疑い


正式に付き合うことになって数ヶ月

あなたとの関係は順調だった。

お互いの親は同性愛というものに反対派だっため、とても仲のいい友達として紹介した。

休みの日には近くの水族館に出掛けたり仕事終わりにドライブしたりと、世間一般のデートらしいことは出来ていた。


少しづつ精神的に私を頼ってくれることも増え、私もあなたを頼ることが増えていった。


そんな時ちょっとした問題が発生した。

あなたの仲のいい友人が私達のことを疑い出したのだ。

高校自体の話は少し聞いていたが、私は彼女はあなたの事を恋愛で見ている人と感じていた。

その彼女に疑われている。そして恐らく私は彼女に嫌われている。

付き合う少し前に、彼女が職場に遊びに来た時にあなたと話をしていると睨まれ、私からあなたを引きはがすように話しかけそのまま仕事が終わるまで職場にいた。

私は居た堪れない気持ちになって自分の勤務時間を終えるとすぐに帰った。


私は彼女に恐怖を感じて彼女が来る日はこの感情があなたに悟られないようにすぐに帰るようにした。


最近は毎日のように彼女が職場に来ていたため、私は仕事を終えて帰る準備をしていた。するとあなたは

「雪今日もすぐ帰るの?」

と彼女がいるにも関わらず私に話を振ってきた。


このタイミングで話しかけてこないでほしい。

「二人のお邪魔しちゃ悪いんで…」

苦笑をしながら荷物を片付けていると

「ユキちゃんも一緒に帰ろうよ」

思いもよらない彼女からの言葉。

驚いてポカンとしているとすかさず

「日向から話はよく聞いてるよー この子最近君の話しかしないんだもん」

声と顔は笑いながらあなたの方を見ていたが目は笑っていなかった。

「この職場で音楽とか話が合うの雪くらいだもん」

ねっ。とこっちをみた。

間違いではないがこのタイミングで私に話を降らないで欲しい。

心底そう思った。


「いやでも、二人の話に入れる気がしないんで…」

どうにかしてこの場を離れたい。そんな感情だけが私を支配していた。

でもあなたの顔を寂しそうな見ていると、この人には勝てないな。と思い、


「…一緒に帰りますか。」

結局あなたの仕事が終わるまで待つことになった。

待つ間お客さんがちらほら入ってきたので私は彼女と客席のソファに座って話をしていた。





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