスオレンジで」
「かしこまりました」
いつものだなぁ。と思いながらカクテルを用意する。
年齢は詳しく聞いてはいないが、おそらく同世代。そして、俺は彼らを八年前から知っている。独立する前の店から贔屓にしてもらっていた、と言うと自意識過剰かもしれない。
ともあれ、彼らが付き合う前から二人を知っているのだ。
「お待たせいたしました」
コースターに乗せてグラスを滑らせる。新我さんの前にソルティドッグを、竹下さんの前にカシスオレンジを置いた。
「ありがとう」
「ありがとうございます」
新我さんは俺にも丁寧に話してくれる優しそうで聡明そうな女性だ。いや、きっとそうだろう。
二人は小さくグラスを傾けて「乾杯」と声を揃えた。竹下さんは酒に強そうな顔をしているが実は弱くて甘い酒が好きな人だ。
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