恋焦がれる
自宅に一度戻って愛犬に餌を与え着替えを持ってあなたの家に向かった。
移動中あなたはこちらを見ることなく、ずっと窓の外を眺めていた。
車を降りてあなたに続いて家に入る。この家に入るのは初めてだ。案内されるがまま部屋に入った。一般的な女の子の部屋と言うよりは物がなく、机 ベッド 本棚 パソコン 小物が少ししか無かった。
「飲み物持ってくるから適当に座ってて」
そういうとカバンを置いて下に降りていった。
荷物を置き、どこに座ろうか考えてベッドに凭れ掛かるように座った。
待つ間部屋を見渡していた。目の前の机の上にノートパソコンが置かれ、本棚の上に写真が立てられてあった。光の反射でよく見えないけれど恐らく家族写真。幼いあなたと2人の男女が写っていた。写真を眺めているとあなたが戻ってきた。私の目線の先にある写真を見るとパタリと倒して部屋に入った。
「…両親?」
恐る恐る聞いてみるとあなたは少し気鬱な様子で
「…もう随分前の写真なんだけどね」と答えた。
「…そっか」
それ以上は聞かなかった。
それから一時間ほどたわいの無い話をしてお風呂に入った。上がって部屋に戻るとあなたはベットですやすやと寝息を立てていた。
ベッドの横に座ってあなたの寝顔を眺めながら髪を撫でた。
この人が好き。この人の為に出来ることを全部してあげたい。私が全部から守るからもう少し甘えてもいいんだよ。あなたの為ならどんな事でも頑張れる気がする。
「…大好きです」
ぽつりと呟いて額に軽くキスをした。
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