あなたと
「私はあの人の事恋愛で好きなのかな…」
友人の経営するバーでカクテルグラスとカランと音を立て回しながら呟いた。
「雪は依存体質だからわかんなくなるんだよね」
「そうなんだよね。いまいち恋愛の好きってのもよくわかってないし。」
高校の同級生の彼女は今でも時折こうして相談に乗ってくれる。
「誰にもとられたくないって思うしもっと仲良くなりたいって思うし笑ってほしいって思うけど、恋愛で好きなのかって聞かれると違うって思う。」
「私の場合はそれと同じこと思ったら恋愛だと思うんだけどね。もしかしたら雪さ、相手の人に迷惑がかかるからって無意識に違うって思ってるんじゃないの?」
確かに昔から気に入っている相手に迷惑がかかるのは嫌だった。
「そうなんかな。あの人の迷惑になるのも負担になるのも嫌だし。」
「それに多分あの人にとって私はただの職場の人だし」
ため息交じりに呟いた。
「望みはなくても好きなんでしょ?」
「…好き。」
初めて心から恋愛の意味で好きということを認めた気がした。
それと同時に胸の奥で何かつっかえていたものが外れた様な感覚だった。
「やっと認めたなー。最初からそう言えばいいのに。」
「なんだろ。認めた瞬間すごい会いたくなった。」
心が温かくなるのと同時に寂しさが現れ無性にあなたの顔が浮かんだ。
「恋してるって感じだね。連絡しちゃえば?」
意地悪そうな笑顔を見せながら彼女は私の携帯をスッと目の前に出してきた。
「さすがにこんな時間に連絡しても返事かえって来ないと思うんだけど…」
時計を見つつ携帯を操作しあなたの連絡先を開いた。
「…………」
暫く画面を眺め
「やっぱりやめとく。」
携帯の画面を消して裏向きに置いた
「このヘタレめ。見てるこっちがモヤモヤする」
彼女はそういうと私の携帯を手に取りあっという間にあなたにメッセージを送っていた
「ちょっ!! 何やってるの!」
私は慌てて携帯を取り上げたが時既に遅し。
彼女は悪魔のような笑みを浮かべてカクテルに手を伸ばした。
「あぁ…。本当に送ってるし…。」
「自分で送れないヘタレ野郎の為に助け船を出しただけです」
うなだれる私の頭を撫でた。
「返事かえって来ないと思うんだけどな…」
チラリと画面に目をやると
ピロンッ
同じタイミングで通知画面が開いた。
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