扉を開け、部屋に招き入れる。

「仕事続きでまだ片付いてなくて…」

リビングにはベッドと机テレビが置かれている。片付けが終わるまでは必要最低限でいいだろうと思い他のものは後回しにした。


「私も片付け手伝おうか?」

床に座りダンボールの中の本を出しながらこちらを見た。

「折角のひゅうさんの休みなんですから置いといて大丈夫ですよ それより来てもらってすぐで悪いんですけど、30分くらい寝てもいいですか?」

台所から持ってきた飲み物を机の上に置いてベッドに腰掛けた。

「いいけど、疲れてるの?」

「ちょっと体調良くなくて、寝たらすぐ治ると思うんで」

そう言って横になった。

するとあなたはベッドの枕元に寄ってきて私の頭を撫でた。

「…ちょっと熱いけど熱は計ってるの?」

「体温計出すの面倒くさくて計ってないです」

あなたは少し溜息をつき-薬 小物-と書かれたダンボールを開け体温計を持ってきた。

「はい 体温計 これで熱計ってて」

そう言うと財布を持って立ち上がり、私に布団を掛けて出掛けた。

少し機嫌を損ねたかな。そう思いながらこれ以上機嫌を損ねてはいけないと体温計の電源をつけ脇に挟んだ。



あなたが帰ってくる前にいつの間にか眠っていたようで、目を覚ますと3時間ほど経っていた。机の上に飲み物と薬が置かれていた。

部屋には誰も居らず、置き手紙が残されていた。

-熱が引くまで仕事休むんだよ お店には私から伝えておくね 雑炊作っておいから食べて薬はちゃんと飲んで寝るんだよ-

帰ったのだろうか。私はメモの通りに少しだけ雑炊を食べ、薬を飲んだ。ベッドに戻り机に目をやると写真が移動してることに気付いた。

ひゅうさんが見たのかな。特に気に止めずその横にあなたが髪留めを忘れていることに気付き携帯の画面を開きあなたにお礼と忘れ物を伝えた。

-雑炊と薬ありがとうございます。 言う通りに大人しく寝ますね。机の上に髪留め忘れてるんでまた持ってきます あと、帰り送れなくてごめんなさい-

こんなものだろうか。少し機嫌を損ねてしまった気がするため返事が来るのが少し怖い。とりあえず今は寝よう。

携帯をマナーモードに切り替えベッドに潜った。




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