遠回しの



ある日、私は勇気を出して話しかけた。

「ねぇねぇひゅうさん。今度一緒にカラオケ行きませんか?」

「急にどうしたの」

驚いた顔をしてあなたは私を見た。


「いや、なんとなくです。ひゅうさんの歌声聞きたいなーって思って。あと単純にひゅうさんどんな歌うたうのか気になる。」

「なにそれ」

クスリとあなたは微笑んだ。


「でも、そうだね。行こうか。カラオケ」

「えっ。いいんですか?」

案外すんなりと承諾をしてくれたので逆に私のほうが驚いてしまった。

「行きたいって言ったの雪なのに驚きすぎ」

「なんかもうちょっと渋られるか、断られるだろうなって思ってました。」

「普段引きこもってるけどカラオケは好きだからね」

「じゃあ…来週はもう一つの方仕事なんで、再来週のひゅうさんの休みの前の日でどうですか?」

私は携帯でシフトを確認してからあなたの方を見て伝えた。

「休みの前?別にいいけど、それだったら雪次の日仕事じゃない?」

「私は大丈夫なんで!ひゅうさんと遊べたらなんでも頑張れる気がするんで!!」

恐らくこの時私にしっぽが生えていたら間違いなく振り回すようにブンブンと振っていたと思う。


「大型犬飼ってたらこんな感じなのかな…」

「何かいいましたか?」

「雪が犬に見えてきたなって」

「ひゅうさんの事好きだからすごくうれしいんですよ!犬は大好きな人がしてくれること全部うれしいんで!!」

「雪みたいな犬飼いたくなってくる」

「私みたいな犬飼ったら大変ですよー」

笑い合いながら二人で次の予定について話し合った。

それは私にとってとても幸せな時間だった。




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